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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
GDP統計 深まるナゾ / 中国
2017-12-01-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 習近平政権が是正に動き出す = 中国統計局は、国と地方のGDP作成方法を19年から統一すると発表した。中国では中央政府のほかに、全国31の省・直轄市・自治区が独自にGDP統計を作成している。ところが地方のGDPを合計すると、常に国が発表するGDPを上回ってしまう。たとえば14年は4兆2000億元(約66兆円)、16年は2兆7000億元(約49兆円)も、地方の集計が国より大きかった。

習近平政権は以前からこの問題を重視、ことし8月には監督を強化している。その結果、東北地方の遼寧省では、16年のGDPが前年より20%近くも減少してしまった。要するに、15年以前はGDPを2割ほどカサ上げしていたことになる。こんな事態は、吉林省などいくつかの自治体でも起こるに違いないという見方が強い。

地方自治体の幹部は、経済の拡大による税収増の大きさで成績を査定される。このため地方債を財源として不動産投資を拡大、これが不動産バブルを発生させることになった。またGDPの作成に際してデフレーター(物価指数)を過少に設定し、実質GDPを大きく算出しているケースが多いようだ。

先進国では考えられない現象で、それを是正するのは結構なことである。しかし中央政府がこうした“偽装”を公に認めた結果、国が発表するGDP統計は信頼できるのか、という新たな疑問も生じている。たしかに中国のGDP成長率は、ごくわずかしか動かない。しかも他の先進国に比べて、速報値の発表が異常に早い。そして改定値が発表されない。疑ったらキリがないようだ。

      ≪30日の日経平均 = 上げ +127.76円≫

      ≪1日の日経平均は? 予想 = 上げ


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プ レ ー ト
2017-12-02-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ これまでの あらすじ ◇

1) 地球が寒冷化の危機 = 21世紀の半ば、地球は厚いメタン・ガスに覆われ、冷え込んでしまった。食料不足に見舞われた人類は、移住できる星を探るために、宇宙船を飛ばした。ぼくはその宇宙飛行士の1人。4.2光年離れたダーストン星にたどり着く。

着陸時に事故が起こり、ぼくは重傷を負った。しかし、この国の医療技術は完璧で、1週間のうちに歩けるようになる。どんな病気でもケガでも治してしまうので、この国の人たちは死ななくなってしまったんだそうだ。

2) マーヤという名のロボット = ぼくの世話をするために日本語が判るように改造されたのが、マーヤという名前の女性ロボットだ。ロボットとは言っても、顔や体つき、それに皮膚の艶やかさは人間並み。この国のロボット技術は素晴らしい。

マーヤは左胸に「71」と書かれたプレートを付けている。ロボットだけではなく、人間の胸にもプレートが。病院のブルトン院長は「48」、賢人会議の議長を務めるウラノス博士は「12」だった。そして、ぼくの左胸にも「66」のプレートが。この数字は「100から年齢を引いた数字」だと聞いて驚いた。

3) 全国民の寿命が100歳 =ダーストン星はベートンという名の恒星の周りを回っている惑星だ。住民は300年ほど前に別の星から移住してきた人たちの子孫。移住は大型宇宙船で行われたが、それでも人口の1割ぐらいしか運べなかった。

残った9割の人々は、放射能汚染のために死滅したという。自分たちが犠牲になって、1割の人を新天地へ送り出した。このダーストン国では先祖の崇高な精神を受け継ぎ、人口を抑制するため驚くべき決断に踏み切った。それが死ななくなった国民の寿命を、すべて100歳にするという異常な制度の導入である。

国民はこの制度に満足しており、反対する人はほとんどいない。プレートの数字は、残りの人生を大切に生きるための証しなのだという。

                  (続きは明日)    

      ≪1日の日経平均 = 上げ +94.07円≫                                               
   
      【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】      
  

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新次元・SF経済小説 【 プ レ ー ト 】
2017-12-03-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第1章  ダー ス ト ン 星 

≪10≫ 天涯孤独 = 実を言うと、ブルトン夫人の「子どもを残して病気や事故で死んでしまう親の悲劇」という言葉は、ぼくの胸にぐさりと突き刺さった。忘れようとしていた25年前の記憶が、一気によみがえったからである。そんな悲劇が起こる世界よりは「100年間を確実に生きられる方がいい」という夫人の主張にも、説得力を感じてしまった。

その夜、ぼくはその日の出来事をノートにメモしながら、物思いに沈んでいた。そう、ぼくが5歳のとき、両親は事故で死んだ。高速道路で大型トラックに追突され、車が前のバスに激突したのだ。ぼくは後部座席にいて軽傷で済んだが、その瞬間から天涯孤独のみなし児に。擁護ホームに引き取られ、そこから学校に通った。

いまは病室から出て、別棟の個室に住んでいる。ベッドと机があるだけで、カベにテレビは映るけれども面白くないのであまり見ない。もっとも個室といっても、マーヤはいつもいる。隣り部屋にいることが多く、ときどき食事や飲み物を運んでくる。でも食事を作るわけではない。食べ物も飲み物も、いつもどこからか運ばれてくるようだ。

「今夜はとても悲しそうな顔をしていますね。なにか、いやなことでも」
傍にきたマーヤがそう言った。こいつロボットのくせに、ぼくの精神状態を読み取れるのか。一瞬そう思ったが、嬉しくもあった。それで25年前の出来事を聞かせてやると・・・。

「まあ、それは大変でしたね。1人で学校に行って、それからどうしたのですか」と聞いてきた。そんなことまで話したくはなかったが、だれかに聞いてもらいたい気が急に湧いてきた。

――大学まで進んだが、友達は出来ない。ぼくの気持ちのどこかに、素直になれないところがあったのだろう。好きな女性も見付けたけれど、想いを打ち明けられずに終わってしまった。これではダメだ。21歳になったとき、そう思って大学を辞めて航空自衛隊に入ったんだ。いろいろ鍛えなおそうと考えてね。

そのころ日本では、月に宇宙基地を建設する計画が進行していた。そこで、ぼくは宇宙飛行士の訓練を志願したが、特訓中に地球の冷却化が大問題になったんだ。光速宇宙船に乗れたのは、ぼくの技量が優秀だったからではない。だれも4.2光年先の未知の星なんかに行きたがらなかったためだよ。そこからの話は、君ももう知っているだろう。そしていま、ぼくはここにいる。全く夢のような話だ。

「そして、私もここにいる」と言い返して、マーヤはちょっと微笑んだ。これにはぼくもびっくり、思わずつられて笑ってしまった。

「笑顔が出たところで、おやすみなさい」と、マーヤは礼儀正しい。

                     (続きは来週日曜日)
     

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今週のポイント
2017-12-04-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ ダウ平均は2万4000ドル台に = 株価はいっときの小休止を終え、再び上昇気流に乗ったようだ。ダウ平均株価は先週674ドルの大幅高。ついに2万4000ドル台を踏み固めている。日経平均もつられて先週は268円の値上がり。だが、こちらの方はまだ2万3000円に戻していない。ただ東京市場では、IT関連株を中心にジャスダック平均が27年ぶりの高値を付けた。

北朝鮮は先週、2か月半ぶりにICBM(大陸間弾道弾)を発射した。アメリカ東海岸までが射程に入る大型のミサイルだという。だがニューヨーク市場は全く反応を示さなかった。もう慣れっ子になってしまったのかもしれないが、それだけ株価を押し上げる力が強いためとも解釈できる。トランプ減税法案に対する議会の反対が弱まった、というニュースが大きな買い材料になった。

日経平均は11月も3.2%の上昇だった。これで3か月連続の上げ相場。ニューヨークが明るいだけに、東京市場でも強気感が広がっている。証券各社の予想をみると、一部には来年3万円という超強気も現れてきた。そこまで飛躍するのは危ないが、少なくとも年内から来年初までは上昇気流が続きそうである。

今週は4日に、11月の消費動向調査。7日に、10月の景気動向指数。8日に、7-9月期のGDP改定値、10月の毎月勤労統計、11月の景気ウォッチャー調査。アメリカでは5日に、10月の貿易統計と11月のISM非製造業景況指数。8日に、11月の雇用統計、12月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が8日に、11月の貿易統計。9日に、11月の消費者物価と生産者物価を発表する。

      ≪4日の日経平均は? 予想 = 下げ


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米シェール業界の反撃 : 対OPEC
2017-12-05-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 産油国の協調減産に水? = OPEC(石油輸出国機構)とロシアなどの産油国は先週30日、来年3月末までとしていた協調減産を来年末まで延長することで合意した。これら産油国連合の24か国は、原油の国際価格を上昇させるため、ことし1月から原油の生産を日量180万バレル減らしてきている。その効果もあって、たとえばニューヨーク市場のWTI(ウエスト・テキサス軽質油)先物価格は、最近1バレル=60ドル近くにまで回復した。

産油国連合は、協調減産の延長で価格がさらに上昇することを期待している。だが、そこへ“待った”をかけるのがアメリカのシェール業界。価格が上げれば採算がよくなるので、一気に増産してくる可能性が大きい。ことしは春から価格が上昇傾向にあったため、シェール・オイルの生産量はすでに増加しつつある。

EIA(米エネルギー情報局)の集計によると、この9月は日量594万バレル、10月は603万バレルに達している。この生産量は、OPEC第2位のイラクや第3位のイランを上回っているのだからバカにならない。しかも17年に続いて18年も、過去最大の生産量になると予測されている。その生産量しだいでは、産油国連合の努力も水の泡になるかもしれないわけだ。

