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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
サンデー実験室 = 新・孫に聞かせる経済の話
2013-09-01-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第14章 金融緩和って、なんだろう? ⑨

◇ 緩和の縮小が大問題に = 金融緩和は、景気が悪いために実施する政策ですね。だから景気がよくなれば、緩和政策を止めるのは当たり前。ところが、いまアメリカでは緩和政策をいつ止めるのかが大問題になっています。特に株価は、この問題が浮上した6月ごろから足踏み状態に入ってしまいました。

アメリカの景気は、ゆっくりした回復を続けています。そこでアメリカの中央銀行に当たるFRB(連邦準備理事会)のバーナンキ議長が、5月に「そろそろ金融緩和の縮小を考えなければ」と発言したのです。緩和政策の終了と言っても、いっぺんには止められません。たとえばFRBはいま毎月850億ドルの債券を市場から買っていますが、これをまず600億ドルぐらいに減らす。これが緩和政策の縮小です。

FRBが市場に放出するおカネを減らすと、株式市場に流入するおカネも減少するでしょう。そうすると株価は下がってしまうかもしれない。市場の関係者はこう考えて、株式の購入を手控えるようになったのです。株価が上昇しないと、個人の消費も増加しません。アメリカの景気そのものにも、悪い影響を与える可能性があるわけです。

こんな問題を生じてしまった基本的な原因は、やはりカネ余りにあると言えるでしょう。金融緩和でカネ余り状態に。そのおカネが市場に流れ込んで株価を上昇させた。だからおカネの量が縮小することが怖い。金融緩和が作り上げた状況のために、緩和の縮小がやりにくいという皮肉な構図ですね。でも緩和を永久に続けることはできません。

                        (続きは来週日曜日)


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今週のポイント
2013-09-02-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 降って沸いたシリア問題 = アメリカがシリアに軍事介入する公算が強まり、投機資金が株式市場から逃げ出した。アメリカの4-6月期GDP成長率が2.5%に上方修正されるなどの好材料もあったが、株価は下落。ダウ平均は先週200ドル値下がりした。資金の一部は、原油や金市場に移動している。

ニューヨーク市場では金融緩和の9月縮小説が強まり、株価はかなり織り込みつつあった。そこへシリア問題。資金はいったんリスク回避へ動いたが、これで金融緩和の縮小は遠のいたという見方も現れ、再び方向感を失っている。軍事介入は限定的との観測で、週末にはシリア不安もやや落ち着いた。

日経平均は先週272円の値下がり。8月中は279円の下落で、4か月連続の値下がりとなった。5月以降の下げ率は3.4%だから、そうきつくはない。しかし円相場の反転で、完全に頭を抑えられている。9月の相場も、要因は円相場と消費増税に絞られそう。“有事のドル”の法則が、シリア問題では働いていない点は要注意だ。

今週は2日に、4-6月期の法人企業統計と8月の新車販売台数。3日に、7月の毎月勤労統計。6日に、7月の景気動向指数。アメリカでは3日に、8月のISM製造業景況指数。4日に、7月の貿易統計と8月の新車販売台数。5日に、8月のISM非製造業景況指数。6日に、8月の雇用統計が発表される。
    

    ≪2日の日経平均は? 予想 = 上げ

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消費増税へGOサイン : 7月の指標 (上)
2013-09-03-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 経済指標はそろって上向き = 先週30日に発表された7月の主要な経済指標が、みな景気の上昇を反映して上向きとなった。この調子だと、7-9月期の経済は順調に拡大する公算が大きい。消費増税を実施するための条件が整うわけで、安倍首相はいよいよ決断を迫られることになる。

経済産業省が発表した鉱工業生産は前月比3.2%の増加だった。業務用機械や自動車の生産増加が大きく、資本財の生産が4.4%増になったことが特徴。15業種中で12業種が増加した。予測では8月が0.2%増、9月も1.7%増加する見通し。この予測どおりになれば、7-9月期は前期比2.4%の増加となる。

総務省が発表した雇用統計によると、完全失業率は3.8%と前月より0.1ポイント低下した。医療・福祉、卸・小売り業での雇用が増加。女性の失業率は3.3%と15年10か月ぶりの低さになった。厚生労働省がまとめた有効求人倍率も0.94倍に上昇、厚労省は「改善が進んでいる」と状況判断を上方修正している。

物価も上昇傾向を強めている。総務省が発表した消費者物価は、生鮮食品を除いた総合指数で前年比0.7%の上昇だった。もっとも電気代やガソリン価格の高騰による影響が大きく、歓迎すべき物価高ではない。しかし景気が悪ければ、物価はそれほど上がらない。したがって物価の上昇も、消極的な意味で景気の回復を表していると言えるだろう。ところが・・・。

                       (続きは明日)


    ≪2日の日経平均 = 上げ +184.06円≫

    ≪3日の日経平均は? 予想 = 上げ

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消費増税へGOサイン : 7月の指標 (下)
2013-09-04-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 半年先は予測できない = 驚いたのは、読売新聞の大変身である。これまで一貫して来年4月の消費増税を支持してきた姿勢を一変。8月31日付けの社説で「来春の8%への増税は見送るべきだ」と主張した。その論旨は、まだ景気の回復が十分ではない。だから「景気の本格回復を実現したうえで、15年10月に10%へ引き上げる」という提案だ。

