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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
今週のポイント
2011-08-01-Mon  CATEGORY: 政治・経済
アメリカの政府債務限度を引き上げる問題は期限ギリギリの31日夜、オバマ大統領と上下両院の指導者の間で妥協が成立した。12年末までの債務限度を2兆4000億ドル引き上げる代わりに、今後10年間で財政赤字を2兆4000億ドル削減するという内容。ただ限度の引き上げは2段階で行われ、当面は4000億ドルだけの引き上げが認められる。

この妥協でアメリカ国債のデフォルトは、なんとか回避できそうだ。この安心感から、今日の日経平均は大幅に値を上げている。ただアメリカ議会は1日、この妥協案を採決する予定。財政赤字の削減について、一部の共和党議員はまだ不足だと主張しており、デフォルト回避のためには最後の難関を突破しなければならない。

この問題をめぐってアメリカの与野党は、先週も衝突を繰り返した。このため先週は日に日にデフォルトへの不安が高まり、ダウ平均は先々週末から6日間の続落。先週だけで538ドルの大幅安となった。ドルも売り込まれて、円相場は76円台に突入した。こうした情勢のなかで、日経平均は先週299円の値下がりとなっている。

今週は1日に、7月の新車販売。2日に、6月の毎月勤労統計。5日に、6月の景気動向指数。アメリカでは1日に、7月のISM製造業景況指数。2日に、7月の新車販売。3日に、7月のISM非製造業景況指数。5日には、7月の雇用統計が発表になる。この雇用統計はいい結果が出そうなので、その前に債務問題が決着すれば環境は好転するかも。


    ≪1日の日経平均は? 予想 = 下げ

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ドル中心時代の たそがれ (上)
2011-08-02-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 景気には大きなマイナス = アメリカ議会の首脳は7月31日夜、ようやく政府債務限度の引き上げ問題について妥協を成立させた。きょう8月2日までに妥協が成立しないと、アメリカ政府は新たな資金調達ができなくなり、国債の償還や利払いにも支障をきたす。いわゆるデフォルト(債務不履行)に陥るとあって、全世界が心配していた。

この妥結で当面、デフォルトの危機は回避された。このニュースが最初に伝わった1日の東京市場では、株価が大幅に反発している。確かにデフォルトの回避は喜ばしい。だが落ち着いて考えてみると、この妥結はとても手放しでは喜べない内容だ。

妥結の内容は、12年末までの債務限度を2兆4000億ドル引き上げる。その代わりに、今後10年間で財政赤字を2兆4000億ドル削減することが基本的な考え方。ただ当面の限度引き上げは4000億ドルだけ。残りは年内と来年に改めて決める。また財政赤字は直ちに9000億ドル削減、残りは来年から実施する。

ここから大きな問題が2つ。1つは債務限度の引き上げが実際には3か月分しか決められていないこと。年内あるいは来春に、同じ問題が再燃する可能性は否定できない。もう1つは、巨額の財政赤字削減。政府の支出が急激に減少し、景気にとっては大きなマイナス要因になる。


                                 (続きは明日)

    ≪1日の日経平均 = 上げ +131.98円≫

    ≪2日の日経平均は? 予想 = 下げ

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ドル中心時代の たそがれ (中)
2011-08-03-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ ドルの信認にヒビ割れ = アメリカは当面のデフォルト回避に、なんとか成功した。だが債務問題は、実質的にあまり前進していない。今回の騒動で全世界がアメリカの財政事情に不安を抱き、特にドルへの信頼は大きく揺らいでしまった。再び債務問題が繰り返されると、その地位の低下は決定的なものになる恐れが強い。

第2次世界大戦を機に、アメリカのドルはイギリスのポンドに代わって世界の基軸通貨となった。戦後の米ドルは金との交換性を維持し、世界最強の通貨となった。この体制は金・ドル本位制とも呼ばれる。さらに71年、アメリカは突如として金との交換性を廃止した。いわゆるニクソン・ショックである。ここからはアメリカ経済の強さそのものを背景とした、完全なドル本位制となったわけである。

いま先進国は軒並み、財政の問題で苦しんでいる。ヨーロッパではギリシャの財政危機がスペインやイタリアにまで飛び火。日本の現状は説明するまでもない。アメリカも財政赤字が累積するにつれて、政府の債務限度を規定した法律を改正して対応してきた。過去10年間で10回も引き上げているが、クリントン政権のときを除けば問題にはならなかった。

先進国共通の財政赤字問題は、いずれも根底に福祉政策の充実と度重なる景気対策の実行がある。特に近年はリーマン・ショック後の景気対策で、各国とも赤字を増大させた。この結果、国民の間では福祉や景気対策を重視する人びとと、財政再建を必須と考える人びとが増大した。ところが政治は、この思想の広がりを包含し切れない。今回はアメリカでも、この現象が表面化したと捉えることができる。


                                  (続きは明日)

    ≪2日の日経平均 = 下げ -120.42円≫

    ≪3日の日経平均は? 予想 = 下げ

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ドル中心時代の たそがれ (下)
2011-08-04-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 多極化の時代へ = ドル中心の通貨体制は、確実に終焉を迎えているようだ。だが世界中を見渡しても、その後継者は見当たらない。一時は有力な後継者に見えたユーロも、南ヨーロッパ諸国の財政・金融不安でその勢いを失っている。中国の元も将来の可能性は秘めているが、現状はまだまだ力不足だ。英ポンド⇒米ドルとつないできた基軸通貨の地位は当分の間、不在となる可能性が高い。

その一方で、中国を筆頭とする新興国の急成長はまだ続くだろう。そのため先進国の企業は、競って新興国へ進出する。先進国自体の政治・経済情勢が不安定なこともあって、海外で獲得した先進国企業の利益は国内へ十分に還流されない。これが先進各国で雇用問題を生み出し、財政を悪化させる大きな原因ともなっている。

ドル中心体制の崩壊で、世界の通貨制度は多極化の時代に入るだろう。それに備えて、各国はグループ化することによって自国の経済と通貨を防衛する手段をとり始めた。最近もてはやされているFTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)、TPP(環太平洋戦略的経済パートナーシップ)などの動きは、こういう視点で捉えることもできそうだ。