こうしてOPECやロシアなどの産油国連合と、米シェール業界の死闘が始まった。関係者の間では「産油国連合が協定を厳守すれば、価格は上昇する」とか「シェールの急増で、価格は下がる」など、見方はいろいろ。大勢としては「70ドルまでは行かない」という予想が強いようだ。だが、もう1つの条件は世界同時好況が続くかどうか。その動向によって、どちらに軍配が上がるかが決まるだろう。

      ≪4日の日経平均 = 下げ -111.87円≫

      ≪5日の日経平均は? 予想 = 上げ


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正念場の トランプ大統領
2017-12-06-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 大減税法案で最後の駆け引き = アメリカ上院は先週末、法人税を現行の35%から20%に引き下げることを中核とする税制改正法案を可決した。下院ではすでに同様の法人減税を含む税制改正法案を可決している。このため法人税の大幅減税が実現する見込みが強まったとして、ダウ平均株価はまたまた史上最高値を更新した。しかし本当に実現するのか。まだまだ関門が控えている。

というのも上院の改正案と下院の改正案には、大きな差があるからだ。まず法人減税の実施時期は下院案が18年から、上院案は19年からとなっている。上院には財政再建論者が多く、法人減税による税収の減少を1年遅らせようというわけだ。また所得税についても、下院案は税率を現行の7段階から4段階に簡素化する。しかし上院案には、この簡素化がない。さらに下院案は相続税の廃止をうたっているのに、上院案では抜け落ちている。

これから上下両院の間で協議が行われ、法案を一本化しなければならない。関係者の見方によると、この交渉は容易ではない。特に上院の共和党議員のなかには、下院案への強硬な反対論者がいるからだ。そこでトランプ大統領が、説得に乗り出すことになる。その結果、説得に成功すれば、年末までに30年ぶりの大型法人減税が成立する。

だが説得に失敗し、法案が流れるようなことになると・・・。株価は急落し、年末年始のセールも盛り上がらない。景気の先行きにも暗雲が広がりかねない。トランプ大統領は、選挙公約をほとんど実現できない。身内の与党議員でさえ、説得できなかった。史上最低の大統領の烙印を押されかねない。

      ≪5日の日経平均 = 下げ -84.78円≫

      ≪6日の日経平均は? 予想 = 下げ


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年収800万円超は 増税 : 約433万人
2017-12-07-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 消費増税の前に決めてしまう = 政府・与党が目指す18年度税制改正の内容が固まった。国民生活に影響が大きい所得税については、①基礎控除②給与所得控除③公的年金控除――の3つの控除を修正する。結果として、年収800万円以上の人が増税になる。20年1月からの実施だが、19年10月には消費増税が予定されているため、その前に所得増税の内容を決めることにした。

まず基礎控除は、すべての納税者に適用される。現在は38万円だが、これを48万円に増やす。税金から控除される金額が増えるから、これは減税になる。次に給与所得控除は、公務員を含めたサラリーマンが対象。アルバイトや独立事業者は対象になっていない。現在は年収1000万円以上が220万円の控除。これを800万円以上で190万円の控除に引き下げる。増税になるが、子育て世帯には適用しない。

さらに年金控除は、基礎控除の引き上げ分と同額を一律に引き下げる。年金収入1000万円以上には上限を設けるほか、年金以外の収入が多い人の控除額を引き下げる。こうした3つの控除を修正する結果、年収800万円以上の人は増税に。たとえば年収800万円の場合は1万5000円、850万円の人は3万円の増税になるという。

国税庁によると、年収が800万円を超える人は約433万人いる。納税者全体の9%に過ぎないが、そんなに高給取りとは言えないだろう。増税になれば、負担感は確実に強まる階層である。それなのに、なぜ増税になるのか。理由は必ずしも判然としない。線引きは900万円とか1000万円でも、よかったのではないか。

      ≪6日の日経平均 = 下げ -445.34円≫

      ≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ


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庶民と日銀の温度差 : 物価見通し
2017-12-08-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日銀はなぜ慎重なのか = 内閣府は4日、11月の消費動向調査を発表した。そのなかから物価見通しの部分だけを取り出してみると、一般国民は「物価は上昇する」という見方を強めていることが判る。たとえば「1年後の物価が上昇している」と回答した世帯は、9月調査では76.2%だったのが、今回の調査では78.6%に増加した。これが、いわゆる庶民感覚だろう。

ところが、日銀は物価の見通しを引き下げている。10月31日の金融政策決定会合では、17年度の物価見通しを7月時点の1.1%から0.8%に下方修正。18年度についても、1.5%を1.4%に引き下げている。消費動向調査は11月15日に実施されているから、日銀との時間的なズレは半月しかない。庶民感覚に比べると、明らかに日銀の見方は慎重である。

ただし日銀の言う物価は、生鮮食品を除いた消費者物価。消費動向調査の場合は、生鮮食品も含めた物価だ。このところ天候不順の影響などで野菜や鮮魚の小売り価格が上昇しており、これが庶民の生活に響いたことは間違いない。しかし原油価格の高騰などで電気料金やガソリン代も上がり始めており、ここで物価見通しを下方修正する感覚はなかなか理解できない。

日銀が物価見通しに慎重な理由は何か。1つ目は日銀の分析が正しく、見通しが当たっている。2つ目は何事にも慎重な日銀の習性が現われている。そして3つ目は、金融の超緩和政策を止めたくない。物価が上がって緩和政策を止めれば、アベノミックスに協力できなくなるからだ。この3つのうち、どれが正解なのだろう。

      ≪7日の日経平均 = 上げ +320.99円≫

      ≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ


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 プ レ ー ト
2017-12-09-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ これまでの あらすじ ◇

1) 地球が寒冷化の危機 = 21世紀の半ば、地球は厚いメタン・ガスに覆われ、冷え込んでしまった。食料不足に見舞われた人類は、移住できる星を探るために、宇宙船を飛ばした。ぼくはその宇宙飛行士の1人。4.2光年離れたダーストン星にたどり着く。

着陸時に事故が起こり、ぼくは重傷を負った。しかし、この国の医療技術は完璧で、1週間のうちに歩けるようになる。どんな病気でもケガでも治してしまうので、この国の人たちは死ななくなってしまった。

2) マーヤという名のロボット = ぼくの世話をするために日本語が判るように改造されたのが、マーヤという名前の女性ロボットだ。ロボットとは言っても、顔や体つき、それに皮膚の艶やかさは人間並み。この国のロボット技術は素晴らしい。

マーヤは左胸に「71」と書かれたプレートを付けている。ロボットだけではなく、人間の胸にもプレートが。病院のブルトン院長は「48」、賢人会議の議長を務めるウラノス博士は「12」だった。そして、ぼくの左胸にも「66」のプレートが。この数字は「100から年齢を引いた数字」だと聞いて驚いた。

3) 全国民の寿命が100歳 =ダーストン星はベートンという名の恒星の周りを回っている惑星だ。住民は300年ほど前に別の星から移住してきた人たちの子孫。移住は大型宇宙船で行われたが、それでも人口の1割ぐらいしか運べなかった。

残った9割の人々は、放射能汚染のために死滅したという。自分たちが犠牲になって、1割の人を新天地へ送り出した。このダーストン国では先祖の崇高な精神を受け継ぎ、人口を抑制するため驚くべき決断に踏み切った。それが死ななくなった国民の寿命を、すべて100歳にするという異常な制度の導入である。

国民はこの制度に満足しており、反対する人はほとんどいない。プレートの数字は、残りの人生を大切に生きるための証しなのだという。

                  (続きは明日)    

      ≪8日の日経平均 = 上げ +313.05円≫                                               
   
      【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】      
  

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新次元・SF経済小説 【 プ レ ー ト 】
2017-12-10-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第1章  ダー ス ト ン 星 

≪11≫ マーヤの激励 = あくる朝、ぼくはまだ憂鬱な思いを引きずっていた。宇宙船が壊れてしまったから、もう地球には帰れないだろう。地球は、日本はどうなっているのだろう。凍り付いてしまったのかしら。ほかの4人の宇宙飛行士は、ここよりずっと遠くの星を目指したのだから、まだ飛んでいるはずだ。いろんな思いが、頭のなかで交錯する。

そのときドアが開いて、マーヤが朝食を持って現れた。「お早うございます」の挨拶も忘れない。

――お早う。この食事は、どこから来るの?
「食事を作っている工場に注文すると、車かドローンですぐに届けてくれます。なんでも冷めないうちに届きますよ」

――どうやって注文するの?
マーヤは自分の頭を指さして「ここから工場のロボットに通信を送ります。車を呼ぶときも、だれかとの面会を予約するときも、私が相手の担当ロボットと通信すれば完了してしまいます。そうそう、先日ブルトン医師から紹介されたメンデール教授との面会は、明後日の午後2時に決まりました」

――それは有難う。要するに君はスマホでもあるわけだ。だから、この国の人はロボットが傍にいるから、スマホを持っていないんだ。ロボットは人間以上に優秀だね。
「でもロボットはロボットで、いろんな問題を抱えているんです。あさって会うメンデール教授は、科学技術全般とロボット問題の最高責任者ですから、私も興味津々。ロボット仲間が、いまから話の内容を教えてほしいと言ってきていますわ」

――ロボット同士の通信網も発達しているわけだ。
マーヤの顔が急に明るくなった。「いまちょうど、ウラノス科学院長の秘書ロボットから情報が入っています。彼女が言うには、地球の冷却化は止まったそうです。賢人会が3年前に冷却化を止めるよう指示を出し、最近になってその成功が確認されたと言っています」

――えっ、本当かい。どうして冷却化が止められたんだろう。

「詳しいことは、メンデール教授に聞いてください。でも私たちが情報を流したとなると怒られますから、上手に聞いてくださいね。とにかく、よかったじゃないですか。元気を出しましょう」

