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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
中国人は中部、韓国人は九州がお好き
2017-06-01-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 外国人客は地方に広がる = 観光庁は30日、17年版の観光白書を発表した。16年中に来日した外国人観光客について、いろいろ面白い分析をしている。そのなかから、いくつか拾ってみよう。まず訪日客数は2404万人で、前年比21.8%も増加した。その宿泊延べ数は7088万人泊、前年比8%の増加。ここからは1人当たりの宿泊数が、やや減少したことが判る。

宿泊日数を地域別にみると、3大都市圏は4243万人泊で前年比4.8%の増加。それ以外の地方圏は2845万人泊だが、伸び率は13.2%と高くなっている。外国人は3大都市圏以外の地方に分散し始めているわけだ。全国を10地域に分けてみると、中部地方が3.3%減少したほかは9地域で増加。なかでも四国地方は46.0%も伸びている。

外国人旅行客と宿泊した地域との関係では、中国からの旅行客は50%が中部地方に。韓国は36%が九州地方に、また台湾は38%が東北地方に泊まっている。最も宿泊数を伸ばした四国地方には、各国からのお客がまんべんなく訪れている。これは好みの問題なのか、それとも地方の宣伝効果なのか。白書はそこまでの分析はしていない。

外国人客が使ったおカネの総額は3兆7476億円。前年より2700億円増加している。しかし1人当たりの消費金額は11.5%減少した。これは一時の“爆買い”が沈静し、自然や歴史的遺産に触れる旅行に変化している証拠だろう。この流れが続くと、3大都市圏以外への広がりが加速して行くに違いない。

      ≪31日の日経平均 = 下げ -27.28円≫

      ≪1日の日経平均は? 予想 = 上げ


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女性宰相の 大いなる賭け : イギリス総選挙
2017-06-02-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 想定外の結果なら大混乱 = イギリスの総選挙が来週8日、実施される。世論調査ではメイ首相の率いる与党・保守党が圧勝する見通しだが、EU離脱を決めた昨年の国民投票の例もある。仮に保守党が負ければもちろん、議席を伸ばせなければヨーロッパは再び大混乱に陥ることが避けられない。この選挙は、テリーザ・メイ女史の大ばくちでもある。

通常ならイギリスの総選挙は20年までないはずだった。それをメイ首相が繰り上げて実施することを決断した。本格化するEUとの離脱交渉に備えて、政権の基盤を強化したいと考えたためである。イギリスの下院は定数が650。いま保守党は330議席で、過半数を5議席上回るだけ。メイ首相が目指すEUからの完全離脱に反対する議員も少なくない。

世論調査では保守党が44%、野党の労働党は23%と振るわない。そこで一気に与党の議席を増やそうと、解散・総選挙に踏み切ったわけだ。選挙の焦点はEU離脱問題。保守党は完全な離脱と移民の受け入れ規制。労働党は関税ゼロなどは残す緩やかな離脱と移民の規制なし。そして国民の間には、EU離脱に反対する人も多い。

万が一、保守党が過半数を割ると事態は収拾がつかなくなる。また票数が伸びないと、メイ内閣の威信は地に落ちるだろう。EUに対して毅然とした交渉が出来なくなるだけではない。EU残留を強く望んでいるスコットランドが、独立の是非を問う住民投票を強行する可能性がきわめて強くなる。世論調査通りならいいが、英語のメイには「かもしれない」の意味もある。

      ≪1日の日経平均 = 上げ +209.46円≫

      ≪2日の日経平均は? 予想 = 上げ


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サタデー自習室 -- 水の 経済学 ⑨
2017-06-03-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 海水ならば無尽蔵 = 古来から人間は、水の確保にチエを絞ってきた。溜め池を造ったり、井戸を掘ったり。火を焚いて雨乞いもした。それが現代では、巨大なダムや帯水層の科学的な探索、ドライアイスやヨウ化銀の空中散布に進化している。関東地方でも13年夏の渇水期には、利根川上流域にヨウ化銀が散布された。

ほかにも河川などから取り入れた水を浄化・消毒し、安全で美味しい水道水にする技術。あるいは下水道の微生物を分解して、毒性のない水に換える技術など、水を処理する方法は飛躍的に進歩している。さらに工場で使った大量の水を排水せず、浄化して循環再利用する技術も大幅な進歩を遂げた。

だが、それでも水不足を解消する見込みは立たない。世界の水使用量は、25年には00年の3割増になると予測されている。その一方で、世界の多くの地域では地下水の減少が避けられない。そこで最後の頼みは、地球上に存在する莫大な量の海水となる。地球上に存在する水の97.47%を占める海水を淡水に換えられれば、問題は永久的に解消すると言えるだろう。

海水を淡水に換える方法は、大きく2つに分けられる。1つは海水を蒸留する方法。もう1つは膜によって濾過する方法だ。だが蒸留法は大量の熱エネルギーを必要とする。このため本命は膜による濾過法だと考えられ、技術的な進歩も著しい。この分野では、いま日本の企業が世界最先端の技術力を誇っている。

                                  (続きは来週サタデー)

      ≪2日の日経平均 = 上げ +317.25円≫

      【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】   


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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話 (改訂版)
2017-06-04-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第14章 景気対策って、なんだろう? ⑤

◇ 成長率を低下させた力 = 日本はエネルギーの大半を、海外からの輸入に頼っています。このため1973年に起きた石油ショックで原油価格が急騰したことは、生産コストの急上昇を招いて大きな打撃となりました。また85年のプラザ合意で円高が進んだことは、輸出コストの増大に直結しました。さらに最近も、08年に起こったリーマン・ショックに端を発した世界的な不況、中国経済の急減速、イギリスのEU離脱など、世界経済の大波をかぶり続けているのです。

加えて国内では、日本人の人口が減り始めました。人口の減少は、モノやサービスを消費する人と働く人の数が減ることを意味します。成長率が低下する要因としては、最も大きいかもしれません。このように日本の成長率を低下させる原因は、いくつもあって強力です。その一方で、景気対策の方は力が落ちてしまいました。