国家財政の将来を不安視する流れは、ヨーロッパからアメリカにも波及した。この波が次に日本に到達する公算は極めて大きい。また米ドルが圧倒的な力を取り戻すことは、ほとんど不可能だろう。恒常的な円高に対してどう対処するのか。政府や金融機関が大量に保有する米ドル資産を、どうしたらいいのか。少なくとも政治に携わる人たちは、こういう問題を頭に入れておいてほしい。


    ≪3日の日経平均 = 下げ -207.45円≫

    ≪4日の日経平均は? 予想 = 上げ

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円売り介入・金融の追加緩和は有効か
2011-08-05-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 76円25銭の死守を明示 = 政府・日銀は4日午前、外国為替市場で円売り・ドル買いの為替介入を実施した。これにより市場の円相場は1ドル=79円台に下落、対ユーロ相場も1ユーロ=113円台に反落した。円売り介入は震災直後の3月18日以来4か月半ぶり。ただ前回と違って、今回は日本だけの単独介入だった。

一方、日銀は同日の政策決定会合で、金融緩和の追加策を決めた。基金を通じた国債や社債などの買い取り規模を、現在の40兆円から50兆円に増やす。これによって市中の金利低下を促し、円高の阻止を狙ったもの。こうした財政・金融両面からの円高是正政策を好感して、4日の日経平均は3日ぶりに反発した。

問題はこれらの政策によって、円相場が円安の方向に修正されるかどうかだ。しかし残念ながら、その公算はきわめて小さい。なぜなら今回の円高は、完全にドル安の裏返しという形で生じているからだ。たとえば3月の場合は、日本企業が復旧資金を確保することが円高の要因になっていた。ところが今回は、ドルの先行き不安が世界中に広がっている。

ただ今回の円売り介入は、円相場が震災直後に付けた1ドル=76円25銭に接近した時点で行われた。したがって、この水準を超える円高は絶対に許さないという政府・日銀の強い意志を内外に明示した行為だったと言えるだろう。この水準に近づけば介入がありうる。その“警告”で、当分の間76円25銭以上の円高は阻止できるかもしれない。だが円相場が80円―90円台の水準にまで戻ることは、これまた当分の間ないだろう。


    ≪4日の日経平均 = 上げ +22.04円≫

    ≪5日の日経平均は? 予想 = 下げ

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サタデー自習室 -- 日本産業の空洞化 ①
2011-08-06-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ <総論> 低成長の主因に = 企業が生産工場や営業拠点を海外に移転する。すると国内の生産や営業活動が、その分だけ減ってしまう。これが産業の“空洞化”現象である。産業の空洞化が進むと、経済成長が抑えられ、雇用も伸び悩む。日本ではいま、この空洞化が加速する傾向にあり、大きな問題になってきた。

空洞化の歴史は意外に古い。1960年代から始まっているが、その当時の原因は主としてアメリカとの貿易摩擦だった。その後もいろいろな原因によって、企業の海外移転は切れ目なく続いている。特に最近は円高の進行と電力不足に対する不安から、空洞化の動きが加速してきた。

企業の経済活動が海外に移転することには、いろいろな点でメリットも多い。だがスピードが速くなりすぎると、国内経済に与える悪影響が無視できなくなる。日本はこの20年間ほど低成長に悩まされてきたが、その大きな原因の1つは空洞化の進展にあると考えていいだろう。特に雇用機会の喪失は痛い。

産業の空洞化はグローバル化現象の1つでもあり、その進行は避けられない。だが最近は国内の体制整備が追いつかないほど、進行のスピードが速くなってきた。政府も対応策を打ち出してはいるが、なかなか実効が上がらない。今回は空洞化の具体的な事例をみながら、その原因や影響を掘り下げて行く。


                          (続きは来週サタデー)

    ≪5日の日経平均 = 下げ -359.30円≫

    【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】

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サンデー実験室 = 新・孫に聞かせる経済の話
2011-08-07-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第4章 物価って、なんだろう? ⑥

◇ 卸売り業と小売り業 = 町のスーパーや電気屋さんの店先には、いろんな品物が並んでいますね。お母さんは毎日、買い物をしています。あなた自身も買い物をするでしょう。このように、家庭で使うものを売っているお店のことを「小売り店」と言います。

小売り店に並んだたくさんの商品は、みな遠くから運ばれてきました。たとえば海で獲れた魚は、港にある市場に運ばれます。そこで魚を買った人は、トラックで大きな町にある市場へ運びます。みなさんの家のそばにある魚屋さんは、そこから魚を買ってくるのです。

お米や野菜も同じです。お菓子もそれを作った工場から運ばれてきました。テレビや冷蔵庫などの電気製品も、同じように工場から送られてくるのです。外国から届けられた商品は何か、当ててみてください。

このように、町の小売り店に品物が並ぶまでには、たくさんの人が働いて品物を運んでいます。この段階の仕事を「卸売り業(おろしうりぎょう)」と呼んでいます。卸売り業は、小売り店からの注文を生産する人に伝えたり、生産者から品物を買って小売り店に届ける仕事だと覚えておいてください。
                    
                             
                             (続きは来週日曜日)

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今週のポイント
2011-08-08-Mon  CATEGORY: 政治・経済
世界経済が激動し始めた。先週はまずアメリカで、個人消費や産業界の景況判断に関する好ましくない統計が発表された。加えて債務限度を引き上げる条件として、政府に財政赤字の削減が義務付けられた。このためアメリカの景気の先行きに、悲観的な見方が急増した。さらにヨーロッパでは財政危機が再燃、イタリアの国債利回りがスペインを上回るという事態が発生した。

追い討ちをかけるように、スタンダード・プーア社がアメリカ国債の格付けを引き下げた。一方、ドイツやフランスの首脳はアメリカ政府とも協議、8日朝にもG7(主要7か国)の財務相が対応策を発表する方針。こうした慌ただしさを背景に、先週のダウ平均は699ドル急落。日経平均も533円値下がりした。ヨーロッパやアジア各国の株価も急落している。