とうとう、ロボットに励まされてしまった。でも明るいニュースを聞いて、ぼくの気持ちも明るくなった。心のなかで「マーヤ、ありがとう」と言う。


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今週のポイント
2017-12-11-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日経平均は行って来いに = 株式市場は先週、ワシントン発の2つのニュースに翻弄された。まず週初は「トランプ減税法案が成立の可能性」という一報。これでニューヨークは上げたが、東京は反応なし。また週央には「トランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都に認定」のニュース。ニューヨークも下げたが、東京は450円近くの大幅な下落。ただ週末には急速に戻している。

ダウ平均は週間98ドルの値上がり。終り値は2万4300ドルを超えて、また史上最高値を更新した。一方、日経平均は週間8円の値下がり。週央の大幅安をほとんど消した形で終わっている。こうした株価の動きをみると、世界同時好況のワク組みには変化がなく、株価は年末から年始にかけてさらに上昇すると期待していいかもしれない。

ただ気になる変化も、いくつか現われてきた。1つは中国の株価が下げたこと。また東京市場では、ジャスダックやマザースなどの新興市場に人気が移り始めたこと。さらに世界の半導体市場で、過剰感が出てきたこと。これらはまだ小さな変化の芽だが、来春にかけて注目すべき点になるのは間違いない。

今週は11日に、10-12月期の法人企業景気予測調査。12日に、11月の企業物価と10月の第3次産業活動指数。13日に、10月の機械受注。15日に、12月の日銀短観。アメリカでは12日に、11月の生産者物価。13日に、11月の消費者物価。14日に、11月の小売り売上高。15日に、11月の工業生産。また中国が14日に、11月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。

      ≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ


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半導体は 供給過剰に?
2017-12-12-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 株式市場に警戒感 = 世界中の市場で11月下旬から、半導体関連株の下落が目立っている。I oT(モノのネット化)の広がりを背景に、半導体関連株は年初から大きく値上がりしてきた。東京市場でも東京エレクトロンやマイクロン・テクノロジーなど、株価が年初来2倍になった銘柄も少なくない。それが下落傾向に転じた理由は、半導体の生産過剰がにわかに心配され始めたからである。

SEAJ(日本半導体製造装置協会)が5日発表した世界の半導体製造装置統計によると、7-9月期の販売高は143億3000万ドル。前年比30%の増加だった。1-3月期は58%増、4-6月期は35%増で、昨年後半からの伸び率はきわめて高い。これだけの設備が稼働すると、どうしても生産が需要を上回りかねない。その結果、半導体の価格が値崩れしないかと、株式市場は警戒するわけだ。

7-9月期の販売高を地域別にみると、第1位は韓国で49億9000万ドル。次いで台湾、中国、日本と、アジア勢が上位を独占している。特に韓国は前年比139%の大幅な伸びで、韓国の販売増加が過剰生産の引き金を引く形となっている。日本の販売高は17億3000万ドル。前年比は34%の増加だった。

過去の例をみても、半導体は過剰生産による値崩れを起こしやすい。その結果、関連企業の業績が急速に悪化して株価の下落を招くことが多かった。市場はこの経緯を熟知しているから、早めに警戒信号を発するのだろう。今回は世界同時好況で需要が急増して、価格の暴落は防げるのかもしれない。しかし来年上半期にかけての要注意事案になることは間違いない。

      ≪11日の日経平均 = 上げ +127.65円≫

      ≪12日の日経平均は? 予想 = 下げ


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景気予測調査も 改革を
2017-12-13-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 知りたいことを調べてほしい = 内閣府と財務省は11日、10-12月期の法人企業景気予測調査を発表した。それによると、大企業の現状判断指数は6.2。前回7-9月期調査の5.1から改善している。特に非製造業の判断が大きく改善した。しかし来年1-3月期の見通しは5.2で、先行きについてはいぜん慎重な姿勢をみせている。

判断指数というのは、前回より「上昇」と回答した企業の構成比から「下降」と回答した企業の構成比を差し引いた数値。11月15日時点で、全国1万3000社から回答を得た。中小企業の場合も改善傾向にあるが、現状判断指数はマイナス2.3で、まだ「下降」と答えた企業の方が多い。

全体としてみれば、現在の景気が回復状態にあることを示している。日銀も今週15日には短期経済観測調査を公表するが、おそらく同じような結果になるだろう。そこで不思議に思うのは、政府と日銀が似たような調査を実施していることだ。ともに大掛かりな調査だから、調査の集計・分析に携わる人数も多いはず。

政府は調査を止めて税金のムダ遣いを止めろ、とまでは言わない。しかし調査の内容はもう少し改善できないものか。たとえば大企業は高い利益を上げているのに、なぜ賃上げを抑制するのか。また景況の改善が遅れている中小企業は、何が原因なのか。納入価格の引き下げ要求、原材料やエネルギー価格の高騰、人手不足など。もっと今日的な質問をして、日銀との差別化を図ったらどうだろう。

      ≪12日の日経平均 = 下げ -72.56円≫

      ≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ


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自縄自縛の 2兆円政策パック
2017-12-14-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ もし消費増税ができないと = 政府は8日の臨時閣議で、人づくり革命のための2兆円政策パッケージを決定した。幼児教育・保育の無償化に8000億円、待機児童対策に3000億円、高等教育の無償化に8000億円、介護人材の処遇改善に1000億円を投入する。これから細部にわたって検討し、関連法案を来年の通常国会に提出する方針。

その財源も確定した。2兆円のうちの1兆7000億円は、消費増税による税収増加分から支出。残りの3000億円は、経済界が負担することになった。こうみてくると、安倍首相が熱心に打ち出した人づくり革命の具体策は、まことにスムースに動き出したように思われる。しかし問題は、財源の大半を消費増税に頼っていることだ。

政府・与党は、消費税率を19年10月に現在の8%から10%に引き上げる方針。だが19年春の時点で景気が下降局面に入っていたら、増税は困難だろう。と言って風呂敷をここまで広げてしまったから、増税ができないので2兆円政策パッケージも止めるというわけにはいかないだろう。そんなことをすれば、国民は裏切られたと感じてしまう。

景気が1年以上も先に、どんな状態にあるのか。誰にも正確な予想は困難だ。にもかかわらず政府・与党が2兆円政策パッケージの完成を急ぐ姿を見ていると「たとえ景気が悪くなっても消費増税は断行する」と言っているようにもみえる。あるいは景気上昇が19年春まで続くことに、賭けているのかもしれない。いずれにしても、自縄自縛のようにも見受けられるのだが。

      ≪13日の日経平均 = 下げ -108.10円≫

      ≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ


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世紀の失敗作 もんじゅを廃炉に
2017-12-15-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 責任は誰もとらない = 日本原子力研究開発機構は先週、高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)の廃炉を原子力規制委員会に申請した。廃炉が完了するのは30年後の2047年度。必要な費用を1500億円と見積もっている。しかし高速増殖炉の廃炉は初めてのことであり、技術的に解決しなければならない問題も山積している。このため廃炉が計画通り進むかについては、疑問の声が多い。

もんじゅは1985年9月に発電を開始した。ところが冷却用の液体ナトリウムが漏れ出すなどの事故を次々と起こし、政府は「使い物にならない」とみて、昨年12月に廃炉を決定した。こうして1兆円以上の資金を投じたもんじゅは、結局44日間しか発電していない。まことに豪快なムダ遣い、20世紀最大の失敗作品だと言うしかない。

さらに廃炉には、巨額の費用が必要になる。特に爆発の危険が高い液化ナトリウムの取り出しには、新たな技術開発が必要だ。文部科学省の試算だと、廃炉には3750億円かかるという。当事者である原子力開発機構の倍以上というのだから、どう理解したらいいのか迷ってしまう。そのうえ2万6700トンにのぼるとみられる放射性廃棄物の搬出先や処理方法も、全く決まっていない。

したがって完全に廃炉を終えるまでには、あと何年かかるか。総費用はいくらになるのか。現状では、全く見当がつかないと言っていい。民間の会社なら、倒産間違いなし。社長や重役の首が、いくつも飛んでいるだろう。だが準官公庁のような原子力開発機構の場合は、いくら損失を出そうが結局は税金で埋めてくれる。お咎めもなく、責任を問われることもない。

      ≪14日の日経平均 = 下げ -63.62円≫

      ≪15日の日経平均は? 予想 = 下げ


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プ レ ー ト
2017-12-16-Sat  CATEGORY: 政治・経済
第1章 ダ ー ス ト ン 星 (1-5回通読版) 

≪1≫ 2050年7月 気が付いたとき、目に入ったのは真っ白な天井だった。疲れている。頭が少し痛い。再び意識がかすんでしまった。
 
次に目が覚めると、白衣の女性看護師の顔が見えた。卵型で整った顔立ちの美人だ。白衣の左胸に黄色のネーム・プレートを付けている。名前を見ようとしたが「71」という数字しか書いてなかった。
 
「もう大丈夫ですよ。気分はどうですか」と、やや甲高い声で聞いてくる。やっぱり、ここは病院なのだ。でも、どこの病院なのだろう。美人の看護師は日本語で話しかけてきた。だから日本なのか。いや決して、そんなはずはない。眠っているふりをして、一生懸命に思い出そうとした。

ぼくはたしかに種子島の打ち上げ基地から、宇宙に向けて発射されたはずだ。2050年7月31日の早朝。そのときのことは、はっきり覚えている。あの日の空は、ドス黒い雲に覆われていた。上空に積み重なったメタンガスが太陽の光を遮っているためだ。