たとえば新幹線や高速道路、空港などを造る公共事業。以前は東京=大阪間など利用率も極端に高く、副次的な経済効果もきわめて大きかったのです。それが次第に地方に拡大すると、副次的な効果も減少します。おまけに低成長で税収の増加も小さくなり、国債を発行して資金を生み出さなければなりません。この面からも制約が生じてしまったわけです。

世の中はカネあまり。ですから日銀が金利を下げても、企業や個人が銀行からカネを借りなくなりました。このため日銀は金利を下げ続け、とうとうゼロ金利にまでなってしまいました。そこで金利だけではなく、おカネの量を増やす政策も併用しています。しかし、それでも金融緩和の効果は出てこないというのが現状です。

                             (続きは来週日曜日)


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今週のポイント
2017-06-05-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ NY株価は新高値を更新中 = 日米の株式市場は6月に入って、とつぜん目を覚ましたようだ。ダウ平均は1日に大幅高。2日も上げて連日、史上最高値を更新した。ナスダックSP500も、そろって新高値を付けている。5月の失業率が下がって、FRBによる6月の利上げは決定的。原油価格が下がる環境のなかでの続伸は、市場が強気で固まったことを示している。ダウ平均は週間126ドルの値上がりだった。

日経平均も、1日と2日だけで500円を超す上昇。週間では490円の値上がり。終り値は2万0177円と、1年半ぶりに2万円台を回復した。日米の株価が元気を取り戻したのは、世界的に警戒すべき材料が少なくなったこと。企業の3月期決算がきわめて好調だったことを背景にしている。

ニューヨーク市場は今週、2万1000ドルの台固めに入るだろう。日経平均の次の目標は第2次安倍内閣が発足してからの高値、15年6月の2万0868円になる。アジア各国の株価と比べても、日本株の出遅れは歴然としている。そのくらいまで上昇しても、不思議ではない。

今週は6日に、4月の毎月勤労統計。7日に、1-3月期のGDP改定値と4月の景気動向指数。8日に、4月の国際収支と5月の景気ウォッチャー調査。9日に、4月の第3次産業活動指数。アメリカでは5日に、5月のISM非製造業景況指数。また中国が8日に、5月の貿易統計。9日に、5月の消費者物価と生産者物価を発表する。なお8日はイギリスの総選挙。

      ≪5日の日経平均は? 予想 = 下げ


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上げ潮に乗る 世界の株価
2017-06-06-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日本株の出遅れが目立つ = 世界の株価が上昇軌道に乗っている。ニューヨーク市場では先週、ダウ平均が史上最高値を更新。IT関連を中心に構成するナスダック、銘柄数の多いSP500もそろって新高値を付けた。ヨーロッパ市場では、ドイツやフランス、イタリアのほか、EU離脱に揺れるイギリスの株価も年初来高値を更新中だ。最も急伸したポーランドの株価は、年初来20%を超える上昇ぶりである。

先進国だけではない。アジアの主要企業300社を対象に集計している日経アジア300指数をみると、過去6か月間の上昇率は17%に達した。特にインドや韓国の上昇率が大きい。ゴールドマン・サックス社の調査によると、アジア株に対する外国人投資は昨年10-12月には118億ドルの売り越しだったが、ことしは276億ドルの買い越しになったという。南米アルゼンチンやブラジルの株価も、大幅に上げている。

こうしたなかで出遅れが目立つのは、中国と日本だ。中国の場合は、政府がバブル化を警戒して規制措置を講じているのが原因。逆に日本では、日銀がETF(上場投資信託)を大量に購入しているのに、株価の戻りが遅い。先週末には日経平均がやっと2万円台を回復したが、それでも年初来の上昇率は5.5%にとどまっている。

なぜなのか。専門家の間では「アベノミックスが賞味期限切れとなり、将来への期待感がない」との指摘。また「各国の株価上昇をリードしているのはIT関連銘柄。東京市場にはそれがない」とも分析している。もう1つ付け加えれば、日銀によるETFの購入。それが外国人投資家には「東京市場の弱さの象徴」と映るのではないだろうか。

      ≪5日の日経平均 = 下げ -6.46円≫

      ≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ


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エネルギー政策の炎上 (上)
2017-06-07-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 太陽光バブルは終焉した = 日本のエネルギー政策は、壊滅状態に陥っている。ひところ持てはやされた太陽光発電は、完全に失速。原子力発電の将来も覚束なくなった。いずれも経済産業省の政策ミスが、もたらした結果だと言っていい。政府が策定した30年度の電力需要を再生可能エネルギーで22-24%、原発で20-22%の割合で賄うというエネルギー計画は、宙に浮いてしまった。

資源エネルギー庁が集計した16年12月末時点の太陽光発電導入量は、3200万キロワットだった。9月末時点に比べると、わずか4%しか増加していない。一時は年間30-50%も伸びていたものが、急速に輝きを失った。しかも経産省が認定した発電量は、この間にやや減少している。このため今後も導入量は、伸び悩む可能性が高い。

太陽光発電の普及を促進するため、政府は12年に電力会社による強制買い取り制度を始めた。このとき経産省は、事業者による発電の買い取り価格を1キロワット時=40円という法外に高い値段に設定した。これが最大の政策ミス。設備の導入は爆発的に進んだが、その負担は電気料金に上乗せされる。このため家庭用の料金は月額700円も上がってしまった。驚いた経産省は買い取り価格を21円まで引き下げたが、これが太陽光バブルを一気に消滅させることになった。

最初に設定した40円という価格は、ドイツの約2倍。しかも10年間の保証付きだったから、そのころ参入した事業者は笑いが止まらない。ところが価格が21円まで下がると、なかなか儲けが出なくなる。このため設備を導入する業者は激減した。つれて国内のパネル出荷量も大幅に減り始めた。電源の多くを再生エネルギーに頼るという夢は、どこへ行ったのか。

                                (続きは明日)

      ≪6日の日経平均 = 下げ -190.92円≫

      ≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ


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エネルギー政策の炎上 (下)
2017-06-08-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 電気料金は「東高西低」型に = 関西電力の高浜原発4号機(福井県)に続いて、3号機も再稼働した。これで再稼働した原発は九州電力の川内1-2号機(鹿児島県)と四国電力の伊方原発3号機(愛媛県)を合わせて、計5基となった。しかし、その発電量は合計しても441万キロワット。日本全体の電力消費量の5%にしか当たらない。