今週の焦点は5つ。1つはアメリカ国債が売り込まれるかどうか。2つ目はFRBが第3弾の量的金融緩和を積極的に示唆するかどうか。3つ目はG7の緊急会議で具体的かつ効果的な対策を打ち出せるかどうか。そして4つ目は世界の株価が下げ止まるかどうか。5つ目は円相場の動向だろう。

今週は8日に、6月の国際収支と7月の景気ウォッチャー調査。9日に、7月の消費動向調査。10日に、6月の第3次産業活動指数と7月の企業物価。11日に、6月の機械受注。アメリカでは9日に、FRBのFOMC(公開市場委員会)。12日に、7月の小売り売上高とミシガン大学による8月の消費者信頼感指数。また中国が9日に、7月の消費者物価、生産者物価、鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額。10日に、7月の貿易統計を発表する予定。


    ≪8日の日経平均は? 予想 = 下げ

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怪獣 + 神様 / 市場主義の行き過ぎ ? (上)
2011-08-09-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 神様になった格付け会社 = もし「怪獣と神様が協調したら」--といってもアニメの物語ではない。いま世界の市場を席巻する現実の話である。ここでいう怪獣はヘッジ・ファンド、神様は格付け会社だ。この神様が先週もアメリカの国債を格下げし、世界中に大きな衝撃を与えた。

アメリカの格付け会社S&P(スタンダード・プーア)は先週、自国の国債に対する信用度を最上級のAAAから1段階下のAA+に引き下げた。この直前、アメリカ財務省はS&P社の試算に誤りがあることを指摘。決定の延期を申し入れたが、S&P社は応じなかった。この話が伝わると、ウォール街では投資家が「格付け会社はいつから神様になった」と声を荒げたという。

格付け会社はもともと、企業が発行する債券の信用度を調査・分析して、投資家に情報を提供する目的で設立された。それが昨今では、国債や地方債にまで手を広げている。たとえば昨年はギリシャ国債を格下げ、これが口火となって財政・金融不安がポルトガル、スペインからイタリアにまで広がっている。日本の国債も、ことし1月に格下げされた。

投資家に適切な情報を提供するのはいい。だが一国の信頼度を勝手に決め付けることは、あまりにも悪影響が大きすぎる。株価が急落、金利が急騰、通貨が揺さぶられる。景気は下降し、企業経営は苦しくなる。その損害は一般庶民とまじめな投資家が背負うことになる。こうした実態はだれの目にも明らかなのに、格付け会社が神様のように振る舞えるのは、すべてを自由な市場に任せることが最善だと考える市場万能主義に支えられているからに他ならない。


                                (続きは明日)

    ≪8日の日経平均 = 下げ +202.32円≫

    ≪9日の日経平均は? 予想 = 下げ

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怪獣 + 神様 / 市場主義の行き過ぎ ? (中)
2011-08-10-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 運用残高は2兆ドルに迫る = ヘッジ・ファンドという名の怪獣は、90年代から折に触れて猛威を振るっている。原油や小麦・大豆などの食料品。金・プラチナなどの貴金属から鉄や銅などの鉱物資源。さらに株式や金融商品、債券から通貨まで広範囲な市場に手を出している。そのたびに価格が高騰、多大な迷惑を被っているのが一般の人びとだ。

その起源は、アメリカの社会学者アルフレッド・ジョーンズが1949年に設立したファンドだといわれる。ふつうの投資信託は資金を公募によって集めるのが原則。これに対してヘッジ・ファンドは企業や基金などと契約して、その資金を運用する。米ヘッジ・ファンド・リサーチ社によると、昨年末の運用残高は合計1兆9173億ドル。前年よりも約20%増加した。

有名なのは、先ごろ引退を表明したジョージ・ソロス氏のファンド。過去40年間に年率20%という高い収益率をあげ、92年には英ポンドに空売りを仕掛けて大成功を収めている。このときソロス・ファンドは90億ドルを投入、イングランド銀行は170億ドルで買い支えた。しかしソロス陣営が勝ったのは、他のファンドが大挙してポンド売りに合流したからである。

このように儲かる投資案件があると、ファンドは急激にふくれ上がる。この怪獣は環境が整うと一気に身体を膨張させるスゴ技を持っており、油断できない。こうしたファンドの行き過ぎを是正するため、アメリカは大銀行がヘッジ・ファンドに融資することを禁止。また来年からはSEC(証券取引委員会)に経営内容を報告させることになった。ソロス氏はこうした規制を嫌って引退したと伝えられる。


                                 (続きは明日)

    ≪9日の日経平均 = 下げ -153.08円≫

    ≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ≫ 

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怪獣 + 神様 / 市場主義の行き過ぎ ? (下)
2011-08-11-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 米国は袋小路、欧州は賽の河原 = アメリカの場合、S&P社は財政赤字の削減計画が不足だという理由で国債を格下げした。ところが赤字の削減を強化すれば、景気は明らかに後退する。削減をこの程度で抑えると、国債が格下げされ株価の暴落や金利の上昇を招いて、これまた景気は下降する。要するに逃げ口のない袋小路に入り込んでしまった。

ヨーロッパの場合は、たとえばギリシャが財政再建計画を議会で決めEUが資金援助をしても、格付け会社は「実行は不可能だ」と断定。国債の格付けを下げる。そこでまたEUが援助を追加する。ギリシャにとっては、財政再建を実行するヒマさえ与えられない。要するに、いくら石を積んでも崩れてしまう賽の河原だ。

アメリカにしてもヨーロッパにしても、ここまで財政状態を悪化させたことに基本的な問題があることは確かだ。だがEUの金融当局者が言うように「格付け会社が信用不安をいたずらに増幅している」ことも確かだろう。しかも格付けの判定は、基準がきわめて不明瞭だ。その証拠にアメリカ国債についても、ムーディーズやフィッチといった大手の格付け会社は引き下げていない。

アメリカもヨーロッパも80年代から、金融市場に対する規制を次々に撤廃してきた。そのことは経済の活性化に大きく役立ったが、そこから神様と怪獣が生まれてしまった。とにかく一民間企業の判断が世界の株価を暴落させる。また投資会社が結束して食料の国際価格を吊り上げる。結果として額に汗して働く人たちが損をし、アフリカの子どもたちまでが飢えに苦しむ。こんなことが許されていいのだろうか。


