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経済なんでも研究会
新次元・SF経済小説 【 プ レ ー ト 】
2018-09-02-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第5章 ニッポン : 2060年代

≪48≫ 二流国 = 地球はすっかり昔の姿を取り戻していた。10年前のあのどす黒い雲は、まったくない。2月の日本はまだ寒いが、青空の下で桜の芽が確実にふくらんできている。だが人々は、どうして上空のメタンガスが急に取り除かれたのか。だれも知らない。

ところが街を歩いてみると、どうにも活気がない。最大の理由は人口の減少だ。日本の総人口はすでに1億人を割り込んでいる。しかも4人に1人は75歳以上という超高齢社会。年金や医療費が増え続け、それを支えるために税金や保険料が加速度的に増加している。だから働く若い人の生活水準は、なかなか上がらない。

エネルギーの問題も、日本経済を苦しめていた。原発は10基ほどしか稼働できず、再生可能エネルギーの普及も進まない。結局は輸入に頼っているが、原油やLNG(液化天然ガス)の価格は新興国の需要増加で高騰。日本はエネルギーの輸入代金を通じて国内の購買力が海外に流出する構造から、いぜん抜け出せないでいる。

少子化が進んで、保育所や幼稚園、それに小学校から大学に至るまで定員割れ。リニア新幹線が東京と福岡を2時間あまりで結んでいるが、満員にはならない。だからリニアを、ほかに走らせる計画もない。GDP成長率はマイナスが続き、日本は過去に蓄積した海外の資産を売り食いしている状態だ。

残念ながら日本は、この10年ほどで二流国になってしまったようだ。しかし政府や国民の多くは、そんな現状を仕方がないと諦めているようにみえる。たしかに10年前は存亡の危機に瀕していたのだから、それに比べればマシだと考えているのかもしれない。国会も相変わらず揚げ足取りの議論に終始し、国民が活力を取り戻すような政策は思いつかない。

そんな観察をしながら、このとこと街を歩いては宝くじを買いあさっている。実は自衛隊から、退職金と慰労金という形で500万円を貰った。その半分を使って宝くじを買えというマーヤの指示に従っているのだが、これがなかなか大変だ。でも、おかげで銀座や新宿など繁華街の様子も、ばっちり知ることができた。

それにしても、いまマーヤはどこにいるのだろう。まだUFOにいるのか、それとも地上に降りてきているのか。手紙には「2か月経ったら、お会いしましょう」と書いてあった。そろそろ2か月になるが、まるで音沙汰なし。ほんとうに戻ってくるのだろうか。少々心配になり始めた。

                               (続きは来週日曜日)


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