猛烈な加速度。それに耐えて数秒後に振り返ると、わが地球はもう満月の大きさにしか見えなかった。この宇宙船は1人乗り。各国の科学者たちが技術の粋を結集して造り上げた、5機の小型宇宙船のうちの1機である。最大スピードは秒速30万キロ。つまり光の速さと同じだ。あらかじめセットされた目標に向かって、宇宙空間を突き進む。

それでも目標に近づくまでには、4年以上かかる。その間、ぼくはぐっすり眠っているだけでいい。目標に近づいたとき、ひとりでに目が覚めるように設計されていた。そして目が覚めた直後に、宇宙船は予想外の大きな磁気嵐に遭遇。自動操縦装置が故障してしまったのだ。あわてて手動に切り替えたが、うまくコントロールできない。さあ、大変だ。汗がどっと噴き出したことは覚えている。

だが、そこから先はどうしても思い出せない。また眠気が襲ってきた。

≪2≫ マーヤ あくる日の朝、ぼくは車いすに乗せられた。きのう見た胸番号「71」の女性看護師が、車を押してくれている。廊下に出ると、風景は日本の大病院とそう変わらない。患者とおぼしき人や女性看護師、それに医師らしい白衣姿の男性も廊下を歩いていた。気が付いたのは、男性の左胸につけられた青いプレート。そこには「48」と書かれていた。

「外へ出てみましょうか」と、女性看護師「71」が言う。車いすは自動で動き出し、ミズ「71」は車いすに全く手を触れずに歩いている。やっぱり、ここは地球じゃない。広大な庭が広がり、コスモスのような花も咲いている。遠くには低い山も見える。日の光が降り注ぎ、気温は20度ぐらいか。とても気持ちのいい朝だった。

思い切って、聞いてみた。
――いったい、ここは、どこなの?
「ダーストンという星です。人口はおよそ1000万人。別の星から移住してきた人たちの子孫です。ダーストンはベートンという大きな星の周りを回っている惑星で、1年は168日です」

――どうして、ぼくはこの病院にいるんだろう?
「貴方の宇宙船がこの星の近くで事故を起こしたそうです。あやうく地上に激突しそうになったとき、この国の宇宙救援隊が出動して保護したと聞いています。しかし大気圏に突入したときのショックで、貴方は重傷を負いました。この病院に運ばれ、手術を受けたのですよ」

――貴女はどうして日本語をしゃべれるのですか?
「貴方の救出を決めた科学院の命令で、この病院の医師が貴方の言語中枢から日本語の記憶をコピーし、私の頭にインストールしたからです。ですからダーストンのなかで日本語ができるのは私だけ。ダーストン語と日本語を、瞬間的に同時通訳できる機能も植えつけられました」

――えっ、どういうこと?
「もう、お気づきだと思いますが、私はロボットです。名前はマーヤ。貴方の世話をするために改造されました」

≪3≫ ブルトン院長 本当にびっくりした。たしかにロボット的な感じもしなくはなかったが、すました顔の愛くるしい目。それに健康そうな小麦色の肌は、とてもロボットとは思えない。喋るときには、表情さえ変わる。

「きょうの午後は、貴方の手術をされたブルトン院長の回診があります。とてもいい方ですから、何でも聞いてみてください。私が完全に通訳しますので、ご安心を」と、マーヤがにこやかに告げた。

ブルトン院長は長身で、見るからに信頼できそうな紳士だった。白衣には「48」の青いプレートが付いているから、きのう廊下で行き違った先生に違いない。面長で整った顔立ちは、地球でいえば北欧系に似ている。これも白衣を着た2人の女性看護師を引き連れて、病室に入ってきた。

「やあ、すっかり元気になりましたね。ちょうど一週間前、貴方はこの病院に運び込まれました。宇宙船の事故で全身打撲、特に頭部の損傷が激しかった。私とここにいる2人の看護師で手術をしたのです。もう心配ありませんよ。明日からは外出もできるでしょう」

――えっ、たった一週間で、こんなに良くなったんですか。
「この国の医療技術は、究極の水準に達しているのです。骨折などは1日で治せます。貴方の頭は脳細胞を培養して元通りに作り直しました。完全復旧ですから、記憶や神経系統も事故前の状態に戻っています」

――本当に素晴らしいですね。心から感謝します。
「どんな病気でも怪我でも、完全に治せます。たとえば病気になった人も大けがをした人も、すべて元の体に戻せるのです。極端なことを言えば、自殺をしてもムダというわけですね。ですから、この国の人間は死ななくなってしまったのですよ。医学的にみれば大変な成果ですが、別の大問題も発生しました。要するに人口問題です」

――そうか、人口が増え続けてしまうのですね。
「はい。それが大問題になりました。でも、その話は近いうちに詳しく説明しましょう。きょうは明日からの外出に備えて、ちょっとした手術を受けてもらわなければなりませんから」

≪4≫ 胸番号の意味 卵型の小型車に、マーヤと乗っている。病院の玄関から幹線道路に出て、8車線の高速道路へ。すべて自動運転だ。だいいち、この車には運転席がない。きょうは科学院長に会いに行くのだ。高速道路では300キロぐらいのスピードで走った。だから100キロほど離れた隣町の科学院に、アッという間に到着する。それでも、マーヤにいろいろ質問する時間はあった。

まずはきのう受けた手術で、ぼくの左胸に付けられたプレートのこと。病室に戻って鏡を見ると、ガウンの上に緑色のプレートがくっきり。番号は「66」だった。驚いたのはガウンを脱いでも下着のシャツに同じプレートが。下着を脱ぐと、こんどは肌の上にプレートが現われたではないか。

――マーヤ、このプレートはなんなのだ。ぼくの「66」という番号は、何を意味しているんだ?
マーヤは平然とした口調で、こう答えた。
「数字はその人の年齢よ。男の人は青色。女の人は赤。私たちロボットは、みんな黄色です。貴方のような異星人は緑色。お判りですか」

――では、ぼくは66歳になったってこと?
「いいえ。この星では、みんな100から引いた数字で年齢を表します。だから、いま「71」の私も、もうすぐ「「70」に変わります。貴方は34歳。私より5歳上のお兄さんということになりますわ。なぜ、そんな面倒な数字を使うのかは、もうすぐお会いになるウラノス博士に聞いてください」

――ふーん、判った。で、そのウラノス博士は、どんな人?
「この国の重要事項を決める機関が賢人会議です。6人で構成されていますが、ウラノス博士はそのうちの1人です。科学院の院長さんを兼任し、科学や技術の最高責任者。とても博識で判断も間違わないので、国民の間でも人気が高い人ですわ。私にはよく判りませんが、賢人会議でも議長のような役を果たしているのではないでしょうか」

――でも、そんなに偉い人が、なぜ僕と会ってくれるのだろう。
「それも私には判りません。ただロボット仲間から聞いた情報によると、貴方の宇宙船が事故を起こしたとき、素早く宇宙救援隊に出動を命じたのはウラノス博士だということです。昨夜、博士から病院に連絡があって、きょう私がお連れすることになりました。さあ、もう到着します」

≪5≫ UFOの正体 そのウラノス博士は、大きな声をあげながら両手を前に突き出した。そう、この星では両手を重ね合わすことが挨拶だと、車のなかでマーヤに教わったばかり。ぼくも慌てて両手を差し伸べる。
「元気になったようじゃね。結構、結構。まあ、そこに座ってくれたまえ」

白髪で丸顔、広いおでこに鋭い眼。でも声は柔らかい。小太りの身体を黄色いローブのような衣服で覆っていた。まるでギリシャ時代の典型的な賢者に見える。左胸には青いプレート。数字は「12」だ。えっ、ということは88歳か。とても、そんな歳には見えない。顔や手にも皺がなく、つやつやしている。

ウラノス博士が低い声で、ゆっくりと話し始めた。隣に座ったマーヤが、即座に通訳する。
「われわれは、地球のことをかなり知っておるよ。だいぶ以前から、地球の周辺にUFOを飛ばして情報収集はしているんだ。ふだんは地球人の目に触れることはないんだが、緊急連絡のときに出力を上げると船体がどうしても光ってしまう。それで地球人に見られることもあるんじゃ」

なるほど、UFOというのはこの国のスパイ宇宙船だったのか。
「貴方の記憶も分析させてもらったよ。メタン・ガスが成層圏に滞留して、気温が低下したんだね」
――はい。最初は温室効果で気温が上昇しましたが、その後は太陽の光が届きにくくなり、赤道の真下でも雪が降るようになったのです。
「それで食料に困り、人間が大量に脱出できる別の星を探し始めた?」

――その通りです。5機の高速宇宙船を造り、見当を付けた5つの星に向かって、各国の飛行士が飛び立ったのです。私はケンタウルス座の方向にある4.2光年離れた恒星プロキシマ・ケンタウリの惑星プロキシマb星に向かいました。
「地球人がプロキシマ・ケンタウリと呼んだ恒星は、われわれの言うべートンじゃよ。ほら、あそこに輝いておる。だから君は計画どおり、この星に到着したわけだ。宇宙船は壊れてしまったがね」

そうだ。宇宙船が壊れてしまったから、ぼくはもう地球に帰れない。でも命を助けてもらったんだから、お礼ぐらいは言っておかないと。
――言い遅れましたが、救助していただいて有難うございました。
「いや、礼には及ばんよ。困ったときは、お互いさまだ。それに君にはやってもらいたいことがあるんじゃ。いずれ、だんだんと説明するが、とにかくダーストンのことをよく勉強してほしい」

博士の目が妖しくキラリと光った。

      ≪15日の日経平均 = 下げ -141.23円≫

      【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
                               
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2017-12-17-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第1章 ダ ー ス ト ン 星 (6-11回通読版) 