だが、この提案には大きな欠陥が潜んでいる。仮に15年10月に消費税率を倍増するとしたら、15年4月ごろにはやはり増税の決断をしなければならない。もし4月ごろの景気が好調であっても、半年先の状況を完全に予測することは不可能だ。リーマン・ショックの半年前に、不況の到来を予測した人はいない。

要するに半年後のことは判らないから、消費増税の決断には常に賭けの要素が付きまとう。政府が主催した消費税の点検集中会合では「毎年1%ずつ5年間にわたって引き上げる」案が出たが、これも同じ。5年間にわたって景気が上昇し続ける確率は決して高くないから、どこかで行き詰まってしまう。

景気に対する増税のマイナス効果は避けられない。そのことをよく理解したうえで、いまはマイナス効果をできるだけ小さくするための追加的な政策を考えるべきときだろう。法人税の減税や設備投資減税、さらに自動車や住宅関連の減税、低所得者に対する補償などの組み合わせ。7月の経済指標は、これらの準備を整えたうえで消費増税にGOサインを出すチャンスだと教えている。


    ≪3日の日経平均 = 上げ +405.52円≫

    ≪4日の日経平均は? 予想 = 下げ

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12,142円の増加 / 勤労者世帯の収入
2013-09-05-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 昨年8月から増加続く = 総務省が発表した7月の家計調査によると、2人以上世帯の実質消費支出は前年比で0.1%の増加だった。6月の0.4%減少からプラスに変わったものの、あまりインパクトのある数字ではない。このため新聞各紙の扱いも小さかった。

ところが発表文をよく読むと、なかなか捨てがたい数字に出くわした。それは勤労者世帯の実収入が、この1年間伸び続けていることだ。7月の実収入は1世帯平均で56万9174円。前年同月に比べて1.3%増加した。特に女性の配偶者による収入が3.3%も増えている。

実収入というのは、税込みの収入金額。世帯の実収入は、全員の税込み収入を合計した数字だ。この実収入が昨年8月以降、ことし2月を除いて毎月増え続けている。実額でみると、ことし7月の収入金額は昨年7月に比べて1万2142円増えた。

この集計結果について、総務省はなにもコメントしていない。だが7月の労働力調査とつき合わせてみても、医療・福祉や卸・小売業で働く女性の数が増え、これが勤労者世帯の実収入を引き上げていることは明らかだ。景気の回復がこうした面にも現れてきたことを、政府はもっと宣伝してもいいのではないか。


    ≪4日の日経平均 = 上げ +75.43円≫

    ≪5日の日経平均は? 予想 = 上げ

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竜巻は大丈夫なのか : 原発汚染水
2013-09-06-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 誰も指摘しないけれど = 専門外のことなので、間違っているのかもしれない。だが新聞の紙面を眺めていて気がついたら、どうにも気になって仕方がない。そこで問題を提起し、専門家の意見やブログ読者の皆さんの感想をお聞きしたい。

その日の朝刊各紙は、埼玉県から千葉県にかけて前の日に発生した竜巻の被害を大々的に報じていた。そして同じ紙面で、国が福島第一原発の汚染水対策に乗り出すという記事も。この2つの記事には、全く関連性がない。だが紙面を見て気になったのは、仮に福島第一原発を大きな竜巻が襲ったらどうなるか、という心配である。

もちろん通常の場合なら、原発が竜巻ぐらいで被害を蒙るとは考えられない。しかし福島第一原発の場合は、爆発で屋根が吹き飛んだままの発電所がある。それにずらりと並んだ急ごしらえの汚染水タンク。もし竜巻が直撃したら、大量の汚染水が空中に巻き上げられる心配はないのだろうか。

国や東京電力は、地震や津波の被害を恐れて対策に取り組んでいる。だが竜巻の心配は聞いたことがない。局所的な竜巻が福島第一を襲う確率は、それほど大きくはないかもしれない。しかし万一そういう事態が起きたら、一大事なのではないか。誰も指摘はしていないけれど、“想定外だった”では済まされないだろう。政府や専門家、それに新聞社の考えをぜひ聞きたい。


    ≪5日の日経平均 = 上げ +10.95円≫

    ≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ

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サタデー自習室 -- マイナンバー制度の検証 ⑥
2013-09-07-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 海外の制度は千差万別 = 国民1人ひとりに番号を付ける制度の歴史は古い。スウェーデンでは1571年に、キリスト教会が信者に番号を付けて登録させたという。そのスウェーデンでは第2次大戦直後の1946年、国民番号制度を導入した。アメリカは大恐慌時代の36年に、失業保険金を支払うために社会保障番号を開始。62年からは適用範囲を税務や選挙にまで広げている。

韓国は68年に住民登録番号制度を実施。オーストラリアも89年に納税者番号制度を採用している。21世紀に入ってからは、オランダが07年、ドイツが09年に番号制度を導入した。しかし各国の番号制度は名称もバラバラ。個人の番号が適用される範囲は、それこそ千差万別と言っていい。

まず適用範囲を税務だけに絞っているのはドイツ。税務と所得保障に限っているのはオーストラリア。範囲が広いアメリカでは、銀行口座の開設や不動産の契約、スポーツ・クラブへの加入にも社会保障番号が必要だ。さらにスウェーデンや韓国では、教育や徴兵制度にも個人番号が使われている。