    ≪10日の日経平均 = 上げ +94.26円≫

    ≪11日の日経平均は? 予想 = 下げ

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“菅降ろし”に流用された マニフェスト
2011-08-12-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 信用なくした民主党 = 民主、自民、公明の3党は9日、特例公債法案を今国会中に成立させることで合意した。その代償は、民主党の選挙公約だったマニフェストの大幅な修正。高速道路の無料化は断念、高校授業料の無料化と農家に対する戸別所得補償は見直し。そして最大の争点だった子ども手当も、大きく減額することになった。

特例公債法案の成立で、今年度予算の財源が確保される。また菅首相の退陣も確実になった。これで膠着していた政治も動き出す。そのこと自体は結構なことに違いない。だが民主党は、非常に大きな失策を犯してしまった。それは選挙の際に国民との間で約束したマニフェストを、国民に断りなく、野党との交渉カードとして使ってしまったことである。 

たしかに枝野官房長官は、記者会見で1度だけお詫びめいた発言をした。また菅首相も国会答弁のなかで、反省の弁を述べた。だが、これらの発言は国民に向けたものではなく、明らかに野党の態度を軟化させるための陽動作戦だった。国民の間ではだれひとり、謝られたという認識は持っていないだろう。

もちろん、マニフェストは修正してはならないと言うわけではない。だが未曾有の大災害に直面し、復興財源を確保することが最優先となった。だから早めに国民に謝って、修正すべきだったろう。そうしないで、野党との交渉材料に流用してしまった。もう民主党のマニフェストは、有権者に信用されないだろう。民主党の代表選に立候補する人は、このことを肝に銘ずるべきである。


    ≪11日の日経平均 = 下げ -56.80円≫

    ≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ

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サタデー自習室 -- 日本産業の空洞化 ②
2011-08-13-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ <事例①>活発な自動車業界 = 最近の新聞には、生産を海外に移管する企業のニュースがたくさん載っている。最も活発なのは自動車メーカーだ。たとえば日産自動車。昨年3月には、小型車マーチの生産をタイに移管した。さらに中国、インド、インドネシア、ブラジル、メキシコにも工場を造る予定。中国へは今後5年間に500億元(約6000億円)を投資する。これによって、現在100万台超の生産を5年後には2倍にする。

このほか三菱自動車は12年をメドに、小型車の生産をタイなどに移す計画。マツダは13年度に、メキシコ工場を稼働させる予定。またホンダもメキシコ工場の建設を検討中だ。スズキ自動車は、タイのほかにハンガリーへも生産の移管を考えている。

トヨタ自動車の話は、意外に少ない。トヨタは豊田社長が「国内での生産300万台体制を維持したい」と言うように、国内生産を重視している。理由は雇用と生産技術の水準を低下させないためだ。しかし、そのトヨタでさえも13年以降、小型車カローラの輸出車については海外に出すことを計画している。

メーカーの海外生産移管が速いため、部品メーカーは追いつくのに苦労している。クラッチ大手のエクセディはメキシコへ進出したが、他国の工場に生産を委託するところも多い。たとえばカルソニックカンセイはブラジルにあるドイツ社に、また鬼怒川ゴムはインドの韓国企業に生産を委託した。


                          (続きは来週サタデー)

    ≪12日の日経平均 = 下げ -18.22円≫

    【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】

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サンデー実験室 = 新・孫に聞かせる経済の話
2011-08-14-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第4章 物価って、なんだろう? ⑦

◇ いろいろな段階の物価 = みんなが食べたり、使ったりする品物は、それを生産する人たちのところから卸売り業の人たちの手を通じて、小売り店に届けられるのでした。生産者→卸売り業者→小売り店→みなさんの家 という流れを覚えておいてください。

生産者が卸売り業の人に品物を売るときの値段を、生産者物価と言います。次に卸売り業者が小売り店に売るときの値段が、卸売り物価です。さらに小売り店が町のお客さんに売るときの値段が、小売り物価です。

同じ品物でも、このように各段階で値段が違ってきます。働く人の賃金や運送費が加算されて行くため、値段はだんだん高くなり、小売り価格がいちばん高くなるのがふつうです。

小売り価格は、品物の値段を指しています。品物のほかに、生活するためにはサービスも買う必要がありますね。たとえば電気や水道の料金、電車やバスの運賃など。これらのサービス料金と品物の小売り価格を合わせた物価を、消費者物価と呼んでいます。
                   

                             (続きは来週日曜日)

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今週のポイント
2011-08-15-Mon  CATEGORY: 政治・経済
ダウ平均株価は先週、まるでジェット・コースターのように大きく上下動した。600ドル下げては400ドル上げ、500ドル下げてはまた400ドル戻す。アメリカ景気の先行き不安増大とヨーロッパの財政危機再燃が、大幅下落の原因。週間では176ドルの値下がりとなったが、むしろ反発力の強さに驚くほど。今週は下げ止まりを確認できるかもしれない。

日経平均は週間336円の値下がり。先々週よりは下げ幅を縮小したが、反発力は弱々しい。特に金曜日はアメリカが大幅に反発、ヨーロッパやアジアの株価も戻したのに続落した。円相場が史上最高水準に貼りついた状態を嫌気したためだが、外国人投資家の意欲が薄れたのではないかという心配もある。

先週はFRBが「ゼロ金利政策を13年半ばまで継続する」と表明。またEU4か国も、金融株の空売りを15日間禁止すると発表した。ともに世界的な株安の連鎖をなんとか食い止めようとする政策の発動である。そんななかで、日本は特例公債法案の成立にメドを付けただけ。あと永田町は、民主党の代表選挙しか眼中になくなってしまった。

今週は15日に、4-6月期のGDP速報。18日に、7月の貿易統計。19日に、6月の全産業活動指数。アメリカでは16日に、7月の住宅着工戸数と工業生産。17日に、7月の生産者物価。18日に、7月の消費者物価と中古住宅販売、それにコンファレンス・ボードによる7月の景気先行指数が発表になる。また16日には、EUが4-6月期のGDP速報を発表する。


    ≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ

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金本位制への幻影 ? ; 価格が暴騰 (上)
2011-08-16-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ たった2日間で100ドル上昇 = ニューヨーク商品取引所の金相場が、文字通り暴騰している。8日の取り引きで1トロイオンス=1700ドルを付けたと思ったら、10日にはなんと1800ドル。さすがに利食いが出てやや反落したが、それにしても驚かされる上昇スピードだ。相場が1000ドルの大台を超えたのは08年3月。リーマン・ショック後は700ドルにまで下がったが、そこからは一本調子で値上がりしてきた。

日本の店頭価格も急上昇した。11日の小売り価格は1グラム=4731円に。80年に付けた6495円には及ばないが、3年前に比べると5割以上も値上がりしている。日本の国内価格は円高になると、その分だけ下がる。80年の円相場は1ドル=240円だった。仮に現在の円相場が240円だとすると、金の値段は1万4000円程度になる計算だ。

金の国際価格が暴騰したのは、ヨーロッパとアメリカの財政不安が同時に深刻化したため。ユーロとドルの信用がともに低下した。そのうえ世界的に景気も鈍化する傾向が強く、原油や食料なども値上がりが見込めない。そこで投機資金が安全資産である金、それにスイス・フランと日本円に行き先を求めたためだと分析されている。

投機資金だけではなく、新興国などが金準備を増やしていることも、国際的な金の需給をタイトにしているようだ。たとえば10年前に比べると、中国の金保有高は2.7倍、ロシアは2倍、インドも5割の増加となっている。ごく最近も韓国が13年ぶりに金を購入、保有高を一挙に2.7倍に引き上げた。またメキシコもことし98トンの金を買い付けている。
 〔注 1トロイオンス=31.1034768グラム〕

                                 (続きは明日)

    ≪15日の日経平均 = 上げ +122.69円≫

    ≪16日の日経平均は? 予想 = 上げ

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金本位制への幻影 ? ; 価格が暴騰 (下)
2011-08-17-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 40年間では50倍に高騰 = ちょうど40年前の8月15日。アメリカのニクソン大統領は突如としてドルと金との交換停止を発表、全世界を驚かせた。それまでアメリカは金1トロイオンス=35ドルで無制限に交換することを保証、それによってドルの価値を維持する政策をとっていた。しかし貿易赤字の増大で金の流出が止まらなかったために、交換を停止したわけである。

それ以来、金は一商品として自由に売買されてきた。その結果が1800ドルという価格。この40年間で、実に50倍を超す値上がりを記録したことになる。逆に言うと、この40年間でドルの価値は50分の1に低下したことになる。いまアメリカ国債が格下げされるなどでドル安が大問題になっているが、長期的にみてもドルはきわめて大きく減価してきたことが判るだろう。

そんな状況のなかで、アメリカ西部のユタ州が金貨・銀貨を州内では通貨として認める法律を制定し、話題を呼んでいる。なかには「金本位制の復活」とみる人たちもいるようだが、それは早計。なにしろ金貨を通貨として使えば、額面の50ドルでしか通用しない。商品の金としては何100ドルにも売れるのだから、通貨としては流通しないはず。だが、どうしてこんな法律を制定したのか。

ドルの信認がさらに低下すれば、世界には基軸通貨が存在しなくなるかもしれない。それで世界の金融や貿易がうまく機能するのかどうか。金本位制の復活論は、そんな心配からも出てくるのだろう。金価格が3000ドルにも達すれば、1オンス=3000ドルで交換性を回復しても金は不足しないかもしれない。金本位制の可能性は小さいが、その幻影が現れ始めたことは確かだろう。


    ≪16日の日経平均 = 上げ +21.02円≫

    ≪17日の日経平均は? 予想 = 下げ

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欧米は同時不況へ / 頑張れるか 日本 (上)
2011-08-18-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 独仏もゼロ成長に = 日米欧の4-6月期GDP速報が出揃ったが、その結果はいずれも不調。EU統計局が16日発表した加盟27か国の実質成長率は年率換算で0.7%、前期の3.4%から大きく減速した。特に中軸国であるドイツが前期比0.1%の伸びにとどまったほか、フランスはゼロ成長に落ち込んでいる。ともに輸出と個人消費の低迷が響いた。

アメリカ経済も、減速傾向を明らかにしている。商務省が発表した4-6月期のGDP速報では、年率換算の実質成長率が1.3%で予想を大きく下回った。さらに1-3月期の成長率が1.9%から0.4%に大きく下方修正されて、関係者を驚かせている。企業の設備投資や輸出はまずまずだったが、個人消費が年率0.1%しか伸びなかった。

日本の4-6月期GDPは、年率マイナス1.3%だった。前期のマイナス3.6%よりは改善したが、まだ水面に顔を出せない。震災の影響で輸出が4.9%減少したほか、個人消費も自粛ムードが尾を引いて0.1%の減少となった。ただ災害復旧が進むにつれて、輸出も消費も順調に回復する動きをみせている。

このように4-6月期のGDP統計でみる限り、先進国の経済はみな不調。共通しているのは、個人消費の低迷だ。ヨーロッパはギリシャに端を発した財政不安の広がりが、アメリカは雇用と住宅に象徴される将来の景気不安が、個人の消費意欲を減退させる原因となっている。そうしたなかで、日本だけは経済が上向き。欧米が同時不況入りの気配を濃くするなかで、この上向き基調を守って行けるのかどうか。


(続きは明日)

    ≪17日の日経平均 = 下げ -50.17円≫

    ≪18日の日経平均は? 予想 = 下げ

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欧米は同時不況へ / 頑張れるか 日本 (下)
2011-08-19-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日本は3-5%成長へ = 日米欧の先進国は4-6月期、そろって経済が不調だった。アメリカとヨーロッパは、少なくとも7-9月期は不調が継続するとみられている。EUは経済の牽引力になってきたドイツとフランスの不振が痛い。6月はドイツの生産が前月比で1.1%減少した。新車販売もドイツが0.3%、フランスは12.6%の減少となっている。EUの財政問題は鎮静化に時間がかかるとみられ、景気の停滞は長引くかもしれない。