≪6≫ ノアの方舟 ウラノス博士の話は続いた。「実は、われわれの祖先も300年ほど前に、同じような経験をしたんじゃ。君の星、地球は海底のメタン・ハイドレードを掘り過ぎて、メタン・ガスの噴出を止められなくなったことが原因だったね」

よく知っているなあ。UFOで集めた情報なのか。それとも、ぼくの頭脳から記憶を抽出したんだろうか。もしそうなら了解も得ないで、他人の記憶を勝手に取り出すなどとは、けしからん話だ。だが命を助けられたのだから、文句も言えないか。

「われわれの祖先は、ここから70光年離れたチャイコ星からやってきた。そのチャイコ星では300年ほど前、大変なことが起こったんじゃ。原子力発電で使った放射性廃棄物を、各国は共同で海底深くに埋めて処理していたが、大地震で海底のマグマがこの廃棄物処理場を飲み込んでしまった。その結果、いくつかの活火山が放射性物質を噴き出すようになり、人間は住めなくなってしまったんじゃ。

そこで先祖たちは超大型の宇宙船を大量に建造し、国ごとにいくつかの星に分散移住した。地球人の言う“ノアの方舟”じゃね。こうして、われわれの祖先が、この星に到達したというわけだ。そこのところを、きちんと知っておいてほしい」

われわれ地球人から見れば、ウラノス博士たちは宇宙人ということになる。でも“ノアの方舟”まで知っているし、外見は地球の人間とあまり変わりはない。不思議だ。

地球人がこのプロキシマb星を発見したのは、2016年のこと。観測機器の性能がが飛躍的に向上したため、ほかにも数多くの惑星が発見された。しかし地球との距離は、近いものでも39光年。プロキシマb星だけが、4.2光年で格段に近かった。ただし、この星には致命的な欠陥があると、科学者たちは指摘していた。それは恒星であるプロキシマ・ケンタウリが暗く、プロキシマb星は人間が住むには温度が低すぎると考えられたのだった。

それでも国連が調整して、主要国は5機の宇宙船で5つの惑星を探査することになり、日本はプロキシマb星を担当することになった。そして、ぼくがいま、ここにいる。そこで、明るい太陽のような恒星ケンタウリを指さして。

――この恒星は、もっと暗いと思っていたんですが。
「あはは、地球人がやってくると困るから、宇宙空間に特殊なバリアを張って、地球から見ると暗い星に見えるようにしたんじゃよ。君の宇宙船は、それに衝突した。宇宙にバリアを張る技術は、やっと30年前に完成させたんだよ」

ウラノス博士は豪快に笑ってみせた。

≪7≫ 驚くべき寿命100歳制度 = 帰りの車のなかで、ぼくは目を閉じてウラノス博士の話を反芻していた。隣のマーヤも黙りこくっている。そっと腕をつつくと「私も初めてあんな話をお聞きしました」と言って、うなだれてしまった。ロボットなのに、人間的な感情を持っているのかしら。

博士は最後に、ダーストンの建国にまつわる話をしてくれた。声が低くなり、顔つきも悲しげになったのが印象に残っている。そして、その内容は実にショッキングなものだった。博士の長い物語を要約すると・・・。

博士たちの祖先が住んでいたチャイコ星では300年前、放射性物質が拡散する事故が発生した。そのころまでに科学技術は非常に発達していたので、人々は国ごとに大型宇宙船をいくつも建造。それぞれ遠くの星を目指して脱出し始めた。博士たちの祖先も続々とこのダーストン星に移住してきたが、100年近くかかっても運べた人数は100万人足らず。残る900万人はチャイコ星とともに滅亡した。

ダーストン星に到着できた人は、第1級の知識や技術を持った人たち。しかも若者が中心だった。彼らは力を合わせて、新しい星での国造りに励む。まず労働力を確保するため、人間と同じように考え働けるロボットを量産した。そしてロボットや機械を動かすための電源エネルギーの確保。さらに高度な医療技術の開発にも、全力をあげたのだった。

その結果、100年ぐらいの間に素晴らしい国を建設することができた。ところが、そこで起きたのが人口問題。完璧な医療技術のおかげで人が死ななくなったために、人口は1000万人に接近するほど急増してしまった。ダーストン星は地球の3分の2ほどの大きさだが、ほとんど全部が海なのだ。陸地は面積が北海道と九州を合わせたぐらいの、この島だけ。いくらロボットたちが農耕に精を出しても、1000万人以上の人間は養い切れない。

チャイコ星で暮らしていた祖先たちは、子孫を守るために自らが犠牲になった。その崇高な精神を受け継いで、われわれもなんとかしなければいけない。そう考えた200年前の賢人会は、常識では思いつかない決断に踏み切った。人々の寿命をすべて100歳にするという提案である。この提案は直ちに国民投票にかけられた。結果は51%の賛成で可決された。

「この国の憲法第1条を見てごらん。そこには『ダーストン国民は平和で満ち足りた生活を保障される。すべての国民の寿命を100歳と定める』と書いてある」

ウラノス博士はこう言って、長い物語を終えた。

≪8≫ 胸番号の秘密 快適な20階建てマンションの最上階。今夜はぼくの手術をしてくれた医師ブルトン氏の招待を受けている。ぼくがこの国のことを理解できるようにと、ウラノス科学院長が配慮してくれたのだそうだ。

テーブルの上には、肉と野菜の料理。グラスには、ワインに似た液体も注がれている。電燈のようなものはいっさいないが、天井や四方のカベそのものが発光していた。40畳ほどの部屋には、戸棚もテレビも置いていない。ただ窓際の角に小さな机があって、その上に真っ赤な大輪のダリアのような花が活けてあった。素っ気ない感じだが、光線の柔らかさが心地よく落ち着く。マーヤもぼくの隣に座っているが、彼女は飲んだり食べたりはしない。

ブルトン氏は病院で見た白衣姿とは違って、柔和な紳士。茶系のガウンに光るプレートの数字は「48」だから、いま52歳ということになる。隣に座った奥さんを紹介してくれた。ぽっちゃり系の美人で、黄色のガウン。赤いプレートの数字は「52」だ。乾杯のあと、ブルトン氏がゆっくりした口調で話し始めた。

「ウラノス院長とお会いになって、どうでしたか。立派な人物だったでしょう」
――ええ、300年前の祖先がチャイコ星から移住してきたときの話。200年前の国民投票で全国民の寿命を100歳と決めたこと。ほんとうに驚くと同時に、深い感銘を受けました。

「私たちは幼いころから家でもその話を聞かされ、学校でも歴史として習います。妻や子どもたちを宇宙船に乗せるため、チャイコ星に残った夫や親の言動など。この国の人々は、決して忘れません。その証しとして、みんなが胸にプレートを付けているのです。これも200年前に、当時の賢人会が決めました」

――でも、なんで年齢ではなく、100から年齢を引いた数字になっているのでしょうか。
「まあ、食べながらお話しましょう。やはり昔の賢人会が、そう決めたのです。理由はいろいろありますが、寿命はだれもが100歳。残りの人生を大切にするため、あと何年生きるのかを常に意識するようにしたのだと言われています。人生設計を立てるのにも、とても役立ちますね」

――100歳で死ぬのはイヤだという人は、いないのですか。

そう尋ねたとき、目を大きく開いた夫人が会話に割り込んできた。

≪9≫ 幸せな100年の人生 = 「私たちは物心がついたときから、お前の寿命は100年だと教えられてきました。そのとき子供たちは『100年しか生きられないから悲しい』なんて、誰も思いませんよ。みんな『100年も確実に生きられるんだ』と喜びます。その喜びを、大人になっても持ち続けているんです。だから昔の賢人たちが決めたことに疑問を持ったり、反対を唱える人は誰もいません。

もっと昔の人は、病気や怪我でいつ死ぬか判りませんでした。可愛い子どもを病気で亡くしたり、幼い子どもを残して事故で死んでしまう若い親たち。考えただけでも、ほんとうに可哀そうですね。そんな悲劇にいつ襲われるかしれない人生と、100年の寿命が安全に保障される人生と、どちらが幸せかは明らかでしょう。もしいま国民投票をやっても、95%以上の人が賛成すると思いますわ。ねえ、あなたも同感でしょ」

最初に顔を合わせたときは、何やら野蛮人でも見るような目付きだったブルトン夫人だったが、いまは興奮の面持ちで喋りまくる。マーヤもいつもより早口で、通訳してくれた。水を向けられたブルトン院長は、うなづいて話を引き継いだ。こんどはマーヤの口調もゆっくりになる。

「人口は1000万人ですから、毎年10万人が100歳になる計算です。そして子どもを欲しがる若い人には、年間10万人の赤ちゃんが授かるようになっている。だから人口はいつも1000万人に保たれるのです。もう1つ医学的に補足しておきますと、この国の人は満100歳に近づくと、自然に静かな休息を欲するようになる。遺伝子操作で、みな生まれたときからそうなるようにプログラムされているんです。

ですから死ぬことに対する恐怖感はありません。みんな満100歳の10日前ぐらいになると、いそいそとして特別な病院へ向かいます。そこでは宗教的な行事も何もありません。ただ100年を無事に生きたことを感謝し、子どもや孫へと世代交代する喜びを噛みしめるのです」

胸に「50」のプレートを付けた女性ロボットが、皿を運んだり片づけたりしている。マーヤと似たような感じだが、どこか違っている。それにロボットの場合は、年齢差が感知できない。マーヤとそのロボットの顔を見比べながら、聞いてみた。