もう1つは、行政機関がお互いに個人情報を自由にやりとりすることへの規制。自由な交換が可能だと、それだけ個人情報が外部に流出しやすくなる。そこで各行政機関が保有する個人データには、それぞれが別の暗証番号を付けて保護する。あるいは行政機関同士の情報交換ができない仕組みにするなど、いろいろ対策を講じている。

                        (続きは来週サタデー)


    ≪6日の日経平均 = 下げ -204.01円≫

    【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】

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サンデー実験室 = 新・孫に聞かせる経済の話
2013-09-08-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第14章 金融緩和って、なんだろう? ⑩

◇ とばっちり受ける新興国 = アメリカの景気が回復してきたことから、FRBは金融緩和政策を縮小するかもしれない。そういう考え方が広まっただけで、多くの新興国が苦しい状態に追い込まれました。というのもおカネの流通が減ることを予想した投機資金が、新興国から引き揚げ始めているからです。

投機資金が引き揚げられると、その国の通貨は値下がりします。すると物価が上昇して、景気は下降。株式も売られて、経済は苦しくなるのです。たとえばインドの通貨ルピーは、この4か月ほどで20%以上も値下がりしました。インドネシアやタイ、ブラジル、南アフリカでも、同じような現象が起こっています。

もちろん、各国政府は懸命に対策を講じています。資金の流出を食い止めるために、金利を引き上げる。通貨の下落を抑えるために、為替市場で自国の通貨を買い支える。また海外への送金を規制する。いろいろな手段を講じていますが、なかなか成果はあがりません。

新興国の経済が悪化すると、やがては輸出の減少などを通じて、先進国の経済にも悪影響を及ぼします。そこで先週5-6日にロシアのサンクトぺテルブルクで開かれたG20(主要20か国首脳会議)でも、この問題が重要なテーマになりました。しかし解決策は見出せなかった、というのが実情です。

                        (続きは来週日曜日)


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今週のポイント
2013-09-09-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 緩和縮小+シリア⇒? = ウォール街は新たなパズルを抱え込んだ。景気の回復を重視するか、それとも金融緩和政策の早期縮小を警戒するか。このジレンマにシリア介入問題が加わって、正解は誰にも判らない。それでもダウ平均は先週112ドル値上がりした。

アメリカ労働省が発表した8月の失業率は、前月より0.1ポイント改善して7.3%に低下した。しかし非農業雇用者数は16万9000人の増加にとどまり、予想を下回った。この結果をみて、FRBは9月中に緩和の縮小に踏み切るかどうか。予測はきわめて難しい。そのうえにシリア問題。株価の動きは、どうしても重くなる。

日経平均は先週472円の値上がり。オリンピックの東京招致に対する期待感も貢献した。その東京オリンピックが決まって、今週は“オリンピック銘柄”の選定が始まるだろう。その経済効果は6年間で3兆円と意外に小さい。だがカネでは計り切れない心理的な効果を、市場がどこまで買い進むのか。

今週は9日に、4-6月期のGDP改定値、7月の国際収支、8月の景気ウォッチャー調査。10日に、7月の第3次産業活動指数。11日に、8月の企業物価。12日に、7月の機械受注が発表される。アメリカでは13日に、8月の生産者物価と小売り売上高、ミシガン大学の9月・消費者信頼感指数。また中国が7日に、8月の消費者物価。10日に、8月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。


    ≪9日の日経平均は? 予想 = 上げ

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オリンピックで 新たな国造りを
2013-09-10-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 経済計画を作り直そう = 2020年の東京オリンピックが正式に決まった。東京の招致委員会によると、競技会場や選手村などの施設整備費は3831億円。観戦客が宿泊や買い物で落とすカネは1兆2200億円。建設業やサービス業を中心に生まれる経済効果は、合計2兆9600億円にのぼると推定している。

“安上がりのオリンピック”を目指したせいもあるが、この推定値は予想外に小さい。20年までの7年間に生まれる経済効果だから、単純な年平均では4200億円ほど。ただし招致委員会のこの推計は、一次的な効果しか勘定に入れていない。たとえば首都高速道路など老朽化した部分の前倒し整備などの二次的な支出を加えれば、経済効果は数倍に拡大するだろう。

一次的な支出の財源は、東京都がすでに積み立てている。だが数兆円にのぼると思われる二次的な支出の財源は、国がこれから予算化しなければならない。その財源をどうするかを含めて、政府はこの機会に財政計画を立て直すべきだろう。つまりオリンピックが開かれる20年秋の財政状態がどうなっているのかを、国民と世界に明示する。

財政だけではない。年金や健康保険。給与や物価。それに福島第1原発の処理を含めたエネルギー計画など。オリンピック開催時点で、日本がどんな国になっているか。オリンピック開催という新しい目標に向かって発揮される国民の求心力を、新しい国造りにも活かす。いま政府は、こんな運動を展開すべきではないのか。


    ≪9日の日経平均 = 上げ +344.42円≫

    ≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ

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首都高の大改修に 9100億円 (上)
2013-09-11-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ オリンピック開催で不可欠に = オリンピックの東京開催が決まったことで、首都高速道路の本格的な大改修が不可欠となった。東京の安全性をあれだけPRして招致したのだから、絶対にトンネルの天井崩落や路面の陥没などがあってはならない。ただ、その財源をどうするか。国と東京都と首都高速道路会社は、早急な対応を迫られる。