アメリカは7-9月期に入って、国債の格下げという新たな問題を抱え込んだ。株価の下落で、個人消費も抑制されそうだ。ミシガン大学による8月の消費者態度指数は8.8ポイントも急落、31年ぶりの低水準に落ち込んでいる。アメリカの財政問題も、早急に目鼻が付くような性質のものではない。年内は景気の低空飛行が続く可能性は高い。

このように欧米の経済は、同時不況に陥る公算が大きくなっている。そうしたなかで日本だけが、震災の復興需要に支えられて上向きの経済が続く。生産や輸出も順調に回復。今後は設備投資、住宅建築、それに公共事業も拡大する。日経新聞の調査だと、エコノミスト15人が予測する7-9月期の成長率はプラス5%。少なくとも3%成長は見込めるだろう。

日本の場合、10月以降もこの勢いを持続できるかが問題だ。欧米の不調に加えて、中国などの新興国も成長率が落ち気味である。さらに円高、株価の下落、電力不足など、障害物は少なくない。この障害物を乗り越えるための最低条件は、十分な規模と内容の第3次補正予算が早く成立することだ。9月には誕生する新政権の力量が、すべてのカギを握っている。


    ≪18日の日経平均 = 下げ -113.50円≫

    ≪19日の日経平均は? 予想 = 下げ

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サタデー自習室 -- 日本産業の空洞化 ③
2011-08-20-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ <事例②>自動車を追う鉄鋼・ゴム = 自動車メーカーが海外生産を拡大させているのを追いかけるように、自動車の素材メーカーである鉄鋼とゴムも海外展開を急いでいる。進出先は自動車メーカーと同じ地域が多い。また大企業であるだけに、投資額も大きいことが目立っている。

鉄鋼では新日鉄、JFEスチール、神戸製鋼の大手3社がそろってタイに新工場を建設する。いずれも自動車用鋼板の生産工場で、新日鉄とJFEは13年に稼働の予定。神戸製鋼は既存設備の増強となる。また住友金属はベトナムで新工場を建設する。

ゴム業界では、住友ゴムがタイのタイヤ工場を大幅に増強。13年までに100億円を投資して、生産能力を世界最大級に引き上げる計画だ。いま国内で最大のタイヤ工場はブリヂストン彦根工場で、日産4万6000本。これを大きく上回る10万本の生産能力を目指す。また東洋ゴム工業はマレーシアに新工場を建設する。

日本は世界でも有数な工業国だ。いろいろなものを生産しているが、そのなかで自動車と鉄鋼が占める割合はきわめて大きい。これにゴム工業まで加えると、全体の生産額に占める自動車・鉄鋼・ゴムの割合は3割に達する。もちろん生産が海外に移管されるのはその一部だが、仮に1割が移管されると日本全体の生産額が3%減ることになる。


                          (続きは来週サタデー)

    ≪19日の日経平均 = 下げ -224.52円≫
 
    【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】

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サンデー実験室 = 新・孫に聞かせる経済の話
2011-08-21-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第4章 物価って、なんだろう? ⑧

◇ 需要と供給では決まらない物価 = 魚に対する需要が強いと、魚の値段は上がります。弱いと下がります。野菜の供給が少ないと、野菜の値段は上がります。多いと下がります。そう、物価が需要と供給の関係で決まることは、もう勉強しました。

でも、すべての物価が需要と供給の関係で決まるわけではありません。たとえば電車賃やバス代。いつもは100円なのに、きょうは乗る人が多いから120円に値上げしますというふうに変わったら、みんな困ってしまうでしょう。

電気代やガス代、水道代も同じです。このように大勢の人たちが、生活するために毎日のように使うもの。だから値段がたびたび変わったら、とても不便になって困るもの。これを公共料金と言っています。

公共料金も変わることがあります。しかし、そのときには役所に理由を説明して、OKしてもらわなければなりません。ですから、ふつうは何年に1度という程度でしか変更されないのです。


                             (続きは来週日曜日)

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今週のポイント
2011-08-22-Mon  CATEGORY: 政治・経済
今週のポイントは、円高と株安が止まるかどうかだけ。円相場は19日のニューヨーク市場で、とうとう1ドル=75円95銭の戦後最高値を記録した。油断がならないのは、大型のヘッジ・ファンドが円投機に乗り出してきたことである。こうした投機資金が円に集中すると、その資金力は1兆ドルにも達するから、少々の介入などではとても太刀打ちできない。

世界的な財政・金融不安と景気の見通し悪化で、投資資金の行き先は金とスイス・フラン、それに日本円に限られてしまった。そんな経済環境のなかで、投機資金は政治の状況も利用する。民主党が代表選挙で手いっぱいになっているいまが、仕掛けるチャンスと考えている可能性は大きい。

アメリカの景気は、出口の見えないトンネルに入り込んだようだ。景気とドルの先行きが不鮮明となったことから、ダウ平均は4週続落。先週は451ドルの値下がりとなった。日経平均も週間244円の下げ。こちらも4週続落して、3月15日以来の安値。TOPIXは09年3月以来の水準にまで下がっている。

今週は24日に、7月の企業向けサービス価格。26日に、7月の消費者物価が発表になる。アメリカでは23日に、7月の新築住宅販売。26日には、4-6月期のGDP改定値が発表になる。株価に影響を与えるような指標の発表はない。


    ≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ≫ 

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円高・株安対策 / 新しい発想で (上)
2011-08-23-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 超円高の勢いは止まらない = 円相場は先週のニューヨーク市場で、とうとう1ドル=75円95銭の戦後最高値を記録した。ヨーロッパに加えてアメリカでも財政・金融不安が高まり、株式とドルの価格が下落。これを嫌った投機マネーが金とスイス・フラン、それに日本円に行き先を求めた結果だと分析されている。

今回の円高は過去のケースと違って、たやすく円安には戻らないと考えられる。というのも現状からみる限り、ヨーロッパとアメリカの財政・金融不安は中長期的に持続する可能性が大きいからだ。この際、第一に肝要なことは、超円高の継続を覚悟することである。政府・与野党はこうした基本的な認識のうえに立って、円高対策を早急に進めてほしい。