原子力規制委員会はほかにも関西電力の大飯原発3-4号機(福井県)など7基の原発に、合格証を与えている。これらの原発は、今後1-2年のうちに再稼働することになるだろう。ここから判ることは、合格した原発はすべて西日本に存在する。というのも規制委員会の審査を通った原発は、いずれも加圧水型。この型の原発は関西、北陸、四国、九州の各電力会社で使用されているからだ。

その一方で、規制委員会は美浜原発1-2号機(関西電力)や伊方原発1号機(四国電力)など、6基の原発を廃炉にすることを決めた。こういう状況で、はたして30年度を目標にしたエネルギー計画は実行できるのか。原発の再稼働が遅れている問題は、経産省の責任ではない。しかし、だからと言ってエネルギー計画を見直さなくていいというわけにはいかない。

また原発の再稼働を受けて、関西電力は電気料金の引き下げを検討している。太陽光発電の強制買い取り制度で電気料金は急上昇しており、経産省も引き下げを歓迎している。だが再稼働した原発も、いずれは廃炉にしなければならない。その費用は少なく見積もっても1基で300億円以上。その費用を積み立てておかないと、やがてまた電気料金に上乗せされることになる。経産省はそこまで考えているのだろうか。

      ≪7日の日経平均 = 上げ +4.72円≫

      ≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ


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「日銀=GDP」 の異常さ
2017-06-09-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日銀の資産が500兆円を突破 = とうとう500兆円を超えてしまった。日銀の発表によると、5月末時点の保有資産額は500兆8000億円。異次元緩和政策を始めた13年4月の保有額は134兆円だったから、この4年あまりで4倍近くも増えたことになる。激増した原因は、日銀が大量の国債や株式を市場で買い入れたこと。ついに一銀行が日本のGDPに匹敵する資産を保有する、異常な状態に陥った。

保有資産には金や貸付金も含まれているが、その大部分は市場から買い入れた国債や証券類。内訳をみると、国債が427兆円、ETF(上場投資信託)が13兆9000億円などとなっている。日銀は現在も年間80兆円のペースで国債や証券を買い続けているから、GDPをどんどん追い越して行くことは間違いない。

GDPというのは、日本人が1年間働いて作り出す新しい経済価値。16年で530兆円ほどだ。それとほぼ同額の資産を、いかに中央銀行とはいえ一銀行が保有する事態は、どう考えても異常である。この資産は、いずれ市場で売り戻さなければならない。そこで相場が下落すれば、日銀は巨額の債務を抱え込むことになる。そのとき何が起きるのかは見当もつかない。

GDPにほぼ匹敵するおカネが、市場を通じて供給された。しかし日本経済はそれほど上向かない。日銀は巨額の資金放出が、ほんとうに景気をよくすると考えているのだろうか。これまで放出した大量の資金は、どこに消えたのか。日銀をはじめとして政府も民間の研究機関も、この異常さをもっと追求すべきだと思う。

       ≪8日の日経平均 = 下げ -75.36円≫

       ≪9日の日経平均は? 予想 = 上げ


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サタデー自習室 -- 水の 経済学 ⑩
2017-06-10-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 淡水化の技術は日本がリード = ナイロンやカーボン製の薄い皮膜に、極小の穴を無数に開ける。そこに海水や汚水を通して、塩分不純物を濾過する。穴の大きさは用途によっていろいろだが、たとえば海水の淡水化用だと0.5-0.7ナノ・メートル(ナノは10億分の1)程度。海水や汚水を高圧で押し込むから、膜は頑丈でなければならない。用途によっては、熱や油に強いことも求められる。

水以外の不純物は通さない逆浸透膜。この製造技術は、日本が世界一だ。売上高でみると、日本の企業が世界市場の6割を占めている。特に東レや日東電工の売上高が大きい。アメリカ、オーストラリア、スペイン、イスラエルなど、世界各国に製品を輸出している。その用途も飲料水、工業用水、農業用水とさまざまだ。

逆浸透膜に100ナノ・メートルの穴を開けると、大腸菌などの細菌類を除去することができる。さらに穴を10ナノ・メートルにすると、A型肝炎などのウイルスも通さなくなる。そして1ナノ・メートル以下にすると、塩素やナトリウム・イオンも通らなくなり、海水が淡水に浄化されるのだそうだ。

海水と言っても、場所によって塩分の濃度が異なる。また汚水も、生活排水や工場排水の汚れ方はさまざま。これらの状態に応じて、いろいろな逆浸透膜を製造する。この技術は、とても貴重。もっと安価で耐久性に優れた製品が出来上がれば、世界の水不足を解消する救世主になるはずだ。

                                (続きは来週サタデー)

      ≪9日の日経平均 = 上げ +104.00円≫

      【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】   


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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話 (改訂版)
2017-06-11-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第14章 景気対策って、なんだろう? ⑥

◇ アベノミックスの登場 = 日本経済は低成長を通り越して、実はマイナス成長に陥っていました。人々の景気感と密接に関係する名目成長率でみると、1998年から2011年までの14年間、年平均の伸び率はマイナス0.6%に落ち込んでいます。この間、08年のリーマン・ショックによる世界的な不況もありましたが、それにしても惨憺たる成績でした。

歴代内閣は補正予算を組むなど、財政面からの景気刺激に努力はしたのです。しかし低成長で税収は上がらず、国債の増発に頼るしかなかったため、その景気浮揚効果には限界がありました。一方、日銀は政策金利を下げ続け、99年にはとうとうゼロ金利にまで行き着いてしまいました。

さらに高齢化の進行で、年金や医療など福祉関係の歳出予算が急激に膨張しました。このため14年には、やむなく消費税を5%から8%に引き上げたのです。この消費税引き上げが、予想以上に景気の足を引っ張ることになってしまいました。

こうして日本経済は“空白の10年”と言われるマイナス成長に苦しんだわけです。企業の利益は上がらず、人々の所得も増えませんでした。将来への不安感が国中に蔓延した状態になったと言えます。こうしたとき、12年12月に誕生した第2次安倍内閣が、財政・金融面からの強力な景気対策を打ち出しました。これがアベノミックスと呼ばれる新経済政策です。