首都高の総延長は301㌔㍍。1964年の東京オリンピックを控えて、その建設が始まった。だから古い。最初に開通した京橋-芝浦間はもう51年、全体の半分が30年以上の歳月を経ている。1日に100万台以上の車が走り、損傷はきわめて激しい。補修が必要な個所は10万か所にのぼっている。

したがって大々的な改修が必要なことは言うまでもないが、オリンピックによって至上命令になった。首都高速道路会社によると、損傷が激しいのは6路線で、そのうちの16㌔㍍は全面更新。28㌔㍍は大規模な修繕が必要だという。

その工事費は9100億円と試算されている。だが財源は全くない。道路法では、首都高は都道・県道の扱い。本来なら国は関知しない。それでは更新など覚束ないため、東京都と神奈川県は「国の負担で取り組むべきだ」という要望書を政府に提出した。

                      (続きは明日)


    ≪10日の日経平均 = 上げ +218.13円≫

    ≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ

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首都高の大改修に 9100億円 (下)
2013-09-12-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 徹底改修なら4兆3000億円 = 首都高は前回のオリンピックに間に合わせるため、そうとうムリをして建設された。このため事故や渋滞につながりやすい急カーブや分岐地点が多い。さらに、たとえば日本橋の上を通すなど、景観上の問題もある。

国土交通省の有識者会議は昨年9月「老朽化部分を撤去し、地下化する」という大胆な報告書をまとめている。こうすれば、安全性や景観の問題はかなり改善されるだろう。だが、こうした徹底的な改修には莫大な費用がかかる。有識者会議の試算では、なんと4兆3000億円。東京-名古屋間のリニア建設費に匹敵する金額だ。

財源については、首都高にフタをして空中権を売る構想が注目されている。太田国交相も7日の経済財政諮問会議で、実現の方向で検討する方針を明らかにした。具体的には、地価の高い銀座の首都高1㌔㍍での実施が有力。この場合、収入は1兆円程度になるとみられる。

実現すれば、首都高の当面の改修費は調達できることになる。成功すれば、この方式を広げることで、徹底改修の費用も順次まかなえるかもしれない。この部分が拡大すればするほど、オリンピックの経済効果は増大する。だが、はたしてうまく行くか。まだ見当が付かない。


    ≪11日の日経平均 = 上げ +1.71円≫

    ≪12日の日経平均は? 予想 = 下げ

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司法省と格付け会社が激突 / アメリカ
2013-09-13-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ おかげで“格下げ”は激減? = アメリカでは、司法省が最大手の格付け会社S&P(スタンダード・プーア)社を提訴し、裁判が行われている。提訴の理由は「バブルが崩壊した08年以前に、住宅ローン担保証券などに不当に高い評価をつけ、その後の価格暴落で購入者に多額の損失を与えた」というもの。

これに対して、S&P社は3日の法廷で「この提訴は、当社がアメリカ国債を格下げしたことへの報復だ」と強く抗議。加えて「これは憲法が保障する“表現の自由”を脅かす」と抗議した。S&P社は11年夏、アメリカ国債を初めて格下げし、大きな反響を呼んだことがある。このとき、他の格付け会社は格下げしなかった。

S&P社は「他の格付け会社も住宅ローン担保証券に高い格付けを与えたが、国債を格下げしなかったので提訴されていない」とも主張している。司法省側は「この提訴は国債の格下げとは関係ない」と一蹴。仮に司法省側が勝訴すれば、S&P社には最大50億ドルの制裁金が課せられるという。

この裁判が始まって以来、ヨーロッパ各国の国債は格下げされていない。財政問題が最悪期を越えたことは確かだが、南ヨーロッパ諸国の国債利回りは予想以上に落ち着いている。これは格下げの脅威が薄まったからだろう。アメリカ司法省がその辺を狙ったかどうかは不明だが、結果的に得をしたのは南ヨーロッパ諸国に違いない。


    ≪12日の日経平均 = 下げ -37.80円≫

    ≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ

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サタデー自習室 -- マイナンバー制度の検証 ⑦
2013-09-14-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日本は挫折の歴史 = 欧米諸国や韓国、シンガポールに比べて、日本の個人番号制度は実現が大幅に遅れた。しかし日本も古くから、この制度の導入を検討している。たとえば1968年には佐藤内閣が「個人コード研究会」を設置、個人番号制度の実現を図ったが失敗した。その後も何回か立案されたが、いずれも挫折している。

政府税制調査会の古い文献を見ると、78年の答申には「納税者番号制度の導入を検討すべき」と書かれている。また88年の報告書には、番号制度の効果やコスト、プライバシー問題に関する詳細な検討結果が記載されている。ただ税調だから当然かもしれないが、当時の関心は税務への適用に絞られていた。

法制化されたこともある。80年には少額貯蓄マル優制度の悪用を防ぐ目的で、納税者番号の一種とみられる「グリーンカード制」が立法化された。しかし野党の反発で凍結、85年に廃止されている。また99年には住民基本台帳法の改正案が成立したが、これも日の目を見なかった。さらに01年には第1次安倍内閣が社会保障番号の導入を目指したが、結局は見送られた。

民主党政権になった12年、野田内閣が法案を国会に提出したが、年末解散で廃案に。それを自民・公明政権が修正する形で法案を作成、民主党も賛成して「マイナンバー法」がようやく成立した。長い年月を要したがこの間、法律の趣旨は税務中心から公正な社会保障の実施にまで広がっている。

                        (続きは来週サタデー)