政府・日銀は今月4日、4兆5000億円を投じて円売り介入を実施したが、その効果は1週間しかもたなかった。為替介入は円相場の急激な上昇を抑えるためには必要だが、相場を円安の方向に誘導するだけの力はない。第二には、この点も理解しておくことが大切だ。では、どうするか。

円高で打撃を受けるのは、主として輸出関連企業だ。その打撃を緩和するためにいま実施できる政策は、法人税の引き下げしかない。このような対策が講じられないと、中小企業の倒産が増え、大企業の海外進出が加速されて国内産業の空洞化が進む。いま政府・与野党の内部では災害復旧の財源として法人税の引き上げを検討しているが、発想を改めて法人減税の実施を考えるべきだ。


                                (続きは明日)

    ≪22日の日経平均 = 下げ -91.11円≫

    ≪23日の日経平均は? 予想 = 上げ

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円高・株安対策 / 新しい発想で (中)
2011-08-24-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 円高のメリットを享受しよう = 法人減税を輸出関連企業に限定すると一種の輸出補助金となってしまい、海外から批判を招く。したがって全業種を対象とした一般的な法人減税とするしかない。いま日本の法人税は国税と地方税を合わせた、いわゆる実効税率が40.69%。国際的にみても、きわめて高い。このうち国税分は30%。これを20%に引き下げると、減税額はおよそ3兆円になる。

これだけの減税があれば、1ドル=75円程度の円高が続いても輸出企業の利益水準は維持できる。その他の企業はそっくり増益要因になるから、設備投資や雇用の面への好影響が期待できる。景気対策としての効果もあるに違いない。

問題はその財源だ。今回の円高を経済的な“大災害”と考えて、震災復興の方式を援用してはどうだろう。つまり当面は“円高調整国債”を発行し、今後数年間の財政支出削減で償却する方式だ。震災復興の財源を捻出するだけでも大変なのに、そのうえ円高国債とは何事だという批判は当然出るに違いない。だが超円高のデメリットが抑制できれば、あとは円高のメリットだけを享受できるようになる。

円高は日本の輸入価格を引き下げる。エネルギー・資源・原材料、それに食料や日用品に至るまで、価格を引き下げる効果はきわめて大きい。恩恵は企業にも家計にも行き渡る。これまでは輸出産業に対するデメリットに関心が集まりすぎ、円高を素直には喜べなかった。しかし3兆円のコストで何の心配もなく、円高のメリットだけを考えられるようになれば安いものだ。日本経済がぐっと明るくなる。こういう発想の転換が、いま求められているのではないか。 


                                (続きは明日)

    ≪23日の日経平均 = 上げ +104.88円≫

    ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ

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円高・株安対策 / 新しい発想で (下)
2011-08-25-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日銀は株価対策を! = 日銀は昨年10月、量的金融緩和の新しい手段として「資産買い入れ基金」を創設した。市中銀行が保有する国債や社債、それにETF(上場投資信託)を買い入れることによって、市中に新しい資金を供給する仕組み。市中金利を下げて景気を刺激し、また日米間の金利差を拡大させて円高を抑制することが狙い。

今回の円急騰に対して、政府・日銀は8月4日に為替介入を断行した。同時に日銀はこの基金の買い入れワクを40兆円から50兆円に拡大している。このなかでETFの買い入れワクは、従来の9000億円から1兆4000億円に増額した。ただ、この措置は心理的な効果に依存するところが大きい。実際には、市中に資金がダブ付いている現状では、強力な手段とはなりにくい。

市場関係者の推測によると、日経平均が1%以上下がると200-300億円程度のETFを買い入れているようだ。1日2兆円の出来高があるなかで、これでは全く株価対策にはならない。日銀は少なくともETFに関する限りは、金融緩和ではなく株価対策を目的にしたらどうか。そのためには買い入れワクをもっと増やし、株式市場から直接買い入れる。買ったら大引け後に、その額を公表する。

日銀が発想を転換して、このような株価対策に乗り出せば株価を押し上げる力は小さくない。日経平均が上昇したときに売って儲けを出せば、国庫納付金を通じて財政にも貢献できるだろう。とにかく、いま八方塞がりの日本経済。円高と株安の心配が軽減されれば、まだまだ地力が発揮できる。政府・日銀と与野党の政治家が、従来の発想から大転換してもらいたいものだ。


    ≪24日の日経平均 = 下げ -93.40円≫

    ≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ

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驚異的な高騰 / 2000ドル目前の金価格
2011-08-26-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 4か月で400ドルも上昇 = ニューヨーク商品取引所の金先物相場が22日、1トロイオンス=1917ドル90セントの史上最高値を付けた。金価格が1000ドルの大台に乗せたのは08年3月。ことし4月には1500ドル台に。8月10日には1800ドルを突破した。その上昇スピードは驚異的である。(1トロイオンス=31.1034768グラム)

ヨーロッパの財政・金融不安がアメリカにも飛び火して、米ドルに対する信頼が大きく揺らいでしまった。さらに世界経済の見通しも芳しくなく、株価や原油などの商品相場も下落している。このため行き先を見失った投機資金が、金市場に殺到したことが直接の原因だ。

裏返せばドルの信認が回復しないと、金価格の上昇傾向は続くだろう。この見地からアメリカの現状をみると、当分の間はドルへの信認が回復するような条件が全く見当たらない。もちろん価格が上昇すると利益確定の売りが出るから、短期的な下落は十分にありうる。しかし長期的には、まだ上昇傾向が続くのではないだろうか。

投機資金は金市場のほかに、安全資産と目されている日米の国債や円にも流れ込んでいる。したがって今回の超円高水準も、なかなか解消しないと覚悟した方がいい。急激すぎる円高を抑えるための為替介入は必要だが、もっと根本的な円高対策を考えないと日本経済の衰退は加速してしまうかもしれない。