                         (続きは来週日曜日)


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今週のポイント
2017-06-12-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ ダウ平均は新高値を更新 = ロシアゲートを巡るコミ―前FBI長官の証言、イギリス総選挙での与党の敗北。こうしたニュースにも負けず、先週のダウ平均は66ドルの値上がり。週の終り値では新高値を更新した。ロシアゲートにしてもイギリスの総選挙にしても、今後の展開は全く読めない。したがって市場は動揺しなかったというよりも、消化し切れなかった感じが強い。

日経平均は先週164円の値下がり。イギリスの選挙結果はユーロとポンドに対する円高を招いたが、円の対ドル相場は動かなかった。このため株価は週末に反発し、かろうじて2万円台を維持している。外国人投資家の買い越しは続いているが、国内の個人投資家は高値警戒で売り越しているようだ。

ロシアゲート事件とイギリスの政局については、いろいろな分析が始まるだろう。今週の株価には、それが少しずつ反映されるかもしれない。同時に気になるのは、アメリカでも日本でも景気の状態に対する不安感が強まってきたこと。今後の景気指標には十分な注意が必要だ。

今週は12日に、4月の機械受注と企業物価。13日に、4-6月期の法人企業景気予測調査。アメリカでは13日に、5月の生産者物価。14日に、5月の小売売上高と消費者物価。15日に、5月の工業生産と6月のNAHB住宅市場指数。16日に、5月の住宅着工戸数と6月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が14日に、5月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。

      ≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ


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「想定外」から「想定不能」へ / イギリス (上)
2017-06-13-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 賭けに敗れたメイ首相 = イギリスの総選挙で、メイ首相が率いる保守党は12議席を失う結果となった。EUとの離脱交渉に備えて政権基盤の強化を目指したメイ首相にとっては、全く想定外の結末だったに違いない。10議席を獲得した北アイルランド民主統一党と組んでようやく政権を維持するが、選挙前にこんな政局を想定した人はだれもいない。

このところ、イギリスは「想定外の国」になっている。キャメロン前首相が昨年6月、EU離脱の是非を巡る国民投票に踏み切ったのも想定外。その結果が「離脱OK」と出たのも大番狂わせだった。そのあとを継いだメイ首相は「総選挙は20年までない」と一貫して言明してきた。その首相が一転して、総選挙を前倒しで実施。議員も国民も、予想していなかった。

選挙戦が始まった時点で、世論調査では圧倒的に保守党が優勢だった。それが人気のなかった労働党に追い上げられたのはなぜか。イギリスの世論調査は昨年の国民投票でも間違えたから、もともと信用できないという説。選挙戦中に起きた自爆テロ事件が、保守党の足を引っ張ったという説。

このテロによる影響については、メイ首相の「移民を厳しく制限」という政策への支持が強まるという見方と、労働党が批判した「警察官を2万人削減した政策の結果」に賛同するという見方があった。結果は「警察官の削減」の圧勝。これも一つの想定外だった。もう1つ、選挙ではスコットランドの独立を標榜する民族党が大敗した。この結果、スコットランドの独立機運は薄らぐことになったが、この点だけはメイ首相にとって唯一の「歓迎すべき想定外」だったに違いない。

                              (続きは明日)

      ≪12日の日経平均 = 下げ -104.68円≫

      ≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ


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「想定外」から「想定不能」へ / イギリス (下)
2017-06-14-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 何から何まで見通し不明 = これからイギリスは「想定不能」の時代に入る。メイ首相は下院の過半数を抑えるため北アイルランド民主統一党と連携したが、この党はEUからの完全離脱を望んでいない。保守党内にも無関税同盟にはとどまるべきだという主張も多い。結果としてメイ首相は、どんな姿勢でEUとの離脱交渉に臨むことになるのか。全く見当がつかない。

メイ首相が主張するEUからの完全離脱で議会がまとまらない場合、首相は妥協を余儀なくされて関税同盟にはとどまるなどの“緩やかな離脱”に宗旨替えするのだろうか。仮にそうなったとしても、こんどはEU側がそれをすんなり受け入れるとは考えにくい。結局のところ、2年後には時間切れで強制離脱に追い込まれる可能性も小さくはない。

選挙で保守党が敗北したことを受けて、ポンドの相場が急落した。景気は後退し、物価は上昇する可能性が強まっている。経済の状況が悪化したとき、求心力を失ったメイ政権はどこまで頑張れるのだろうか。保守党が政権を投げ出せば、おそらくは労働党が天下をとる。その労働党は今回の総選挙で、鉄道・郵政・エネルギーの再国有化を公約した。そんな時代の巻き戻しがあるのかどうか。誰にも予想はできない。

政治も経済も行き詰まれば、海外企業は雪崩を打って大陸側に脱出する危険性がある。そういう事態が何をきっかけに、いつ起きるのか起きないのか。きわめて微妙な状況になってきたことは確かだが、その予測もなかなか難しい。そうしたなかでもイギリス政府とEU当局との離脱交渉は、予定通り19日から始められる。

      ≪13日の日経平均 = 下げ -9.83円≫

      ≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ


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景気に変調の兆し? / アメリカ
2017-06-15-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 個人消費が落ち込んできた = アメリカ経済の先行きに対する警戒論が、市場の内外で囁かれ始めた。このところ発表された経済指標のなかで、個人消費の減退が目立っているためである。個人消費はGDPの7割を占める最大の需要項目。その落ち込みが一時的なものかどうか。仮に一時的でなければ、まる8年続いたアメリカの景気上昇は、いったん終止符を打つことになる。

商務省が発表した1-3月期のGDP成長率は、年率で1.2%だった。昨年10-12月の2.1%から急減速している。企業の設備投資や住宅投資は2ケタ増と堅調だったが、個人消費は0.6%の増加。09年以来の低い増加率にとどまり、全体の足を引っ張った。消費が低調なため、4月の個人消費支出物価も1.7%の低い上昇率となっている。

自動車販売の減速が、個人消費の停滞をよく象徴している。5月の新車販売台数は152万台。前年比では0.5%の減少だったが、これで前年の実績割れは5か月連続。FRBの金融緩和政策で自動車ローン残高は1兆1000億ドルに膨らんだが、利上げで貸倒率が上昇。ローンの貸し渋り傾向が強まっている。