    ≪13日の日経平均 = 上げ +17.40円≫

    【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】

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サンデー実験室 = 新・孫に聞かせる経済の話
2013-09-15-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第14章 金融緩和って、なんだろう? ⑪

◇ 弱まった緩和政策の効き目 = “カネ余りの世の中”と言われますが、いったい世の中にはどれだけのおカネがあるのでしょう。その量は、世の中に流通している現金と金融機関が日銀に預けている当座預金の合計で計ります。金融機関が日銀に預けている当座預金は、すぐに引き出せるので現金と同じと考えてください。

日銀の集計によると、このおカネの量は8月末の時点で177兆円でした。前月より2.1%の増加で、このところ毎月6兆円ずつ増えています。その主な原因は、日銀の量的金融緩和政策。日銀が市場から大量の国債などを買い入れ、その代金が金融機関に支払われることは前に説明しました。

こんどは金融機関の側からみてみましょう。金融機関の貸出残高は7月末で434兆円、前年より3.3%増えています。しかし金融機関が保有する預金量に対する貸出残高の比率を預貸率と言いますが、この比率は最近ずっと低下し続けています。7月末の預貸率は71.0%で、過去4年の間に7ポイントも低くなりました。

つまり預金の伸びの方が、貸し出しの伸びより大きいのです。日銀が緩和政策でおカネを大量に供給しても、企業や個人がそのおカネをあまり利用していないことが判ります。こうした状態を打開し、金融緩和政策の効果を高めるには、どんな方法があるのでしょうか。

                       (続きは来週日曜日)


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今週のポイント
2013-09-17-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ シリアとオリンピックが原動力 =日米の株価は先週、そろって大幅に上げた。利食いをこなして上昇した形は似ているが、株価を押し上げた原動力は全く違う。アメリカはシリアに対する軍事介入が遠のいたこと。日本は2020年オリンピックの東京招致が決まったことだ。

ダウ平均は先週454ドルの値上がり。シリアに対する軍事介入が、少なくとも年内はないという見通しになったことを歓迎した。しかし、そのことはFRBによる金融緩和の縮小が早まる可能性のあることをも意味している。今週のFOMCを控えて、市場はどう動くのだろうか。

日経平均は先週544円の値上がり。前回1964年のときは、招致が決まった5年前から2年間にわたって株価は上昇した。今回も年内1万6000円の声が強まっている。ただし海外の情勢も国内の経済状況も、当時とは全く異なっている。それに間もなく消費増税が正式に決定される。オリンピックの余韻が残るなかで、今週の市場はどう動く?

今週は19日に、8月の貿易統計と7月の全産業活動指数。アメリカでは16日に、8月の工業生産。17日に、8月の消費者物価と9月のNAHB住宅市場指数。18日に、8月の住宅着工戸数。19日に、8月の中古住宅販売とコンファレンスボードの景気先行指数が発表される。また17-18日には、FRBのFOMCが開かれる。


    ≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ

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閣内でも意見対立 : 法人減税 (上)
2013-09-18-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 麻生vs甘利の確執 = 法人税の実効税率を引き下げるかどうか。政府・与党内の意見が真っ二つに割れている。閣内でも、麻生副総理・財務相と甘利経済再生相の意見対立が目立ち始めた。安倍首相がこのような意見を、どのように集約するのか。統率力を問われる場面が近づいている。

甘利経済再生相は13日の記者会見で、政府が近くまとめる経済対策には「法人税率の引き下げも含めて検討する」と明言した。すると、すかさず麻生財務相が「法人減税は効果が小さい。財源もない」と反論している。また菅官房長官が「法人減税が中心だ」と主張すれば、自民党の野田税調会長は「法人減税は検討のスケジュールにも入っていない」と反対する始末。

安倍首相は来月1日、消費税を来年4月から8%に引き上げることを最終決断する。その際に景気が腰折れするのを防ぐため、合わせて5兆円規模の経済対策を打ち出す方針。このなかに法人税の減税を含めるかどうかで、政府・与党の内部が割れているわけだ。

日本の法人税率は、国際的にみてもアメリカとともに突出して高い。国と地方を合計した現在の実効税率は、東京都の場合で35.64%。これに東日本大震災の復興特別税を加えると38.01%に。ヨーロッパの先進国はいずれも20%前後だ。だから下げられるものなら、下げるべきだとは言える。

                       (続きは明日)


    ≪17日の日経平均 = 下げ -93.00円≫

    ≪18日の日経平均は? 予想 = 下げ

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閣内でも意見対立 : 法人減税 (下)
2013-09-19-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 問題は消費増税との組み合わせ = 消費税の実効税率は国際的にみても、日本とアメリカがずば抜けて高い。そのアメリカもオバマ大統領が「現在35%の税率を28%に、製造業は25%に引き下げる」と公約した。日本だけが取り残されると、日本企業の国際競争力がさらに低下する。海外企業も日本への進出をためらう。--賛成派の論点はここにある。

法人税収は1%で約4000億円。だから5%下げるには約2兆円の財源が必要だ。その財源をどこに求めるか。しかも企業の約7割は法人税を払っていない。だから引き下げても、企業に対する恩恵は限られる。財源の大きさに比べて、景気に対する浮揚効果が小さすぎる。--反対派の論点である。

反対論者はまた「国民に消費増税をお願いしながら、企業には減税するのか」と主張する。安倍首相にとっては、これが最も頭の痛い論点だろう。そこで復興特別税を予定より1年前倒しして、来年度から停止したらどうか。これぐらいなら国民も理解してくれるだろう、といった折衷案も飛び出してくる。