――ロボットも胸に番号を付けていますね。ロボットも100歳で死ぬんですか?
「あゝ、それには別の理由があるんです。でも私が話すよりは、メンデール教授に聞いた方がいい。科学大学院の学長で、この国の科学技術を取り仕切っている人です。ご紹介しますから、会いに行ってください」と言って、ブルトン医師はロボットたちに目くばせした。

≪10≫ 天涯孤独 = 実を言うと、ブルトン夫人の「子どもを残して病気や事故で死んでしまう親の悲劇」という言葉は、ぼくの胸にぐさりと突き刺さった。忘れようとしていた25年前の記憶が、一気によみがえったからである。そんな悲劇が起こる世界よりは「100年間を確実に生きられる方がいい」という夫人の主張にも、説得力を感じてしまった。

その夜、ぼくはその日の出来事をノートにメモしながら、物思いに沈んでいた。そう、ぼくが5歳のとき、両親は事故で死んだ。高速道路で大型トラックに追突され、車が前のバスに激突したのだ。ぼくは後部座席にいて軽傷で済んだが、その瞬間から天涯孤独のみなし児に。擁護ホームに引き取られ、そこから学校に通った。

いまは病室から出て、別棟の個室に住んでいる。ベッドと机があるだけで、カベにテレビは映るけれども面白くないのであまり見ない。もっとも個室といっても、マーヤはいつもいる。隣り部屋にいることが多く、ときどき食事や飲み物を運んでくる。でも食事を作るわけではない。食べ物も飲み物も、いつもどこからか運ばれてくるようだ。

「今夜はとても悲しそうな顔をしていますね。なにか、いやなことでも」
傍にきたマーヤがそう言った。こいつロボットのくせに、ぼくの精神状態を読み取れるのか。一瞬そう思ったが、嬉しくもあった。それで25年前の出来事を聞かせてやると・・・。

「まあ、それは大変でしたね。1人で学校に行って、それからどうしたのですか」と聞いてきた。そんなことまで話したくはなかったが、だれかに聞いてもらいたい気が急に湧いてきた。

――大学まで進んだが、友達は出来ない。ぼくの気持ちのどこかに、素直になれないところがあったのだろう。好きな女性も見付けたけれど、想いを打ち明けられずに終わってしまった。これではダメだ。21歳になったとき、そう思って大学を辞めて航空自衛隊に入ったんだ。いろいろ鍛えなおそうと考えてね。

そのころ日本では、月に宇宙基地を建設する計画が進行していた。そこで、ぼくは宇宙飛行士の訓練を志願したが、特訓中に地球の冷却化が大問題になったんだ。光速宇宙船に乗れたのは、ぼくの技量が優秀だったからではない。だれも4.2光年先の未知の星なんかに行きたがらなかったためだよ。そこからの話は、君ももう知っているだろう。そしていま、ぼくはここにいる。全く夢のような話だ。

「そして、私もここにいる」と言い返して、マーヤはちょっと微笑んだ。これにはぼくもびっくり、思わずつられて笑ってしまった。

「笑顔が出たところで、おやすみなさい」と、マーヤは礼儀正しい。

≪11≫ マーヤの激励 = あくる朝、ぼくはまだ憂鬱な思いを引きずっていた。宇宙船が壊れてしまったから、もう地球には帰れないだろう。地球は、日本はどうなっているのだろう。凍り付いてしまったのかしら。ほかの4人の宇宙飛行士は、ここよりずっと遠くの星を目指したのだから、まだ飛んでいるはずだ。いろんな思いが、頭のなかで交錯する。

そのときドアが開いて、マーヤが朝食を持って現れた。「お早うございます」の挨拶も忘れない。

――お早う。この食事は、どこから来るの?
「食事を作っている工場に注文すると、車かドローンですぐに届けてくれます。なんでも冷めないうちに届きますよ」

――どうやって注文するの?
マーヤは自分の頭を指さして「ここから工場のロボットに通信を送ります。車を呼ぶときも、だれかとの面会を予約するときも、私が相手の担当ロボットと通信すれば完了してしまいます。そうそう、先日ブルトン医師から紹介されたメンデール教授との面会は、明後日の午後2時に決まりました」

――それは有難う。要するに君はスマホでもあるわけだ。だから、この国の人はロボットが傍にいるから、スマホを持っていないんだ。ロボットは人間以上に優秀だね。
「でもロボットはロボットで、いろんな問題を抱えているんです。あさって会うメンデール教授は、科学技術全般とロボット問題の最高責任者ですから、私も興味津々。ロボット仲間が、いまから話の内容を教えてほしいと言ってきていますわ」

――ロボット同士の通信網も発達しているわけだ。
マーヤの顔が急に明るくなった。「いまちょうど、ウラノス科学院長の秘書ロボットから情報が入っています。彼女が言うには、地球の冷却化は止まったそうです。賢人会が3年前に冷却化を止めるよう指示を出し、最近になってその成功が確認されたと言っています」

――えっ、本当かい。どうして冷却化が止められたんだろう。

「詳しいことは、メンデール教授に聞いてください。でも私たちが情報を流したとなると怒られますから、上手に聞いてくださいね。とにかく、よかったじゃないですか。元気を出しましょう」

とうとう、ロボットに励まされてしまった。でも明るいニュースを聞いて、ぼくの気持ちも明るくなった。心のなかで「マーヤ、ありがとう」と言う。

(第2章 は来週日曜日)
        

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今週のポイント
2017-12-18-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 上昇気流に乗ったNY株 = ニューヨーク市場の株価が上げ続けている。ダウ平均は先週323ドルの値上がり。これで4週連続の上げ、史上最高値の更新が止まらない。週央にはFRBが5回目となる政策金利の引き上げを決定したが、市場は織り込み済みですんなりと受け入れた。11月になってからの上げ幅は1275ドル、上げ率は5.5%に達している。根底にあるのは、アメリカの堅調な景気動向と企業収益だ。

対照的なのは、膠着状態に陥った東京市場の株価。日経平均は先週258円の値下がり。FRBの利上げで、円高・ドル安になったことが大きく響いた。11月からの上げ幅は541円、上げ率は2.5%にとどまっている。中国が金融規制を強めたことも売り材料になったが、基本的には9-10月に急騰したあとの調整局面だとみていいだろう。

アメリカでは取り引き時間終了後に、法人税を21%に引き下げる法案の成立が確実となった。このためニューヨーク市場は、今週も買いが先行する公算が大きい。一方、東京市場には買い材料が見当たらない。このため個別銘柄の物色を強めながら、もう少し足踏みする可能性が強い。

今週は18日に、11月の貿易統計。20日に、10月の全産業活動指数。アメリカでは19日に、11月の住宅着工戸数。20日に、11月の中古住宅販売。21日に、7-9月期のGDP確定値、11月のカンファレンス・ボード景気先行指数。22日に、11月の新築住宅販売戸数が発表される。

      ≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ


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素晴らしい イエレン議長の置き土産 
2017-12-19-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 市場を完全にコントロール = FRBは先週13日、政策金利の0.25%引き上げを決定した。ことし3回目、一昨年末から数えて5回目の引き上げとなる。この5回の引き上げで、政策金利は0.25%から1.5%に上昇した。さらにFRBは、来年も3回の利上げを予定していることを明らかにした。アメリカの順調な景気回復が持続することを、その根拠に挙げている。

理論的には、政策金利が上がると市場の金利も上昇し、株価は下落する。ところが今回の利上げに際しては、市中金利は上がらず、株価は上昇した。ダウ平均は史上最高値を更新、金利が上がらなかったため為替相場はむしろドル安・円高気味に推移している。おかげで日経平均は先週250円の下落となった。

なぜ、こういう結果になったのだろう。その答えは、イエレン議長の巧みな心理誘導にあったと言っていい。ことしは3回の利上げを予定していると、早くから手の内を明かしてきた。そして企業収益や雇用の改善が進むにつれて、引き締めのテンポは速まるかもしれないと市場に思い込ませた。そうしておいて、実際は予定通りに利上げ。これで市場には、予想より緩やかな引き締めだと感じさせることに成功したわけである。

この結果、国債も株式も買われることになった。アメリカ経済には、害のない利上げとなったと言える。市中金利が上昇しなかったため、心配された新興国からの資金引き揚げも起こらなかった。まことに見事なお手並みだったと言うしかない。そのイエレン議長は2月で退任。今回の利上げが最後の仕事になった。トランプ大統領がこんな名議長のイエレン女史を再任しなかったのは、不思議である。

      ≪18日の日経平均 = 上げ +348.55円≫

      ≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ


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輸出が 景気を下支え
2017-12-20-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 世界の貿易量が大幅に増加 = 財務省が発表した11月の貿易統計によると、輸出は6兆9200億円で前年比16.2%の増加だった。これで輸出は、昨年12月から12か月連続で前年を上回った。一方、輸入は6兆8000億円で前年比17.2%の増加。この結果、貿易収支は1134億円の黒字となった。黒字は6か月連続だが、大きさは前年より22.6%減少している。

輸出が伸びた商品は半導体、自動車、鉄鋼など。輸出先もアジア向けが20.4%、アメリカ向けが13.0%、EU向けが13.3%と、まんべんなく増加している。特に中国、インドネシア、ベトナム向けが大きく伸びた。この結果、ことし1-11月間の輸出額は71兆円を超え、すでに昨年の輸出額を上回っている。

主な先進国と新興国の経済が、そろって上向いている状況。好調な輸出は、この世界同時好況を反映したものだ。IMF(国際通貨基金)はことしの世界貿易の伸び率を4.2%と予測、成長率を3年ぶりに上回ると発表した。同時好況が貿易量を拡大し、貿易の急回復が各国の成長に貢献する好循環が生じていると言えるだろう。