そのFRBは13-14日に開いた政策決定会議で、4回目の利上げを強行した。まだ個人消費の落ち込みは一時的とみているためだろう。だが金利の引き上げは、明らかに景気にとってはマイナス材料。結果的に景気後退の導火線にならないとも限らない。日本時間のきょう発表される5月の小売り売上高と消費者物価に、注目が集まっている。  

      ≪14日の日経平均 = 下げ -15.23円≫

      ≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ
                 
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おカネを貯め込む 日本の企業
2017-06-16-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 実質無借金企業が2000社を超えた = 企業がますますおカネを貯め込んでいる。日銀がまとめた資金循環統計によると、金融機関を除く民間企業が保有する現金・預金は、昨年末の時点で244兆円に達した。前年に比べて7.5%増加している。このうち現金は9兆7000億円だった。日本のGDPの半分に近いおカネを、企業が手元に置いているわけだ。

日経新聞の集計によると、上場企業のうち実質無借金となった会社は、3月末時点で2016社に達した。実質無借金というのは、手元資金が有利子負債より多い会社。1年間で60社増えて、全上場企業の58%に及んだ。この実質無借金会社の数は、08年から連続して増加している。

内閣府と財務省が共同で実施した法人企業景気予測調査のなかに「17年度の資金調達方法は」という質問項目がある。その答えの第1位は、大企業と中堅企業がともに「内部資金」を使う。中小企業は「民間金融機関」が第1位だったが、第2位は「内部資金」だった。世界中を探しても、企業がこんなにおカネを貯め込んでいる国はない。

困っているのは、優良な貸出先を失った金融機関だろう。だが企業に資金が滞留することは、日本経済にとっても好ましいことではない。おカネが回らず、景気が上向かないからである。安倍首相は企業に対して「おカネを賃上げに回してほしい」と要請しているが、結果は思わしくない。政府は企業におカネを使わせる方策を、もっと真剣に考えるべきである。

      ≪15日の日経平均 = 下げ -51.70円≫

      ≪16日の日経平均は? 予想 = 上げ


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サタデー自習室 -- 水の 経済学 ⑪
2017-06-17-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 幅が広い水ビジネス = 上水道や下水道のインフラ整備、海水の淡水化プラント建設。あるいは汚水の処理場、工場排水の再利用などなど。ひと口に水ビジネスと言っても、その範囲はかなり広い。特に新興国では、こうした水ビジネスに対する需要が強まっている。たとえば1つの大都市に下水道を完備すれば、何兆円もかかるだろう。ビジネスの規模も、非常に大きい。

日本はこうした分野でも、長年培った経験と技術を持っている。たとえば上水道でみると、東京都の水漏れ率は約3%。マニラの60%、ジャカルタの50%に比べれば圧倒的に低い。これは特殊な鋳鉄管を使ったり、音で水漏れを発見する技術を持っているからだ。また料金の徴収率は99.9%にのぼり、海外からは驚異の目で見られている。

下水道の歴史も古い。日本初の下水道は1881年、横浜の外国人居留地に設置された。次いで東京では1884年に作られた神田下水道。戦後の高度成長期には建設が追い付かず河川の汚染を招いてしまったが、その後は急速に整備された。ここでも地面を掘らずに下水道管を設置する技術は、世界から注目されている。

このように日本は、海水や汚水を濾過する逆浸透膜の製造技術、さらに上下水道のインフラ技術の両方を持っている。市場としての大きさをみると、インフラの方がずっと大きく、逆浸透膜は水ビジネス全体の100分の1ほどしかない。それでは今後、この市場はどのように拡大して行くと予測されているのだろうか。

                                   (続きは来週サタデー)

      ≪16日の日経平均 = 上げ +111.44円≫

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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話 (改訂版)
2017-06-18-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第14章 景気対策って、なんだろう? ⑦

◇ アベノミックスの中身 = アメリカのレーガン大統領が実施した大胆な景気対策。当時のマスコミが、これをレーガノミックスと名付けました。第2次安倍内閣が12年12月に誕生、大胆な景気対策を打ち出したとき、これにちなんでアベノミックスという言葉が生まれたのです。直訳すれば「安倍の経済学」という意味になります。

その中身は①大胆な金融政策②機動的な財政政策③民間投資を喚起する成長戦略--の3本柱から成り立っていました。安倍首相自身は、これを“3本の矢”と表現しています。この3本の矢によって景気を回復し、経済成長率を3%以上に引き上げると公約したのです。

もう少し具体的にみると、まず第1の矢である金融政策は2%のインフレを目標とし、無制限の量的緩和を実行。これにより金利を引き下げ、結果的に円高を是正することにしました。同時に第2の矢である財政面からは、大規模な公共投資を行うことにしたのです。このため13年1月には、総額13兆1000億円の補正予算を編成しました。

第3の矢である成長戦略は、要するに規制緩和です。戦後、日本経済が発展するにつれて「××はダメ」という法律的な規制が数多く作られました。その多くが既得権益とも結びつき、新しい民間の活動を妨げています。これらをできるだけ撤廃することで、企業の活動範囲を広げ、生産性を向上させることが目的です。

                                (続きは来週日曜日)
              

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今週のポイント
2017-06-19-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 利上げでも新高値を更新中 = FRBは先週、大方の予想通り4回目の金利引き上げを決定した。ニューヨーク株式市場は気にしながらも、横目で通り過ぎた感じ。ダウ平均は週間112ドル値上がりして、またまた史上最高値を更新した。IT関連株の急落もあったが、金融株などの上昇で相場は支えられた。この勢いは、どこまで続くのだろうか。

株式市場の反応は薄かったが、債券市場と為替市場はやや異常な反応を示した。政策金利が上昇すれば、ふつうは長期金利が上がる。だが債券市場では、逆に債券が買われて金利は下落。10年もの国債の利回りは、7か月ぶりの低水準に下がっている。金利が低下したため、為替市場ではドルが下落した。

日経平均は先週70円の値下がり。円高の影響も受けたが、どうしても2万円台を回復できない。外国人投資家が加計学園の事件を嫌っているという見方も出ているが、根本的な理由はやはり経済の先行き不透明にあるのではないだろうか。アベノミックスが賞味期限切れになったあと、日本経済は目標を失ったという声も出始めているようだ。