実効税率引き下げの議論とは別に、景気対策の一環として企業に対する設備投資減税が実施される可能性は大きい。賃上げを支援する補助金制度も拡充される見込みだ。これらに加えて法人税の減税が実施されると、たしかに企業偏重の感じが濃くなる。安倍首相の裁断は、いかに。


    ≪18日の日経平均 = 上げ +193.69円≫

    ≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ

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「敬老の日」の統計に 思うこと
2013-09-20-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 前向きでない統計ばかり = 「敬老の日」にちなんで、厚生労働省は100歳以上の高齢者人口を発表した。それによると、9月15日時点の100歳以上人口は5万4397人。前年より3021人増えている。この人数は20年前の約11倍だという。

同じく「敬老の日」にちなんで、こんどは総務省が9月15日時点の65歳以上人口を推計して発表した。それによると、65歳以上の人口は3186万人。前年より112万人増えて、総人口に占める割合は初めて25%を超えた。いずれの統計も日本人の高齢化を裏づけるもので、その先は財政負担が大変だという話につながって行く。

まず思うことは、こんな似たような統計は一本化できないものかという疑問。別々の役所がヒトとカネを使って、バラバラに発表する非能率なお役所仕事。そんな余裕があるのなら、もっと前向きな調査をやって欲しい。たとえば抽出調査でいいから、65歳以上の人の健康度・意識調査をやってもらいたい。

3200万人近い65歳以上の人のうち、どれだけの人が健康を維持しているのか。そのうち何パーセントの人がまだ働く意欲を持っているのか。そういう調査があると、65歳をもって高齢者と決め付けていいのか。あるいは労働力人口の減少を抑える手段になりうるのか。前向きな発想が広がるのではないか。


    ≪19日の日経平均 = 上げ +260.82円≫

    ≪20日の日経平均は? 予想 = 上げ

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サタデー自習室 -- マイナンバー制度の検証 ⑧
2013-09-21-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 大きい行政側のメリット = マイナンバー制度は15年10月に個人番号を記載したカードが全国民に送付され、16年1月から実際の運用が開始される。その後は17年中に国税庁と年金機構、あるいは地方自治体などがコンピュータで結ばれる。さらに18年10月をメドに、適用範囲を拡大するための法律改正に着手する予定だ。

この日程表からみる限り、16年からすぐに効果を発揮するのは税務署による“名寄せ”のコンピュータ化。たとえば 数か所の事業所から比較的小額の収入を得ている人の場合、これまでは事実上“名寄せ”はできなかったが、今後はすべての収入が自動的に把握される。住所を異にする複数の子どもが、みな1人の親を扶養家族にしているような不正も、ただちに摘発されるだろう。

税務署側にとって大きいのは、マイナンバーが法人にも付与されることだ。個人の場合と全く同様に収入面が厳しく捕捉されるから、確定申告は正確にならざるをえない。かつては納税者番号制度と呼んで、その成立を図ろうとしていた歴史からみれば、税務面でのマイナンバー運用は行政側にとって最大のメリットであることは間違いない。

その一方で16年時点での国民側のメリットは、カードを本人確認に使えることぐらい。マイ・ポータルの画面も17年にならなければ使えない。また医療情報や民間による活用なども、18年の法律改正を待たなければ実現しない。やはり行政側のメリットの方が大きいと考えるのはひが目だろうか。

                       (続きは来週サタデー)


    ≪20日の日経平均 = 下げ -23.76円≫
  
    【今週の日経平均予想 = 1勝3敗】

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サンデー実験室 = 新・孫に聞かせる経済の話
2013-09-22-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第14章 金融緩和って、なんだろう? ⑫

◇ 流れをよくする“第3の矢” = 大きなダム(日銀)から、大量の水(おカネ)が放出されています。しかし水は川の上流(銀行)に溜まってしまい、下流の周辺にある畑(企業)や田んぼ(個人)にまで行き渡りません。ですから収穫(景気)も思ったほどよくならない。これが現在の経済状況です。

上流と下流の間に、水の流れを悪くしている障害物がある。この障害物を取り除いて、流れをよくしてやろう。安倍内閣の経済政策、いわゆるアベノミクスでは、この流れをよくする政策のことを“第3の矢”と呼んでいます。具体的には、構造改革と規制緩和を進める政策です。

構造改革は古くなった日本の経済構造を、大胆に変えること。官営事業の民営化、中央から地方への権限委譲が中心になるでしょう。これまでも鉄道、郵便、道路などは民営化されましたが、今後はその範囲を拡大する方針。また雇用制度の改革も必要だと言われています。

規制を緩和して、民間の企業や個人が経済活動をしやすくする。たとえば農業に会社組織が参入できるようにする。ネットで薬が売れるようにする。こうした障害物を取り除いてやれば、水の流れがよくなるという考え方です。ただ実際にどこまで思い切った改革ができるのか。それが問題でしょう。

                         (続きは来週日曜日)


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今週のポイント
2013-09-24-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ FRBに翻弄された市場 = FRBは先週のFOMC(公開市場委員会)で、金融緩和政策の縮小を見送った。縮小を織り込み済みだったニューヨーク市場にとっては、一種のサプライズ。このため18日の株価は大幅に上昇、ダウ平均は1万5677ドルと史上最高値を更新した。だが、その後は反落。週間では75ドルの値上がりにとどまった。