    ≪25日の日経平均 = 上げ +132.75円≫

    ≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ

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サタデー自習室 -- 日本産業の空洞化 ④
2011-08-27-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ <事例③>電機・非鉄から生活用品まで 生産を海外に移す動きは自動車とその関連業界で顕著だが、最近は電機や生活用品メーカーなど多くの分野に広がってきた。NECはタイで12月からサーバーの生産を開始。日立は国内でのテレビ生産を停止、台湾のメーカーに新型モデルの生産を委託する。また日本電産、パナソニック、NTTデータは、本社機能の一部や研究部門を海外に移転する計画だ。

非鉄金属業界では、三井金属がスマートフォン用の極薄電解銅箔をマレーシアで生産することを計画。JX日鉱日石金属も液晶パネル部品のアジア工場を建設する方針。ガラス工業では、HOYAが中国に建設した光学ガラス工場を12月から稼働する。また東レは炭素繊維工場を韓国で建設中。

生活用品の業界では、ユニ・チャームが中国とインドネシアで紙おむつの生産を始めている。また資生堂は中国に続いてベトナムにも調達センターを作る予定。このほか生産の移転ではないが、デパートやスーパー・コンビニ、量販店や飲食チェーン店などの小売り業界が、中国はじめアジア各国に多くの支店を出していることはよく知られている。

このように、いま日本の産業界はかなりの勢いで海外に飛び出している。海外進出という積極的な面もあるが、“日本脱出”という側面もないではない。これが日本の国内産業に“空洞化”現象を発生させる。すでにその影響は無視できない大きさに増大した。次回からは、その影響をまとめてみよう。


                          (続きは来週サタデー)

    ≪26日の日経平均 = 上げ +25.42円≫

    【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】

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サンデー実験室 = 新・孫に聞かせる経済の話
2011-08-28-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第4章 物価って、なんだろう? ⑨

◇ インフレとデフレ = 「インフレ」とか「デフレ」という言葉を、聞いたことがありませんか? まずインフレというのは、物価が何か月も何年も上昇を続ける状態を指して言います。またデフレはその反対に、物価が下がり続ける経済状態のことを表わす言葉です。

需要が強い状態や供給が少ない状態が、ずっと続いたとき。製品を作るのに必要なエネルギーや原料、あるいは働く人への給料の支払いが増える。そんなときにインフレは起こりやすくなります。デフレの原因は、その反対と考えていいでしょう。

みんなの生活にとって、インフレやデフレは起らない方がいいのです。インフレで物価が上がると、同じものを買うのにおカネをたくさん払わなければならなくなります。またデフレは需要が不足して、不景気のときに起りやすいのです。景気が悪いのもイヤですね。

日本は最近ずっとデフレの状態に陥っていました。景気が低迷し、需要が不足したためです。今回のデフレはかなりしつこく、まだデフレの状態から抜け出せません。みなさんも新聞で報道される消費者物価や企業物価などの記事を読んで、デフレが終わりそうかどうかを考えてみてください。


                         (続きは来週日曜日)

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今週のポイント
2011-08-29-Mon  CATEGORY: 政治・経済
バーナンキFRB議長に振り回された1週間だった。ニューヨーク市場は週初から講演内容の予想をめぐって、一喜一憂の繰り返し。当日の26日は焦点となっていた追加の金融緩和策に関して「9月のFOMCで引き続き検討」の発言が伝わると、ダウ平均は一時220ドルも下落。そのあと切り返して、終り値は前日比135ドルの上昇で終了した。週間では467ドルの値上がり。

市場はバーナンキ議長の発言を最初は「追加緩和策の先送り」と読んだが、その後は「9月には実施される公算」と解釈し直したようだ。この解釈の相違は今後も1か月間は、折に触れて蒸し返されるに違いない。もう1点、今回のこのドラマはアメリカも財政面からの景気対策が期待できなくなり、ますます金融政策に過大な注目が集まっていることを証明したと言える。

こうしたウォール街の動きを睨みながら、東京市場はやや委縮気味。日経平均は週間79円の上昇だった。外国人投資家の買いも減退しているのではないか。今週は前原前外相と海江田経産相のどちらが新首相になるのか。どちらにしても市場への影響は限定的だろう。

今週は30日に、7月の雇用統計と家計調査、それに商業販売統計。31日には、7月の鉱工業生産、毎月勤労統計、住宅着工と自動車生産台数。1日には8月の新車販売台数。2日には、4-6月期の法人企業統計。アメリカでは29日に、7月の中古住宅販売。30日に、6月のSPケースシラー住宅価格とコンファレンスボードによる8月の消費者信頼感指数。1日には8月のISM製造業景況指数と新車販売。そして2日には、最も重要な8月の雇用統計。また31日に、ECが8月の消費者物価を発表する。


    ≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ

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野田新首相の 経済政策 (上)
2011-08-30-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 反小沢派の結集で逆転 = 民主党の代表選挙は決選投票の末に、野田財務相が海江田経産相を逆転する番狂わせの結果となった。小沢・鳩山派の支持を受けた海江田氏は決選投票で票を伸ばせず、逆に前原氏ら3候補の票が野田氏の支持に流れたためである。民主党内の親小沢vs反小沢の勢力図が、意外な形で明らかになったと言えるだろう。

経済政策については、代表選に立候補した5人のうちで野田氏の主張が最も鮮明だった。財政を重視する立場から、はっきり増税の必要性に言及したのは野田氏だけである。具体的には社会保障と税の一体改革を進めるため、2010年代の半ばまでに消費税を10%に引き上げる。災害復興の財源を確保するために、臨時増税を12年度にも実施するなど。

その代わり行財政改革は厳しく推進。議員定数の削減を含む財政支出の節減で生み出した資金を、環境・エネルギー・健康・医療の分野に投入して、経済成長を追及する姿勢を打ち出している。財務省のお役人が喜びそうな施政方針だが、問題はやはり増税と景気をどう両立させるか。その数字的な根拠はまだ示していない。

原発については、新設は困難という見方。依存度は減らして行くが、安全性が確認されれば稼働させる。少なくとも30年までは、既存の原発を活用するしかないと考えている。またTPP(環太平洋経済パートナーシップ)に対しては前向きで、経済提携については「中国や韓国に周回遅れとなってしまった」と述べて、早期に結論を出したい意向を漏らしている。


                                (続きは明日)

    ≪29日の日経平均 = 上げ +53.57円≫

    ≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ

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