今週は19日に、5月の貿易統計。21日に、4月の全産業活動指数と5月の訪日外国人客数。アメリカでは21日に、5月の中古住宅販売。22日に、4月のFHFA住宅価格と5月のカンファレンス・ボード景気先行指数。23日に、5月の新築住宅販売が発表される。

      ≪19日の日経平均は? 予想 = 下げ


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市場に現われた 景気警戒論 / アメリカ
2017-06-20-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ FRBは楽観論だが = アメリカの中央銀行であるFRBは先週、政策金利を年1.00-1.25%に引き上げた。一昨年12月に引き締めに転じてから4回目の利上げで、政策金利が1%台に載せるのは8年半ぶりのこと。市場は今回の利上げを完全に織り込んでいたから、全く動揺は見られなかった。しかし景気の先行きを巡っては、FRBと市場の見方に明らかなミゾが生じ始めている。

イエレンFRB議長は会見で、利上げを決断した理由として「アメリカ経済が好調で底堅い」ことを強調した。また「物価の伸び悩みは一時的」「雇用には改善の余地がある」とも述べている。5月の消費者物価が1.7%の上昇にとどまり、小売り売上高や新車の売れ行きも予想を下回った。また雇用者の増加数も、大きく鈍化している。イエレン議長はこうした最近の経済指標を念頭に置きながら、景気の先行きに心配はないと説明したわけである。

この景気見通しに対する市場の反応は、まちまちだった。株式市場はあまり気にせず小幅に上げて、ダウ平均は最高値を更新している。ところが債券市場の反応は違った。ふつう政策金利が引き上げられれば、長期金利は上昇する。しかし今回は国債などが買われ、10年もの国債の利回りは7か月ぶりに2.10%まで低下した。このため為替市場では、ドル安・円高が進行することになった。

景気の先行きは、そんなに思わしくない。FRBによる年内の追加利上げは不可能だ。したがって、金利はもう上がらない。債券市場ではこうした見方が多くなって、買い物が増えた。FRBの楽観的な見方を否定したわけである。さて、FRBと債券市場の見方はどちらが正しいのか。7月初めに発表される6月の雇用統計と新車販売台数が、その行司役を務めることになりそうだ。

      ≪19日の日経平均 = 上げ +124.49円≫

      ≪20日の日経平均は? 予想 = 上げ


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円安でも 貿易収支は赤字に
2017-06-21-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ LNGなどの輸入価格が上昇 = 財務省は19日、5月の貿易統計を発表した。それによると、輸出は5兆8514億円で前年比14.9%の増加。輸入は6兆0547億円で17.8%の増加だった。その結果、貿易収支は4か月ぶりに2034億円の赤字となっている。輸出で伸びが目立ったのは自動車、鉄鋼、船舶など。輸入で増えた品目はLNG(液化天然ガス)、石炭、原油・粗油だった。

貿易収支を地域別にみると、対アメリカは4111億円の黒字。対アジアも3091億円の黒字だったが、対EUは405億円の赤字。また対中国も3118億円の赤字。対中東は4688億円の赤字となっている。ここで驚くのは、中国からの石炭輸入が前年の5倍以上に跳ね上がったこと。中東からの輸入と合わせて、相変わらずエネルギーの輸入が最大の赤字要因になっている。

この5月の為替レートは、平均値で111円47銭。前年より2.3%の円安だった。輸出はアメリカやアジア諸国の景気回復と円安に助けられて、15%近くも伸びている。にもかかわらず貿易収支が赤字に落ち込んだのは、エネルギー素材の輸入価格がやはり円安で高騰した影響が大きい。

もちろん、2000億円程度の貿易赤字を問題視する必要はない。だが5月の貿易統計をみると、円安が必ずしも日本経済にプラスとは限らないことが判る。と同時に、いつまでも高いエネルギーを大量に輸入する体質でいいのか。改めて考えさせられる。日本のエネルギー計画は、どこに行ってしまったのだろうか。

      ≪20日の日経平均 = 上げ +162.66円≫

      ≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ


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小池構想の弱点と その矯正法
2017-06-22-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 進捗状況をもっとオープンに = 小池東京都知事は20日、築地市場の移転問題についての方針を正式に表明した。これで汚染対策を進めて、豊洲に市場を移転することが明確になったことは喜ばしい。また築地市場の再開発を進める方向も、十分に理解できる。だが築地を「食のテーマパーク」にする構想のなかで、市場機能も持たせると述べたことは全くの説明不足。新たな議論を巻き起こすことになってしまった。

豊洲に最新鋭の生鮮市場を構築すると述べる一方で、築地にも市場機能を持たせる。そんな役割分担が可能なのだろうか。二重投資になるのではないか。新たな疑問を誘発すると同時に、5年後には再び市場を豊洲から築地に戻すという憶測まで呼んでしまった。築地の市場機能についての説明がなかったために生じた、無用の混乱である。

「市場機能を持ったテーマパーク」という構想は、おそらく専門家会議の席上で披露されたアイディアなのだろう。だが具体的に詰められていないから、小池知事も説明ができなかった。要するに都庁内部での議論が遅れているためである。議論が遅れると、小池知事も決断がつかない。すると「決められない知事だ」と批判される。

この弱点を解消する方策――「一週間で何が進捗したか」を簡潔に書き並べた紙を、毎週の記者会見時に配布する。たとえば「××会議では、○○を決めた」というように。こうすれば、どこの部門で議論が停滞しているかがひと目で判る。なぜ知事の決断が遅れるのか。どこを直せば、政策のスピードを上げられるのか。小池知事の弱点は、かなり矯正されると思う。

      ≪21日の日経平均 = 下げ -91.62円≫

      ≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ


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「需要 > 供給」の発表に 違和感
2017-06-23-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ まさか内閣府の“忖度”では = 内閣府は先週「昨年10-12月期とことし1-3月期の国内需要が供給を上回った」と発表した。国内のモノやサービスの需給は、14年の消費増税前の駆け込みで需要が大きく上回ったあとは、その反動もあって供給過剰気味の状態が続いていた。需要が供給を上回れば、物価は上がりやすくなり、景気も拡大に向かう。