緩和政策の縮小を見送った理由について、FRBは「景気の回復が十分でない」と明白に述べている。さらに今後の景気見通しについても、やや下方修正した。したがって本来ならば、縮小見送りの時点で株価は下げてもおかしくない。それが金融相場の奇妙な論理でいったんは上げ、あとは常識的に下げたとも解釈することができるだろう。

日経平均は先週338円の値上がり。ダウ平均の史上最高値にも引かれたが、やはり円安に押し上げられた面が強い。だが金曜日には、円安にもかかわらず小幅に反落した。高値警戒感から売りが出たと考えるのが常識的だが、消費増税を気にし始めたのかもしれない。今週はこの辺のチェックが必要かも。

今週は25日に、8月の企業向けサービス価格。27日に、8月の消費者物価。アメリカでは24日に、7月のSPケースシラー住宅価格とコンファレンスボードによる9月の消費者信頼感指数。25日に、8月の新築住宅販売。26日に、4-6月期のGDP確定値と8月の中古住宅販売が発表される。また中国では23日に、9月のHSBC製造業PMIが発表される予定。
 

    ≪24日の日経平均は? 予想 = 下げ

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債務上限と新興国 : FRB決断の真因 (上)
2013-09-25-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 近づくデフォルトの危機 = アメリカの中央銀行であるFRBは先週、金融緩和政策の縮小を見送った。表向きの理由は「景気の回復が十分ではない」こと。たしかに雇用の改善はやや物足りない。しかし住宅市況はリーマン前の状態に回復している。せっかく市場が緩和の縮小を覚悟したのに、なぜ延期を決断したのだろうか。

大きな理由の1つは、連邦政府がデフォルト(債務不履行)に陥る危機が目前に迫っていること。アメリカでは国債発行などによる政府の借り入れ上限を、議会が決定する。現在の上限は16兆7000億ドルだが、すでに政府の借入額は5月にこの上限に達している。その後は財務省が資金をやりくりして食いつないできたが、それも10月半ばには不可能になる見込みだ。

仮に資金繰りができなくなると、政府は公共事業費や公務員の給与を支出できなくなる。いわゆるデフォルトだ。一般的な役所の仕事だけではなく、教員や軍人、警察官や消防士などの活動も抑制されてしまう。実は11年夏にも同様の問題が起こって、アメリカ国債が格下げされた。

下院で過半数を制する共和党は、オバマ大統領が目玉政策に掲げている国民皆保険制度の停止を要求。この要求を通さなければ、債務上限の引き上げに応じない姿勢。民主党は激しく抵抗して、議会では妥協の見通しが全く立っていない。こんな情勢では、金融緩和を縮小するわけにはいかない。FRBがそう判断したことは、むしろ当然だろう。

                        (続きは明日)


    ≪24日の日経平均 = 下げ -9.81円≫

    ≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ

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債務上限と新興国 : FRB決断の真因 (下)
2013-09-26-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 新興国に甚大な被害 = バーナンキFRB議長は5月に「金融緩和政策は数か月のうちに縮小させる」と発言して、株価が大幅に下落したことは記憶に新しい。と同時に、この発言は新興国に対して予想以上の被害をもたらしている。ドルの供給が縮小するという思惑が強まり、投機資金が一斉に新興国から引き揚げられたためだ。

ブラジルやインドなどの新興国では、自国通貨の為替相場が急落した。このため輸入物価が上昇、インフレ傾向が加速している。各国政府は通貨を買い支えたり、金利を引き上げたりしているが、景気は悪化。国民の不満もしだいに増大しつつある。インドネシアや南アフリカなど、多くの新興国が同様の苦境に陥った。

一例をあげるとインドの場合、通貨ルピーは対ドルで68ルピー台と史上最安値に下落。卸売り物価は6%台に上昇、実質成長率は4%台に低下した。このためインド準備銀行は今月20日、ついに政策金利を2年ぶりに引き上げている。

この問題は先週のG20(主要20か国首脳会議)でも取り上げられた。新興国の経済が軒並み悪化すれば、やがては先進国の経済にも悪影響が及ぶ。こうした情勢のなかでは、FRBも金融緩和の縮小は無理と判断したに違いない。とすれば債務上限の問題と新興国の問題に目鼻がつくまで、アメリカの金融緩和縮小はないという見通しになる。


    ≪25日の日経平均 = 下げ -112.08円≫

    ≪26日の日経平均は? 予想 = 下げ

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自民党首脳の背信 : 復興特別税
2013-09-27-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 「財源の問題」ではない = 安倍内閣は法人に対する復興特別税を、1年前倒しして来年度から廃止する方針を固めた。これについて自民党の石破幹事長は「今年度の税収が見積もりより増えているから、復興特別法人税を止めても財源に問題はない」と何度も発言している。続いて安倍首相、菅官房長官も同様の意向を表明した。

復興特別税は、東日本大震災の復興財源に充てるため、法人と個人が負担する臨時の増税。法人税は12年度から3年間、法人税額の10%を追加徴収する。また個人の場合は13年から37年までの25年間、基準所得税額の2.1%分を上乗せ。さらに住民税も14年度から10年間、均等割りに年間1000円が加算される。