日本経済にとっては、きわめて好ましい環境に恵まれているわけだ。この環境は、世界的にショッキングな事件が起きなければ当分は続くだろう。ただ残念なことに、好調な輸出は日本の景気を強く下支えはするものの、それほど成長率は押し上げてくれない。エネルギー輸入価格の増大が成長率を押し下げてしまうからだ。エネルギー政策の欠如が、こんなところに悪影響を及ぼしている。

      ≪19日の日経平均 = 下げ -33.77円≫

      ≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ


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男は滋賀、女は長野がトップ : 平均寿命 (上)
2017-12-21-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 50年前は男女ともに東京都が第1位 = 厚生労働省が発表した15年時点の都道府県別・平均寿命によると、全国第1位は男性が滋賀県の81.78歳。女性が長野県の87.67歳だった。前回10年時点の調査で第1位だった長野県の男性は、第2位だった滋賀県に追い抜かれた。厚労省は「滋賀県は食塩の摂取量が少なく、喫煙者の割合も低い」とコメントしている。

この調査による全国平均は、男性が80.77歳で5年前より1.18歳延びた。また女性は87.01歳で、前回より0.66歳延びている。したがって、滋賀県の男性は全国平均より1年も長生きしているわけだ。また長野県の女性も、全国平均を0.674歳上回った。滋賀県の男性は1965年には全国第27位だったが、そこから順位を上げてとうとう第1位に到達した。

このように長期的にみると、順位はけっこう入れ替わっている。たとえば1965年の時点では、男女ともに東京都が第1位。その東京都は今回の調査で、男性は第11位、女性は第15位にまで後退している。1965年から2015年までの間、常に上位10位以内に入っているのは、男性では長野県と神奈川県。女性では沖縄県と岡山県しかない。

重要なことは、順位が変わった原因だろう。食事や睡眠、運動量や医療体制など、原因は多岐にわたるに違いない。そこを詳しく分析することによって、人々の寿命を延ばすことが出来る。同時に健康寿命を延ばすことが、いっそう重要であることは言うまでもない。こうした調査や分析を進めるためには、平均寿命が低い地域を研究することが欠かせない。

                            (続きは明日)

      ≪20日の日経平均 = 上げ +23.72円≫

      ≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ


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男は滋賀、女は長野がトップ : 平均寿命 (下)
2017-12-22-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 頑張る青森県はまだ最下位 = 厚労省の15年調査で、平均寿命が最も短かったのは男女ともに青森県だった。男性は78.67歳、女性は85.93歳。男性は1965年から、女性は2005年から、ずっと最下位のまま。次いで平均寿命が低いのは、男性は秋田県、山形県と、東北地方が続く。女性は栃木県、茨城県の順だ。

青森県では“短命県”の汚名を返上しようと、10年近く前から懸命に努力し始めた。15年には産官学が協力して「健やか力推進センター」を立ち上げ、徹底的な県民の研修に乗り出した。また今年度から健康経営認定制度を創設、社員の健康に熱心な企業には工事の入札などが有利になるようにしている。

だが現在までのところ、効果は表に出ていない。しかし時間が経てば、必ず結果はついてくるだろう。すると、こんどは追い上げられる地域が、真剣に対策を講じるようになる。こうして地方自治体が、競って住民の健康対策を充実するようになることがきわめて望ましい。

さらに地域の取り組みと結果を詳細に分析し、何が効果的な手段なのかを解析する必要がある。これは厚労省の仕事だろう。また寿命が延びても、要介護では意味がない。介護を必要としない年齢、つまり健康寿命を延ばすことに重点を移すべきだろう。厚労省は平均寿命だけでなく、健康寿命の調査ももっと頻繁に行うべきだ。その結果として、各地域が健康寿命についての競争意識を持つようになればいい。

      ≪21日の日経平均 = 下げ -25.62円≫

      ≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ≫/strong>

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 プ レ ー ト
2017-12-23-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ これまでの あらすじ ◇

1) 地球が寒冷化の危機 = 21世紀の半ば、地球は厚いメタン・ガスに覆われ、冷え込んでしまった。食料不足に見舞われた人類は、移住できる星を探るために、宇宙船を飛ばした。ぼくはその宇宙飛行士の1人。4.2光年離れたダーストン星にたどり着く。

着陸時に事故が起こり、ぼくは重傷を負った。しかし、この国の医療技術は完璧で、1週間のうちに歩けるようになる。どんな病気でもケガでも治してしまうので、この国の人たちは死ななくなってしまった。

2) マーヤという名のロボット = ぼくの世話をするために日本語が判るように改造されたのが、マーヤという名前の女性ロボットだ。ロボットとは言っても、顔や体つき、それに皮膚の艶やかさは人間並み。この国のロボット技術は素晴らしい。

マーヤは左胸に「71」と書かれたプレートを付けている。ロボットだけではなく、人間の胸にもプレートが。病院のブルトン院長は「48」、賢人会議の議長を務めるウラノス博士は「12」だった。そして、ぼくの左胸にも「66」のプレートが。この数字は「100から年齢を引いた数字」だと聞いて驚いた。

3) 全国民の寿命が100歳 = ダーストン星はベートンという名の恒星の周りを回っている惑星だ。住民は300年ほど前に別の星から移住してきた人たちの子孫。移住は大型宇宙船で行われたが、それでも人口の1割ぐらいしか運べなかった。

残った9割の人々は、放射能汚染のために死滅したという。自分たちが犠牲になって、1割の人を新天地へ送り出した。このダーストン国では先祖の崇高な精神を受け継ぎ、人口を抑制するため驚くべき決断に踏み切った。それが死ななくなった国民の寿命を、すべて100歳にするという異常な制度の導入である。

国民はこの制度に満足しており、反対する人はほとんどいない。プレートの数字は、残りの人生を大切に生きるための証しなのだという。

4) 地球の冷却化が止まる = そんなとき、地球の冷却化が止まったというニュースを聞く。詳細はまだ判らない。そして宇宙船が壊れてしまったから、ぼくは地球に帰れない。

      ≪22日の日経平均 = 上げ +36.66円≫

      【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】  

                  (第2章は 明日から) 

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新次元・SF経済小説 【 プ レ ー ト 】
2017-12-24-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第2章  ロ ボ ッ ト の 反 乱 

≪12≫ 関ケ原の合戦 = まるで子どものときテレビで見た関ケ原の合戦のようだった。手に手に棒のようなものを振りかざした無数の戦士たちが、広い草原を埋め尽くし殴り合っている。初めは人間だとばかり思ったが、よく見ると敵も味方もロボットだ。殴り倒されたロボットが、次々と草原に横たわる。音は消してあるが、怒号や悲鳴が聞こえてくるようだ。

5分ほどで壁に映された戦闘場面は消え、室内が明るくなった。ここは40階建てビルの最上階。天井がガラスのように透明な材料で作られているから、とても明るい。広い部屋には、いくつもの机や機械類が置かれている。壁や机の上には、訳の判らない数式が落書きのように。ずっと向こうの端では、何人かの人間とロボットが黙々と作業をしていた。

机をはさんで、科学大学院の学長メンデール教授が微笑んでいる。最初に両手を触れ合って挨拶したときに判ったのは、身長がぼくと同じ170センチぐらい。この国の男性としては小さい方だ。痩せ形で、顔は意外に小さく、なんだかアインシュタインに似ていなくもない。胸のプレートには「45」と書いてあった。

メンデール教授がゆっくりした口調で話し出す。
「賢人会のウラノス議長からは、できるだけ何でも説明するようにと言われています。で、きょうはロボットについて、お話ししましょう。その前に、時系列的なことをはっきりさせたいと思います」

さすがに、この人は科学者なんだと感心していると・・・。
「われわれの祖先が初めてこのダーストンの土を踏んだのは、いまから315年前のこと。そのときをダース元年と定めましたから、ことしはダース315年になります。宇宙船で運べた人は年に10万人程度でしたから、人口はなかなか増えず、新しい国の建設も進みませんでした。

そこで最初に到着した人々は、人間並みの能力を持つロボットの製作に全力を挙げたのです。ロボット技術はチャイコ星の時代に相当進歩していましたから、ダース20年のころには人間と全く同じ運動能力と知力を持つロボットの量産に成功しました。ところが後になって判ったことですが、当時の科学者たちは重大なことを一つ見落としていました。

ロボットの脳を設計する際、優秀な能力を有する人間の若者の脳を選んで細胞と神経回路をコピーしたのです。たとえば判断力、創造力、指導力などで優れた人の脳内構造を精密に移植しました。しかし、これだけ人間に近い能力を持つと、ロボットは自分でその能力を向上させることに気が付かなかったのです。

――要するに、自己学習するわけですね。
「その通り。その進展は非常にゆっくりなのですが、何年か経つとロボットの性格が変化して行くのです。特に支配欲が強くなったロボットが出現し、それが人間の知らないうちに大昔のヤクザのような組織を作り上げていました。そして、そういう組織同士が衝突した。それがさっきの映像です。ダース50年夏のことでした。私たちは、これをロボット戦争と呼んでいます」

                      (続きは来週日曜日)


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今週のポイント
2017-12-25-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 最後のジャンプはあるのか = 例年ならクリスマス休暇で静かになるこの時期だが、ことしの市場は騒がしかった。トランプ大統領の超大型減税法案が、やっと議会で可決されたからである。このためダウ平均は先週102ドルの値上がり。史上最高値の更新は途切れない。この勢いに押されて、日経平均も先週は350円の値上がりとなった。