需要と供給の差を需給ギャップと言い、これがマイナスだと景気は上向かない。物価も上昇しにくく、経済はデフレ状態に陥る。最近の日本経済は、ずっとこの状態に悩まされてきた。それだけに、2四半期連続で需給ギャップがプラスになったことは大ニュースのはず。しかし日経新聞を除けば、ほとんど紙面に載らなかった。

日経新聞によると、需給ギャップがプラスに転じたのは「時代遅れになった生産設備の供給力を、従来より低めに見積もったから」だという。経済統計の推計方法を見直すことは、決して悪くはない。しかし、そのためにいい結果が出たとしても、決して喜べないだろう。もっと厳しく見直せば、結果はさらに改善してしまう。

見直しの時期にも問題がある。いまアベノミックスの効果が消え去り、日本経済は自力でデフレを克服できるかどうかの瀬戸際に置かれている。そんなとき、なぜ内閣府はこんな発表をしたのだろう。言いたくはないが、内閣府は得意の“忖度”をこんなところでも働かせているのでは。なんとも違和感を拭い切れない発表だった。

      ≪22日の日経平均 = 下げ -28.28円≫

      ≪23日の日経平均は? 予想 = 上げ


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サタデー自習室 -- 水の 経済学 ⑫
2017-06-24-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 急成長する水ビジネス = 世界の水ビジネスは、急速に拡大している。いろいろな機関が発表している将来予測をみても、そろって大幅な伸びを見込んでいる。ただ調査によって対象とする国やビジネスの範囲が異なっており、将来の予測値だけではなく過去の数値でさえ必ずしも一致しない。

たとえば国連の推計では、09年のビジネス規模は60兆円。これが25年には111兆円に増大すると予測している。新聞や雑誌に「111兆円の水ビジネス」という見出しがよく使われるのは、このためだ。一方、経済産業省は15年が83兆6000億円。これが20年には100兆7000億円に拡大するという予測を発表している。

経産省の発表で15年の内訳をみると、上水道関係が36兆1000億円で全体の36%を占めていた。次いで下水道が31兆9000億円、産業用水が19兆円となっている。これが20年になると、上水道が43兆円に。下水道は39兆2000億円に、産業用水は18兆6000億円に拡大する。

世界経済の成長率は、このところ5-6%程度。それに比べて水ビジネスの伸び率は、きわめて大きい。人口の増加と新興国の生活水準が急速に上昇することが、その根底にある。先進国の企業にとっては、またとないビジネス・チャンス。各国の関連企業が一斉に乗り出してきたことも、当然の成り行きと言えるだろう。

                                  (続きは来週サタデー)

      ≪23日の日経平均 = 上げ +22.16円≫

      【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】  

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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話 (改訂版)
2017-06-25-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第14章 景気対策って、なんだろう? ⑧

◇ 財政面からの景気対策 = 第2次安倍内閣は12年12月に誕生すると、時間を置かず13年1月には総額13兆1000億円の補正予算を編成しました。それまでの補正予算に比べると、飛び抜けて規模が大きかったことと、内閣が出来てすぐに編成されたことで、人々は「久しぶりに本格的な景気対策が実行される」と感じたのです。

安倍内閣はその後も、毎年のように補正予算を編成しています。しかし、その金額は3-5兆円と小振りになってしまいました。これは大規模な補正予算を組まなくても、景気は回復すると判断したからでしょう。それに大きな補正予算を組みたくても、国債の発行をこれ以上は増やせないと考えたからでした。

国債は、国の借金でしたね。その国債が来年3月末には、なんと865兆円に達する見込みです。GDPは日本中の人々が1年間働いて生み出す経済価値の総額ですが、その1倍半を超えてしまいました。国民1人当たりにすると、約688万円にもなります。ですから政府としても、国債の発行はなるべく増やしたくないわけです。

このようにアベノミックスと呼ばれる経済対策のなかで、財政面からの景気刺激策は初めに大きな花火が打ち上がりました。しかし、その後は熊本地震や台風の復興費など必要最小限の追加補正にとどまっています。ここからも判るように、今後も財政面からの景気刺激策はよほどの事態が発生しない限り、なかなか発動しにくいと思われます。

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今週のポイント
2017-06-26-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 元気のない東京株式市場 = 日経平均は先週20日、年初来高値を更新。その後はやや反落したが、週間でも189円の値上がりだった。こうしてみると、東京株式市場は順調のように見える。だが実態はかなり緩んでいた。その証拠に火-金の4日連続で、日中の値幅が100円を切っている。ヘッジファンドなどの大口投資家が手控えムードに入ったうえ、個人投資家も及び腰になったからだ。

ダウ平均株価は先週10ドルの値上がりにとどまった。しかし着実に相場を切り上げ、史上最高値を更新中。年初からの上昇率は9%を超えている。また他の株式市場をみても、ドイツは年初来12%、インドは18%、韓国も17%に達している。これに対して日経平均は5.3%しか上がっていない。

この落差の原因は、どこに求められるのだろう。いくつか考えられるが、基本的には日本経済の将来が不透明なこと。アベノミックスが効力を失ったあと、日本は次の目標を見失っている。特に外国人投資家の目には、そう映るのではないか。加えて過度な円高恐怖症。東京市場は「円安でないと上がらない」という考え方が、広く浸透してしまったように思われる。

今週は26日に、5月の企業向けサービス価格。29日に、5月の商業動態統計。30日に、5月の消費者物価、労働力調査、家計調査、鉱工業生産。アメリカでは27日に、6月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数と4月のSPケース・シラー住宅価格。28日に、5月の中古住宅販売。29日に、1-3月期のGDP確定値。また中国が30日に、6月の製造業と非製造業のPMIを発表する。
 
      ≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ


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円高過敏症の 東京株式市場 (上)
2017-06-27-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ むしろ将来の円高を警戒 = 新聞の株式欄を読んでいると「円高で株安」とか「円高警戒で伸び悩み」といった表現に、よく出くわす。最近は「円高⇒株安」が、いわば常識となってしまったようだ。たしかに円高は、企業が保有する外貨建て資産を目減りさせる。トヨタの場合は「円相場が1円上昇すると、利益が350億円減少する」といった知識が完全に定着してしまった。

