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経済なんでも研究会
新次元・SF経済小説 【 プ レ ー ト 】
2018-09-16-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第5章 ニッポン : 2060年代

≪50≫ マヤ工業 = マーヤが帰ってきたとたん、ぼくは急に忙しくなった。市役所に結婚届を出し、宝くじを買うため都内にもたびたび出かけた。そして会社の設立と工場の建設。会社名は前々から「マヤ工業」に決めていた。

リニア新幹線に近い山梨県の土地は、予想外に安い値段で手に入れることが出来た。不況と人口減少が、地価を下落させていたのだろう。この土地に、全長80メートルほどの細長い工場を2棟建てた。設計図は細部に至るまでマーヤの記憶から取り出されて印刷されている。だから、この点であれこれ気を遣うことはなかった。

工場が3か月ほどで完成すると、こんどは機械の搬入が始まる。小型の電気炉や金属加工用の特殊な機械など。富士山がよく見える秋空のもとで、いよいよ商品の生産が始まった。生産工程はすべて自動化されているから、従業員は1人もいない。

手前の工場で製造されたのは、長さ50メートルの鉄道用レール。向こう側の工場では、特殊ガラスの板が何枚も生産された。それを工場と工場の間に造ったコンクリートの床の上に運んで並べる。レールの両側に、ガラス板がきちんと敷き詰められた。長さ50メートル、幅3メートルの新しい路床である。

紅葉の山肌を眺めながら、ぼくとマーヤは近くにあるリニア新幹線の車両基地を訪ねていた。所長さんは、JRリニア新幹線会社の専務である。企画書を見せて説明すると、全く半信半疑の様子。それでも技術者を連れて、新製品を見にきてくれることになった。

所長さんが眉に唾をつけたのも、当然だったろう。企画書には「リニアの運転に関わる消費電力を20%減少。東京―福岡間を新しい路床に取り換えれば、JRリニアが使う電力の2倍以上を太陽光で発電できる。余った電力は売電が可能」などと書き連ねてあったのだ。

JRリニア会社は、不況による利用客の減少と、原油価格の上昇による電力料金の高騰で、苦しい経営状態に置かれていた。そのため藁をもつかむ思いで、わがマヤ社の新製品に飛びついたのだろう。さっそく、専務が技術者たちを引き連れて何度もやってきた。その結果、新しい路床の驚くべき性能が明らかになると、こんどは東京から副社長までがお出ましになった。

ひやひやしたのは、こうした人たちとの会合で、マーヤが瞬間的に回答してしまうこと。複雑な数字でも計算でも、間髪を入れずに答えてしまう。

夜になって「マーヤ、もう少し人間的になってくれないと危ないよ」と、頼み込んだものである。

                             (続きは来週日曜日)        

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