ダウ平均は2万5000ドルの大台まで、あと250ドル。日経平均も2万3000円の大台まで、あと100円に迫っている。17年最後の1週間で、この大記録を達成できるのかどうか。世界同時好況の枠組みは崩れていないから、最後のジャンプを期待する声は強い。ただし月に叢雲、阻害要因もないではない。

まず市場は、トランプ減税を完全に織り込み済みという見方。成立後はむしろ買い材料がなくなり、株価は上がりにくい。何か来年に向けての新しい材料が欲しいという感じが濃くなっているのは確かだ。もう1つは、ビットコインの相場急落。今月18日には1万9511ドルの新高値を付けたが、そこから5割近くも下落した。仮想通貨という未知の領域だけに、その影響も未知数。年を越して下がり続ければ、問題は実体経済の世界にも拡大するだろう。

今週は26日に、11月の労働力調査、家計調査、消費者物価、企業向けサービス価格。28日に、11月の鉱工業生産と商業動態統計。アメリカでは27日に、12月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。なお29日は大納会。

      ≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ


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トランプ大型減税の 影響力 (上)
2017-12-26-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 規模は10年間で170兆円 = トランプ大統領が公約した大型減税法案が、とうとう成立した。最初の公約からみればかなり縮小したが、それでも減税総額は10年間で1兆4560億ドル。日本円にすると、約170兆円の大きさ。世界経済史上で最大の減税であることに変わりはない。トランプ大統領も「記録破りのことを成し遂げた」と胸を張った。

その内容は、まず連邦法人税率を35%から21%に引き下げる。また所得税は最高税率を39.6%から37%に引き下げる。さらに相続税の軽減、子育て世帯への減税も18年から実施するというもの。ニューヨーク市場の株価は、この減税策を受けて史上最高値を更新中。ダウ平均は2万5000ドルの大台まで、あと250ドルの水準に上昇した。

大型減税法案の成立は、幅広い分野に影響を及ぼす。トランプ大統領はこれまで共和党幹部との連携がうまく行かず、選挙で公約した政策を実現することができなかった。減税の実現で、初めて得点を挙げたことになる。この勢いで鉄道や高速道路などのインフラ整備など、次の公約実現についても党を動かせるかどうか。最初の勝利に酔ってワンマンぶりを発揮し、再び党との関係を悪化させる危険を指摘する声も少なくない。

連邦法人税と地方税を合わせた実効税率は、41%から28%に下がる。日本の法人税は18年度から29.74%に、ドイツは29%台であり、アメリカの実効税率は先進国中でもいちばん低くなる。こうした動きをにらんで、フランスは21%への引き下げを検討中だ。トランプ減税をきっかけに、先進国の法人税引き下げ競争が始まる可能性がふくらんできた。

                       (続きは明日)

     ≪25日の日経平均 = 上げ +36.42円≫

     ≪26日の日経平均は? 予想 = 下げ


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トランプ大型減税の 影響力 (下)
2017-12-27-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 有権者の7割が“評価せず” = トランプ税制改正のなかには、企業が海外で貯め込んだ利益をアメリカに還流させやすくする方策も含まれている。具体的には海外子会社の利益をアメリカに戻す際にかかる税率を、1回に限って引き下げる。また海外子会社からの配当には、課税しないことになった。現状で2兆5000億ドルあるといわれるアメリカ企業の海外プール金が、この措置によってどれだけ戻ってくるか。どこへ配分されるのか。その影響は予想以上に大きいかもしれないと考えられている。

仮に資金の還流が急激に起きると、新興国が資金不足に陥り、経済に収縮圧力が加わるかもしれない。その度合いが強すぎると、世界経済全体に大きな悪影響が及ぶ危険性がある。またアメリカ国内の金利が上昇して、景気の阻害要因になる可能性も否定はできない。日本企業のアメリカ向け投資は促進され、為替は円安に振れるだろう。

すでにアメリカ国内では、いくつかの反応が現われている。たとえばAT&Tは全社員に1000ドルの臨時ボーナスを支給する。またボーイング社は人材育成などに3億ドルを追加投資すると発表した。各調査会社は来年に向けての経済見通しを引き上げており、減税に対する経済界の受け取り方は全体として好意的だ。

ところが国民一般の評価は、きわめて厳しい。新聞やテレビが有権者を対象に実施した調査では、なんと7割近くが「評価しない」と回答している。企業と金持ちを優遇した税制改正だというのが、その理由だ。減税の影響で景気がさらに上向き、これらの有権者がトランプ減税の評価を引き上げるかどうか。それによって、来年秋の中間選挙の結果が変わってくる。トランプ大統領の次の正念場になるだろう。

      ≪26日の日経平均 = 下げ -46.49円≫

      ≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ


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欲望の塊りになった ビットコイン
2017-12-28-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 史上最大の投機商品に = 1万円札でも1000円札でも、本来はただの紙切れ。それが価値を持つ紙幣として使われるのは、政府や日銀がその価値を保証しているからだ。国民はその保証を“信用”して疑わない。このように通貨というものは、信用を基に成り立っている。それなら民間が創造しても、信用さえあれば通貨になりうる。こういう先進的な考え方から生まれたのが、いわゆる仮想通貨である。

しかも、すべての取り引きがコンピュータ内で処理される。紙幣やカードを持たなくて済むし、銀行を経由する必要もない。こうして出現した仮想通貨はあっという間に広まり、いくつもの取引所が各国に誕生した。ビットコインは、その代表的な仮想通貨の一つである。だが仮想通貨は貯蓄や取り引きに使われるだけでなく、通貨そのものの価値が需要の強さによって決められる仕組みを持っていた。

ビットコインを例にとると、多くの人が買い入れたため価格が急騰。今月17日には、1ビットコイン=1万9783ドルにまで上昇した。年初からの上昇率は、実に20倍を超えている。ところが22日には1万2500ドルを割り込み、そのあとは1万4000ドルまで回復するなど、恐ろしいほどに乱高下。実体経済にも影響を及ぼすのではないかと、多くの人たちが心配し始めた。

経済史上でも類をみない価格の乱高下は、投機マネーの仕業によるもの。調査によると、最近の売買は9割以上が投機目的によるという。したがって最近の超高値は、バブルそのもの。いつ破裂するかわからない。当然、信用はできなくなった。信用がなくなれば、通貨としての役割は果たせない。来年は、どういう結末を迎えるのだろうか。

      ≪27日の日経平均 = 上げ +18.52円≫

      ≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ


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来年度予算案は 100兆4000億円
2017-12-29-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 補正予算は誤魔化しの手段 = 政府が閣議決定した18年度予算案をみると、総額は97兆7128億円で前年度の当初予算比では0.3%しか増えていない。高齢化の進展による社会保障費の増大、やむを得ない防衛費の積み増しなどを考慮すると、予算規模の拡大は最小限度に抑えられたかのようにみえる。また新規国債の発行額も、前年度より2%減らすことができた。

ところが政府は全く同じ日の閣議で、17年度の補正予算も決定している。総額は2兆7073億円。公共事業費や農業対策、防衛費が主な項目だ。公共事業費の財源として、新規の建設国債も1兆1848億円発行することにしている。本来、補正予算というのは景気の急速な悪化や自然災害の復旧に必要な費用を、緊急に支出するために編成されるもの。しかし今回の補正予算には、何の緊急性も見当たらない。

この補正予算は来年の通常国会に提出され、18年度の本予算と同じ時期に審議される。公共事業費や防衛費などは両方の予算案に組み込まれているが、国会は別々に議論するのだろうか。国民にとっても、きわめて判りにくい。政府はなぜ、こんな厄介な予算の組み立てをしたのだろう。

もし18年度予算案と17年度補正予算案を一体化したら、総額は100兆4201億円となり、初めて100兆円を超えてしまう。また国債の発行額も、前年度を超えてしまう。これでは「使いすぎ」の批判に晒されるかもしれない。そこで補正予算を“隠れ蓑”に使った。だが新聞やテレビなどのマスコミで、この点を追及した報道や解説は見当たらない。

      ≪28日の日経平均 = 下げ -127.23円≫

      ≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ


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NYは金、東京は銀メダル : 17年の株式
2017-12-30-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日経平均は3651円の上げ = 大納会の日経平均は小幅に下げ、終り値は2万2764円94銭だった。この1年間では3651円の上昇。上げ率は19.1%となっている。目標にした2万3000円には届かなかったが、これで12年から6年間の連騰。この間の上げ幅は1万4200円に達した。東京株式市場にとって、17年は予想以上によかった年だったと言えるだろう。

政府・日銀は、予想外の株高をアベノミックスの成果だと主張するかもしれない。しかし株価の足取りをみると、そうではないことが判る。日経平均は秋までほとんど横ばい。そのころまでに、アベノミックスの効果は完全に消滅していた。株価が急上昇し始めたのは9月の後半から。世界同時好況がスタートした時期と一致する。つまり株高の最大の要因は、外部環境の好転だった。

一方、ニューヨーク市場のダウ平均は、連日のように史上最高値を更新。年間の上げ幅は4957ドルに達した。12月まで9か月間の連騰は、なんと59年ぶりの記録である。世界同時好況に加えて、FRBの巧妙な金融引き締め、トランプ大減税、IT産業の活況などが、その原動力となった。

世界同時好況の枠組みは維持されているから、18年の展望でも強気の声が大きい。ただニューヨーク市場では、高値警戒感が頭をもたげてきたようだ。そうした専門家は「18年はヨーロッパと日本の株に関心が移行するだろう」と予想している。17年の成績はアメリカが金メダル、日本は銀メダルと言ったところ。18年は日本が金メダルを獲れるだろうか。

      ≪29日の日経平均 = 下げ -19.04円≫

      【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】  


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