多くの輸出企業はこの弊害を和らげるため、海外生産を拡大した。これによって輸出競争力の低下による損失は、かなりの程度まで防げるようになった。しかし海外で生み出した利益を決算のため円建てに換算すると、そこに為替差損が生じてしまう。経営者はそれを心配して、業績予想を発表するときにはどうしても慎重になりがちだ。株価にとっては、下げ要因となることが多い。

日経平均株価は先週、年初来高値を更新した。しかし週末時点での年初からの上昇率は5.3%にすぎない。たとえばアメリカの9%、ドイツの12%、インドの18%、韓国の17%に比べると、はるかに見劣りする。その大きな原因の一つが、東京市場に定着してしまった“円高過敏症”ではないだろうか。

円の対ドル相場は、ことしになってから大きくは動いていない。1月の平均値が114円75銭だったのに対して、先週末時点の相場は111円30銭。この程度の水準なら、多くの企業の想定レートを下回っている。したがって株式市場は現実の円相場よりも、将来の相場水準を過度に心配していると言えそうだ。

                                 (続きは明日)

      ≪26日の日経平均 = 上げ +20.68円≫

      ≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ


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円高過敏症の 東京株式市場 (下)
2017-06-28-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ アメリカの景気動向にも一因 = FRBは今月中旬、4回目の政策金利引き上げを断行した。本来なら、これで長期金利が上がり日米の金利差が開いて、ドル高・円安になるはずだった。ところが長期金利はむしろ下がり気味。円相場もやや上昇した。その理由は、投資家がアメリカ経済の先行きに懸念を持ち、国債の買い入れを増やしたためである。国債の価格が上昇、長期金利は低下してしまった。

アメリカの景気が下降すれば、FRBは予定通りに利上げを実行できない。すると日米間の金利差は拡大せず、円高が進む可能性もないではない。東京市場はそこまで深読みして、将来の円高を懸念している。仮に1ドル=100円を超える円高になれば大変だが、そんな気配はいまのところ全くない。やはり市場は、心配し過ぎているのではないだろうか。

円高を心配し過ぎる一方で、円高のメリットについては過小評価されている。言うまでもなく、円高になればモノやサービスの輸入価格は下落する。いまの日本はエネルギーの輸入に巨額の代金を支払っており、それだけ国内の購買力が海外へ流出している。その購買力が国内で使われれば、景気はもっとよくなるはずだ。

市場に定着してしまった円高過敏症を矯正するには、どうしたらいいのだろうか。それには、日本経済の将来見通しをもっと明るくするしかない。将来展望が明るくなれば、市場はそちらに顔を向け多少の円高不安には動じなくなるだろう。その意味では、アベノミックス後の新しい経済目標を策定することが不可欠になってくる。

      ≪27日の日経平均 = 上げ +71.74円≫

      ≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ


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EUとの自由貿易協定が 決着へ
2017-06-29-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 6年越しの交渉がやっと = 日本とEU(ヨーロッパ連合)のFTA(自由貿易協定)締結交渉が、ようやく決着しそうだ。安倍首相は来週ヨーロッパを訪問、その際にトゥスク欧州理事会議長らとともに大筋合意を発表する公算が強い。この交渉は11年5月に始まり、6年がかりの長丁場。成立すれば、アメリカがTPP(太平洋経済連携協定)を一方的に離脱したあと、初めての大型貿易協定となる。

皮肉なことに、この交渉が最近になって急速に進んだのは、TPPの影響が大きい。日本はTPPで、相手国からの輸入について全9018品目のうち8575品目の関税を撤廃することで合意した。また農産物の輸入についても、品目ごとの関税引き下げを決めている。これらの措置については、国内関連業界の同意も取り付けた。

したがってEUとの交渉では、TPPの水準を上回らない範囲で自由化すればよいことになった。EU側もこの原則を理解したため、交渉が加速されたという。結果として、工業製品については日本もEUも関税をほぼ撤廃。農産物については、EUからのチーズ輸入関税だけが未決着という報道も流れている。

16年の実績でみると、日本の対EU向け輸出額は8兆円。輸入額は8兆6000億円だった。日本側の輸出品目は自動車、電機、一般機械など。また輸入品目は医薬品、自動車、電機、食料品の順に多い。日本の輸出先としてはアメリカ、中国、ASEAN(東南アジア諸国)に次いで4番目。輸入先では中国、ASEANに次いで3番目となっている。

      ≪28日の日経平均 = 下げ -94.68円≫

      ≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ


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消費は強いのか? 弱いのか?
2017-06-30-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 政府の見解に微妙なズレ = 経済産業省は29日、5月の商業動態統計を発表した。それによると、小売り業の販売額は11兆7590億円で前年比2.0%の増加だった。ただ季節調整をした前月比は1.6%の減少となっている。このため経産省は、小売り販売に関する基調判断を「持ち直しの動きがみられる」と、前月のままに据え置いた。

業種別に販売の伸びが大きかったのは、新型車を投入した自動車小売業が前年比7.0%の増加。石油価格の上昇で、燃料小売業も8.7%売り上げを伸ばしている。また業態別では、デパートとスーパーを合わせた大型小売店が0.6%の減少。コンビニは3.6%の増加だった。全体的にみて、大きく変動した点は見当たらない。

政府は先週22日の関係閣僚会議で、6月の月例経済報告を了承した。このなかで景気の基調判断を6か月ぶりに上方修正。景気は「緩やかな回復基調を続けている」と結論付けている。その最大の根拠は「個人消費が持ち直したこと」だと説明した。事例としては、4月の消費総合指数が0.8%上昇したことなどを挙げている。

消費の持ち直しを主な理由として、閣僚会議では景気判断を上方修正した。ところが、その1週間後には経産省が判断を据え置く発表をした。安倍内閣としては「景気の状態は改善」と認定したが、その根拠となった小売り業を主管する経産省は「変わらず」と判定したことになる。これはなんとも奇妙で、わかりにくい。国民はどちらを信用したらいいんだろう。

      ≪29日の日経平均 = 上げ +89.89円≫

      ≪30日の日経平均は? 予想 = 下げ


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