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経済なんでも研究会
新次元・SF経済小説 【 プ レ ー ト 】
2018-09-09-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第5章 ニッポン : 2060年代

≪49≫ 再会 = 2062年3月1日の夜10時すぎ、ぼくは駅から家へ向かって歩いていた。まだ肌寒いが、おぼろ月夜。街なかを抜け小さな公園に差しかかったとき、後ろからハイヒールの足音が迫ってきた。直感的にマーヤではないかと思ったが、振り返るわけにもいかない。

追い付いてきた女性が、低い声で囁いた。「ただいま」
ああ、やっぱりマーヤだ。幸い人通りもなかったので、二人はそのまま抱き合った。

マーヤは薄いベージュ色のツーピースを着て、中型の鞄を手にしていた。どこからみても、30代の主婦が旅行から帰ってきたように見える。声もロボット特有の機械音が消えて、おっとりした奥様風の調子になっている。

その晩は、明け方まで寝られなかった。私たちが乗ってきた宇宙船は、マーヤを乗せたまま音もなくUFOに吸い上げられた。マーヤはそのままUFOにとどまり、ずっとダーストン国と連絡を取り合っていたのだという。そして、あの秘密の物質ダーストニウムも、UFOにはもう届いているそうだ。

こちらは宝くじを買ったら、なんと10億円が当たった話をした。何か細工をしたのかい? と聞いても、マーヤは「うふふ」と笑うだけだった。

お互いの報告が済んだとき、マーヤが鞄から一通の書類を取り出した。見るとマーヤの戸籍謄本である。市役所に結婚届を出すためだという。どうやって手に入れたのか疑問に思ったが、追及はしなかった。

その戸籍謄本には『二階堂 摩耶』と書いてあった。そう、ぼくの名前は二階堂純一だ。ここでマーヤは思いがけないことを、白状した。
「ダーストン語で、二階堂というのは“大ウソつき”という意味です。だから私が貴方の名前を知ったとき、これはまずいと直感しました。そこで貴方がよく口にした“ぼく”という言い方を名前にしてしまいました。ダーストン語では“豊か”という意味で、あの国では誰もが貴方の名前は“ぼく”だと思っているんです」

へえっ、そうだったのか。でもその機転のおかげで、ぼくは歓迎されたのかもしれない。マーヤ、ありがとう。
いまの日本では奇跡的に生還した宇宙飛行士として、ぼくの名前は全国に知れ渡っている。しかし宇宙での5年間は、記憶喪失したまま。やっぱり、ぼくは大ウソつきなのかもしれない。

                              (続きは来週日曜日)


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