これによる国税分の税収は、12年度で5300億円。うち法人税は4810億円。また13年度は1兆2240億円。うち法人税は9145億円となっている。石破幹事長は、この程度の税収減は景気の回復による税の自然増収で補えると言っているわけだ。法人増税だけを止める理由については「結果として雇用が増大する」と説明しているが、そうなる保証は全くない。

法人と個人が復興特別税を負担することになったのは、大震災の復興をみんなで支えようという思想からだ。この点も忘れてもらっては困る。消費増税の影響で景気が悪くなっては大変だという発想が根底にあるが、それなら消費税を背負う個人の負担を軽減するべきだろう。不況で倒産が続出という状態なら別だが、企業の収益はいま絶好調だ。こんな企業寄りの政策がまかり通るようだと、自民党はまたダメになる。


    ≪26日の日経平均 = 上げ +178.59円≫

    ≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ

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サタデー自習室 -- マイナンバー制度の検証 ⑨
2013-09-28-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ それでも残る課題 = マイナンバー制度が実施されても、徴税に関する不合理・不公平がすべて解消されるわけではない。たとえば“クロヨン”問題。“クロヨン”というのは、給与所得者は税務署によって所得の9割を捕捉される。これに対して自営業者は6割、農業生産者は4割の所得しか補足されない。この傾向を皮肉った言葉である。

給与所得者は源泉徴収されるうえ、事業所から支払い調書が税務署に送られる。これに対して、自営業者や農業生産者は自分で所得を税務署に申告する。この場合、意図的な過少申告が行われても、税務署ではチェックが難しい。マイナンバー制になっても、この仕組みは変わらない。だから“クロヨン”は解消しない。

またマイナンバー制になっても、銀行口座にはナンバーが付けられない。このため預金や利子の支払い額が、税務署に通知されることはない。その結果、低所得者と認定されて介護保険料や医療費の自己負担限度で優遇されている人が、実は高額の利子所得者だということもありうる。この不合理も解消は難しい。

観点はやや違うが、もう1つの問題。現状だと、全国の税務署に届く支払い調書は年間3億3000万枚に達する。これがコンピュータ化されれば、税務署の仕事は大幅に軽減されるはず。しかしマイナンバー法が成立しても、政府はそれによる行政改革の推進には全く触れていない。おかしいと思う。

                        (続きは来週サタデー)


    ≪27日の日経平均 = 下げ -39.05円≫

    【今週の日経平均予想 = 2勝2敗】

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サンデー実験室 = 新・孫に聞かせる経済の話
2013-09-29-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第14章 金融緩和って、なんだろう? ⑬

◇ インフレと国債暴落のリスク = 安倍首相の決断で、消費税は来年4月から8%に引き上げられることになります。消費増税は景気を悪化させる要因になりますから、政府は5兆円の財政支出で景気をテコ入れする方針です。日銀も金融面から協力するため、さらに金融緩和を強化すると言っています。

いま日銀は月平均6兆円のペースで市場から国債などを買い上げ、それだけのおカネを放出しています。これが量的な金融緩和ですね。さらに緩和を強化するというのは、この買い上げ額を増やすということです。でも、すでに世の中はおカネでじゃぶじゃぶ。これ以上におカネを放出しても、景気にいい影響があるかどうかは疑わしいでしょう。

日銀がおカネの放出を増やせば増やすほど、その副作用も大きくなります。1つはインフレになりやすくなること。おカネの量が増えると、通貨の価値はしだいに下がります。すると同じモノを買うのに、より多くのおカネが必要になってしまう。つまり物価が上がる。これがインフレです。

もう1つは、国債の値段が暴落する危険性。日銀が大量の国債を買うことで、政府は国債の発行を減らして財政を再建するという努力をしなくなるかもしれない。みんながそう考えると、国債は売られて金利が上昇します。景気は下降するでしょう。インフレと国債価格の暴落―――こんなリスクにも目を光らせる必要があるのです。


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今週のポイント
2013-09-30-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 近づく連邦政府の機能停止 = ダウ平均は先週だらだらと下げて、週間では193ドル値下がりした。特に悪い経済ニュースが見当たらないのに下落したのは、議会で政府債務の上限引き上げ問題に打開の糸口が見つからないため。このままだと10月中旬には、政府は支払い不能に陥って連邦政府の機能がストップする危険がある。

この問題はこれまで何度も繰り返され、そのたびに政治的な妥協で危機を回避してきた。このため今回もぎりぎりで妥協が成立するという見方もあるが、今回は危ないという感触が強まりつつあることも確か。共和党はオバマ大統領が政治生命を賭けた国民皆保険制度を撤回しなければ、債務上限の引き上げには応じられないと強硬だ。

その皆保険制度は10月1日から、申し込みが始まってしまう。政府側も引っ込みがつかなくなっている。今週は議会で何か新しい動きが生まれるかどうか。動きがなければ、ダウはまだ下げる可能性が大きい。そうなれば、東京市場にも影響が及び始めるだろう。先週18円の値上がりだった日経平均は今週、安倍首相が発表する消費増税対策とアメリカ議会の動きを受けて揺れ動きそうだ。

今週は30日に、8月の鉱工業生産、住宅着工戸数、商業販売統計。1日に、8月の労働力調査、毎月勤労統計、家計調査、9月の新車販売、それに10月の日銀短観が発表される。アメリカでは1日に、9月のISM製造業景況指数と新車販売台数。3日に、9月のISM非製造業景況指数と雇用統計が発表になる。


    ≪30日の日経平均は? 予想 = 下げ

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